アジアンタムブルー

著者 :
  • KADOKAWA
3.56
  • (78)
  • (96)
  • (204)
  • (18)
  • (5)
本棚登録 : 666
感想 : 122
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048734103

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『ドナウよ、静かに流れよ』
    『アジアンタムブルー』
    『別れの後の静かな午後』
    『パイロットフィッシュ』

    図書館に置いてある彼の本を、かたっぱしから読みあさった。
    きれいな写真の表紙。
    こじゃれたカタカナのタイトル。
    都会的な(?たぶん…)生活スタイル。
    そういうものぜんぶが
    高校生だったわたしの夢をとことん煽ったのだ。
    今でもその熱は体の中でくすぶっていて、デザインの良い家具や雑貨を見ると血がさわぐ。

    いちばんの読みどころのはずの、
    主人公のこころの動向とか
    なんかそういうものはよく理解できなくてアウトオブ眼中でした。

    『タペストリーホワイト』で消化不良を起こしちゃってから、
    ひさしく読んでいない。
    どんな小説だったかなあ。

  • アジアンタムはシダ科の観葉植物。涼しげにハート型の葉を揺らすその姿は若い女性に人気だが、枯れはじめると手の施しようがない、そんな繊細さを持つ。その状態は“アジアンタムブルー”と呼ばれる。が、ごくまれにその“憂鬱”を抜けだし、再び青々とした葉を茂らせることがあるという。
    社会全体に憂鬱がはびこっている状態を比喩でそう呼ぶこともある。と、前作「パイロットフィッシュ」にある。

    これはエロ本編集者の山崎の物語。
    万引きで捕まる現実から逃げようとする少年時代と、写真家である恋人の葉子が旅立つ現実に向き合う過去と、その後の今。三つの時間軸がクロスオーバーしながら、絶望や喪失からの再生を描いているような気がする話。


    人が死なないで感動したり、考えさせられたりする話がベストだと思う。死ぬのはいやだ。パイロットフィッシュとはまったく違う話だけどあわせて読むといいかもしれない。まあわかんない。  けいた

  • ただただ号泣した本です。人に対して優しくなれる。そんな感じ。映画も見たけど、やはり本がいい。

  • 最愛の人との出会い、楽しい日々の思い出、
    そして末期の癌に侵され南仏・ニースでの最後の日々をつづった
    回顧録のような小説。
    これだけ聞くと「お涙頂戴もの」のように聞こえるけれど、
    そうは感じさせないきれいで透明感のある作品。

    主人公のココロと比喩している観葉植物・アジアンタム。
    それは「憂鬱」なんだけど、永遠ではなくいつか過ぎ去る。

    でも、
    「憂鬱な時」ってどよ〜んと暗くなるのではなく
    そんなときでないと感じらればいもの、
    そんなときだからこそ感じられるもの、
    その時でしか掴むことが出来ないものを掴むための
    大切な時間であり前向きな時間。

    今読んで良かった。

  •  おいおい泣きました。二人の関係がとても緊密で、ぐっと来ます。私も最後はこんな風でいたい。お話としては、前半部分、もう少し短くても良かったかなー。ともかく、二人がニースに行ってからページをめくる手と涙が止まらず、顔がぐしゃぐしゃになりました。

  • 安易に恋人が死んじゃう話って、嫌いだな。
    なんというか、ありきたりな恋愛小説?
     重い本を続けざまに読んで、その息抜きになら
    ……なる人にはなるのでしょうな。

  • ‘アジアンタムブルー’  アジアンタムの緑の葉が茶色くちりじりになっている状態がそう呼ばれています。気にもとめていなかったけれど、我が家にやってくるアジアンタムもいつの間にかブルーになり、いつの間にか姿を消してました。きっと、それくらい起こりやすくて、気づきにくいけれど致命的なことなんでしょうね。恋愛小説は苦手です。誰かが誰かを好きで、その二人に何かが起こるか、起こらないか。あまり幅がない気がするから。子供なんでしょうけど…(^_^;)それでもこの本がいいな、と思えたのは自分と結び付けることのできる「アジアンタムブルー」がちょくちょく顔を出すから。以前はやった『セカチュー』の展開を思わせるストーリーなのに。植物の状態を表しているこのキーワードはたぶん誰にでもある大小様々の落ち込みを表しているんじゃないかな。恋愛よりも悲しみや絶望や…とにかくどこかで出会う感情と向かい合う主人公の姿がよかったんだと思います。アジアンタムブルーから抜け出せるか、抜け出せないか。どんな風に抜け出すか。きっかけは何か…。物語以上にこの「アジアンタムブルー」が気になってしまいます。


  • 泣ける。

    ここまで胸を熱くさせる小説も久々だ。

    自分が、愛する人の死に直面したら何が出来るだろうかと考えさせられた。
    そして、考えさせてくれたことに感謝をしたい。

  • パイロットフィッシュの山崎のその10年くらい前の話。ニースっていいなあ。

  • 「パイロットフィッシュ」の後この作品も。
    表紙も良いです。
    読後アジアンタムを買いました・・・・

全122件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

1957年、札幌市生まれ。大学卒業後、日本将棋連盟に入り、「将棋世界」編集長などを務める。2000年、『聖の青春』で新潮学芸賞、翌年、『将棋の子』で講談社ノンフィクション賞を受賞。さらには、初めての小説作品となる『パイロットフィッシュ』で吉川英治文学新人賞を受賞。

「2019年 『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大崎善生の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×