螺鈿迷宮

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 395
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  • Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048737395

感想・レビュー・書評

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  • チームバチスタの番外編?
    といった趣でしたが、楽しく読めました。

    ロジカルモンスター白鳥が
    無茶苦茶イイ奴に見えたのが玉に瑕。

    もっとぶち壊してくれると思ったのに…。

    とはいえ、ラストの感じといい
    相変わらずうまいなぁと思ってしまいます。

    興味のない医療もので、
    ここまで引き込まれるのは、やっぱりすごいです。

    はい。

  • 現実味にかけてる。

  • 東城大学に医学生として通う天馬は、幼なじみの新聞記者から碧翠院桜宮病院に看護ボランティアとして潜入してくれと頼まれる。そこは老人介護センター、ホスピス、寺院を一体化した病院だった…
    氷姫のキャラや大仰な病院の構造など設定は派手で読みやすいが、終末医療のあり方について真剣に考えさせられる話。チューブに繋がれて延命されるよりは、桜宮のような病院で終末を迎える方がいいのでは、と思わされてしまう。
    シリーズ的には、『ナイチンゲール〜』が未読だったのだがそちらを先に読んだ方がよかったのだろうか。

  • 氷姫のドジで、大吉くんは入院中にもどんどん怪我が増えていくのがコントみたいで面白かった。
    延命治療、ホスピス、自殺幇助…現代の問題が沢山提示されていて、考えさせられました。
    医療は死因を救命して進歩していくのに、政府の補助がないことと、お金にならないから死後の解剖ができてない。そこでaiを導入する必要性を主張している作品です。

  • P388引用部分に感動。物事、ヒト、世の中には必ず光と影がある。影と光を一所に集めることはできないが、影を知るものにしか、その調合はできない。「ナイチンゲールの沈黙」より重く暗い。けれど、読後は爽やか。さすが。

  •  ご多分にもれず、『ナイチンゲール……』よりは面白かったという意見です。続けて何冊か読んでみて、どうやらこの人の文章は好きらしいぞ、と気づきました。
    ※文庫あり
    (図書館で借りた本)

  • 2番目の青本、「螺鈿迷宮」。(1番目はナイチンゲール)
    テーマは「終末期医療」。
    さてみなさん(だから誰?)
    ここで「終末期医療」と聞いて、咄嗟にどんなものを想像する?
    ビジネス界では、「終活」なんてものが一大市場となっている超高齢化社会のこのご時世。
    想像するのは完全介護のホスピタル?
    スパゲッティ症候群(※敢えてです、すみません)の延命治療?
    そんなことを思ったのなら、ちょっとこの本、読んでみて。
    ラノベ感覚(ラノベ読んだことないけど。)でさくさく読めるし、下らないバラエティ見てる暇があるなら、ちょっとこの本に書かれてる是非について考えてみて欲しい。
    ……なんてね^▽^☆

    まあそんな感じでグダグダ言う前に、一言。

    なんだこれクソッタレに面白いじゃないか!!

    どうしてこれを今の今まで読まずにきてしまったのか……。
    書評だけをアテにし、白鳥を避けるあまりすっとばしてきたのが本当に悔しい。
    壮絶に面白かった……。
    うん、この本にはまさに「壮絶」という言葉こそふさわしい。
    好き嫌いがはっきり分かれる内容だろう。
    だからこそ、ハマると怖い。
    おもしろさに打ちのめされ、ただ震えるような興奮だけが胸に去来するこの状況……。はあ、ヤラれた。
    赤本(ジェネラル・ルージュの凱旋・伝説)と黒本(ブラックペアン1988)が陽の面白さとしたら、これは陰の面白さ爆発といったところか。

    舞台は桜宮市の由緒正しき碧翠院桜宮病院。
    赤本にて速水が、「でんでん虫に送られれば真相が闇に葬られてしまう」みたいなことを言っており、なんとなく悪しきイメージがあったその病院。
    時系列は赤本から半年後の6月。
    そう、梅雨まっただ中。
    ハイドランジアが咲き乱れ、物語の大半に驟雨が降りしきる、陰鬱な季節。
    まずもってこの舞台設定が上手い。上手すぎる。
    今思えば、赤本の舞台が、赤(トリアージタッグ・レッド)と緑(トリアージタッグ・グリーン)に彩られるクリスマスシーズンだったというのも、憎い話じゃないか。
    この青本を読んで、赤本、ナイチンゲール、そして「極北クレイマー」がピタッと繋がった。
    そうか、そういうことだったのかと、まるでパズルのピースが音を立ててはまったかのように一本繋がった瞬間が多々あって、その度に興奮に打ち震えたよね…。

    そして主人公・天馬大吉。
    東城大学医学部6回生の、永遠の厨二病もといピーターパンシンドローム真っ最中のダメ大学生。
    こいつがまた学生時代のサボリ魔は速水に清川を足したような人物で笑える。(※足したはいいが2で割らないところがポイント・笑)
    こいつ、何と言ってもあの雀荘”すずめ”の常連にしてイカサマ野郎なのだ。
    ”すずめ”がどういう雀荘だったのか、その描写もあり、20年前、速水たちが根城にしてた全盛期のことまでほのめかされていて、まあ萌えたよね(´∀`)
    すみません”すずめ”って雀荘どこにありますか?

    と、軽い感想はここまでにして、ちょっと真面目な感想をば。
    「終末期医療」。
    冒頭でほのめかした通り、読む前に想像していた甘ったれたクソッタレな終末期医療なんてここにはなかった。
    なるほどそういうことかと、上巻の終わりの辺りから一人、背筋がゾクゾクする怖さを感じた。
    ここでの終末期医療とは、すなわち自殺幇助と同義だったのだ――。
    実は初っぱなから、だいたいの予想はつく。
    けれどこちらの大筋の拙い予想なんて、巌雄に言わせれば一笑に付されただろう程、奥が深く、幾重にもねじれた真相。
    下巻の中盤、主人公・天馬青年こそ、見る角度を変えれば全ての元凶だったという真実が語られた瞬間、はっと気付く。
    そう言えば、この本のタイトルが「螺鈿迷宮」だったことに――。
    そう、螺鈿の輝きとは、見る角度によって無限の色彩を放つもの。
    見る角度、立場を変えれば、こんなにも物語とは複雑怪奇で、絡み合い、お互いに傷つけ合っているのかと愕然としてしまう。
    東城大から見れば悪しき産物である桜宮病院。
    しかし桜宮病院から見れば、東城大こそ裏切り者であり、憎むべき相手だというもの面白い。

    すみれ達のやっていたことは犯罪で、倫理的にも容認できない点もある。
    けれどそれは私欲ではなく、ただひたすら患者のため、医療のためだった。
    それは速水が犯罪に手を染めてまで患者の命と医療を守ろうとしたのと同じことじゃないか。(※ただし、速水の行為は倫理的には問題ない――と個人的に思ってる。)
    違うとえば、命を守るか、失わせるか。
    赤本が陽で、青本が陰。
    赤本が晴れの多い12月で、青本が雨ばかりの6月。
    わがまま将軍と、わがままヴァイオレット(菫)。
    なるほどなるほど、この2冊、こうして見れば驚くほど相対する内容じゃないか(感服)。

    テーマがテーマだけに、全体的に、重い。
    とにかく重い。
    それでいて救いになるのが、いつまでも甘ったれのクソッタレにモラトリアムを過ごしていた、天馬青年の成長っぷりだ。
    こいつは今後、絶対に名医になる――。
    きっと読み終えたとき、海堂ファンなら特に、それを感じることは間違いない。
    クソッタレでダメダメだと言われたアウトサイダーの方が、覚醒した瞬間の成長は著しい。
    こいつはいずれ、絶対に速水と肩を並べるくらいの医者になると思う。
    期待してるぞ、ラッキー・ペガサス!
    (それにしても毎度、この御仁のキャラの渾名センスには赤面してしまう。もうちょっと何とかならんのか・笑)
    そしてもう一つ、すみれの言葉が、イイ。
    ”必要とされる存在であり続けるためには相応のエネルギーが必要で、それは闘争と自己肯定の中からしか生まれてこない。”
    ”あなたは何一つ、背負わない。安全地帯から一歩も出ないで、自分は悪くないと言い張るのは卑怯だわ。”
    うーん、まさに!
     
    最後に一つ、特記すべきなのが結城さん。
    メディカル・アソシエイツの代取にして、速水が癒着していたまさにその相手なんだけども。
    メディカル・アソシエイツってフロント企業だったの?!Σ(゚д゚lll)
    いやいや~びっくりした。
    速水よ、おまえよりによって何でまたなんで結城と?(いや、逆にらしいのか?)
    読後に残った疑問は、なぜ行灯までこの男を知っていたのか?
    どうしてはやみんはこいつと癒着することになったのか?
    という点だけど、これは現時点ではまだ描かれておらず、海堂の御仁にはいつか是非とも書いて頂きたい。

    それにしても「終末期医療」。
    誤解を恐れずに言わせてもらえば、私はこの医療……間違っていないと思うんだ。少なくともすみれの精神は。
    これを医療と呼ぶかは、甚だ疑念があるのだけれど。
    (※このレビューは一部、過去にブログに掲載していたものを加筆修正してます。)

  • 東城医大シリーズ?の裏側で流れるもう一つのお話。姫宮が上司の白鳥並にあれで‥‥笑

  • でんでん虫に集まるモラトリアム医大生、双子の医師と新聞記者の幼なじみ、雀荘で出会った男、そして白鳥と姫宮。
    終末医療。そんなに面白くはない。普通。

  • 荒唐無稽過ぎ。シリーズになってるのかこれ??テーマは重いのになんだか茶化されているようでどうも…。一気に読まないでもっとじっくり読めばよかったかな。

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著者プロフィール

1961年千葉県生まれ。医師、作家。外科医・病理医としての経験を活かした医療現場のリアリティあふれる描写で現実社会に起こっている問題を衝くアクチュアルなフィクション作品を発表し続けている。作家としてのデビュー作『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)をはじめ同シリーズは累計1千万部を超え、映像化作品多数。Ai(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)の概念提唱者で関連著作に『死因不明社会2018』(講談社)がある。近刊著に『北里柴三郎 よみがえる天才7』(ちくまプリマー新書) 、『コロナ黙示録』『コロナ狂騒録』(宝島社)、『奏鳴曲 北里と鷗外』(文藝春秋) 。

「2022年 『よみがえる天才8 森鷗外』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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