プチ・プロフェスール

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048742429

感想・レビュー・書評

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  • カガクテキ!二人の科学好きが出会ったとき…面白いことが起こる?!

  • 2012/11/30
    復路

  • “カガク的って、こういうことでしょ?”
    ハンダごてを振りかざし、奇妙な事件に首を突っ込む小学四年生の理緒。
    それに巻き込まれる、家庭教師兼チャイルドシッターの貧乏大学院生の律。

    科学的な説明は文系の私にはわかりにくい所もあったけど、あんまり気にならずスラスラと面白く読めました。

    登場人物たちも個性的で面白かったです。
    特にビッグママが格好良い!

    『虹のソノリティ』と『四〇一号室のプロフェスール』が特に好き。

    「ガモフ全集」とジュール・ヴェルヌの小説を読んでみたくなりました。

    sari-sariで読んだスピンアウトストーリーも良かったので、ぜひ続編出てほしいです。


    (似)
    「先生と僕」坂木司

  • ヘンクツ大学院生と前向き小学生、理科乙女二人が難事件に挑む!?

    という日常系ミステリ。それこそ絵も「日常」の人ですね。パッと見ラノベっぽい印象をうけます。

    流れとしては「事件が起きて」「小学生理緒が興味を持ち」「ふとしたきっかけで律が真相をつかむ」という感じ。その要所要所に理系的な知識を挟み込む。
    ん~・・・発想というか、あらすじみたいなのを読んだ限りでは面白そうだったんだけど・・・結局、理緒にも律にもキャラクター的な魅力に乏しく、理系要素もハンパで恋愛的な要素もとってつけたような印象をぬぐえない。
    日常系の謎を解くかと思えば突然殺人事件の話になったり、律の過去話で締めくくったりとかどうにもちぐはぐな感じがする。

  • 「カガク的って、こういうことでしょ?

    カガク的な部分は文系の私にはちんぷんかんぷんでしたが、久々のヒットです。
    日常の謎系なんだけど、そこにカガク的なものが合わさっていいかんじに。

    最初のほうは出来過ぎ!って思うところもありましたが(恋するマクスウェルとかチェシャ猫マーダーズとか)、後半の虹のソノリティと402号室のプロフェスールはとってもおもしろかったです。

    続き・・・出ないかなぁ。

  • リケジョ(理系女子)な律と、リケジョ志望のお嬢様理緒がカガク的に日常の謎に立ち向かう短編集。
    りおがいい子でかわいい。謎は日常の謎が多いけど、うまいことカガク的な話と絡んでてわりと面白かった。
    アイランド・ベイビーを読んでいたので、エンターテイメント性の強い話を書く人かと思っていたけど、こういうゆるやかな話もいいね。
    やや都合が良い部分もあるかな?でもハッピーエンドが多くて良い人が多いのはいいね。

  • 理系女子小説。理系のちょっとしたネタが固くなくて面白い。「不思議の国のトムキンス」が読んでみたくなる。元はケータイ小説だったとは知らず、ケータイ小説も侮れないと思った。

  • リケジョには、今でも憧れます。
    リケジョになれば、今の人生とは違う人生だったと今でも思っています。
    で、途中挫折しかけましたが、
    かわいらしい理緒ちゃんに救われて、
    読破しました。
    いい本でした。

  • 大学生以下はまず読んでおきなさい。

    理系女子大学院生とその学生が家庭教師をやっている教え子と繰り広げる日常の謎。

    表紙があらゐけいいちだけれども漫画じゃありません(笑)
    挿絵もありません(笑)
    中村先生じゃないです。

  • 「プチ・プロフェスール」「リケジョ」「カガク的って、こういうことでしょ?」「非科学的なことばっか、言ってんじゃねーよ!」という帯をみて、読んでみたいと思いました。

    ・投げ出し墓のバンディット

    コペンハーゲン解釈は今でも学会の主流だけど、物理学者たちの中には自信を失っている人も多いと思う。この考え方を受け入れるってことは、『実在』を失うことだから。

    そもそも、『電子のある場所』なんて、ないの。
    もちろん、観測をすれば、電子の位置はちゃんと決まる。
    でも、誰も見ていないときは、電子はあらゆるところにある。

    コペンハーゲン解釈によれば、誰かが部屋をのぞいてはじめて、波束の収束が起こり、電子がどっちに入っていたかが決まって、猫が死んでいるか生きているかが決まる。
    これはね、それまでは猫が生きているか死んでいるのかわかないって意味じゃないよ。
    誰かが部屋をのぞくまでの間は、部屋の中に、生きている猫と死んでいる猫が同じ割合で混在している。

    すべては『状態の重ね合わせ』としか存在できない。
    つまり、この世界には、深い『実在』などない。観測が『実在』を作り出す。ある物理学者が言ったみたいに、『誰も見ていないときには、月は存在していない』

    -『シュレーディンガーの猫』『量子力学』『実在』しばらく本を読んでなかったので、懐かしかったです。もういちど、読み返したくなりました。

    ・恋するマックスウェル

    宇宙人の話☆(笑)
    以前テレビで、宇宙に多言語で電波望遠鏡で宇宙人に信号を送っているというのを観ましたが、SETIという計画なのですか。具体的知りました。
    このひろい宇宙で、地球だけが知的生命体がいるのはさびしいですね。
    でも、本を読んで他の知的生命体とコンタクトできるのはかぎりなくゼロの確率に近いと感じました。

    ・チェシャ猫マーダーケース

    薬の成分をくわしく解説してます。この著書さん、物理学から化学まで、はばひろい範囲の知識をもっていると尊敬します。
    病は気から…ですね☆

    ビッグママのエピソードはうるみました…。

    ・虹のソノリティ

    色の見え方、共感覚、について学べました。
    「理緒ちゃんがわたしたちに赤緑をうまく説明できなかったみたいに、人間が鳥の色覚を想像することはできない。もっと言うと、わたしが見ている赤色と、理緒ちゃんが見ている赤色が同じかどうかだって、本当には分からないよ。色は物理的な実体ではなくて、脳で作り出されているものだから」
    虹について「七色に見えるのは、なんで?」「そればプリズムとしての効果。光の屈折率は波長、つまり色によって少しずつ違うから、白色の太陽光が雨粒で反射して出ていくときに、いくつもの光の帯に分かれる。七色だとしたのはニュートンだとも言われているけれど、民族によって色の数は違う。だいたいね、一群の雨粒からでてくるスペクトルは連続しているのよ。それをどんな色に認識するかは脳の問題だし、それを言葉で表現するかは文化の問題」
    「虹は太陽の環状の反射像で、実体はない。見ている人の数だけ虹はある。現に今、わたしはわたしを中心に虹を組み立てていて、あなたはあなたを中心とした虹を見ている。わたしの虹を映しだす雨粒にしても、一秒前と今では、違う雨粒たち。車が進むと、虹の位置も同じだけとおざかる。向こう側どころか、虹には近づくことすらできない。

    「詩人キーツはニュートンが大嫌いだった。ニュートンは味気ない物理学で虹を解体して、虹の美しさを台無しにしたって非難した」
    ちょっと、胸にくるものがありますが、むしろ世界とは何かという神秘に一歩ふみこんだ発見だと思いますが…。

    ・四◯二号室のプロフェスール

    律がなぜ時間に対して几帳面なのか。腕時計の星の王子さま。そのわけが、わかり、せつなくなりました…。
    でも、最後はさわやかで、ハッピーエンドで胸がいっぱい。
    なんとかしてお互いヒントを出し続けようね。わたしはここにいるよ、わたしを見つけてって。もちろんカガク的なヒント。例えば『赤い月』ときたら、それは詩でもない災の兆候でもないよ。『皆既月食』のキーワード。遠くはなれていても、会えなくても、話せなくても、科学は道標になる。どんな人にとっても答えが同じなるのが、科学のいいところだからね。わたしが計算しても、十二足す二十五は三十七だし、恵人くんがやってもトキノさんがやっても、指数関数と三角関数をマクローリン展開すればオイラーの公式が得られる。フーコーの振り子を使えば地球の自転を証明することができるし、信心深い人にも、無神論者にも、はしかの予防接種は同じように効く」


    ハンダゴテを手にする理緒ちゃんを想像して、かわいい。と思いました。
    「カガク的って、こういうことでしょ?」という台詞が毎回でて漫画みたいな決め台詞で、本がおさなく感じます☆
    読みやすく、不可思議な現象を、科学的アプローチで解決するのは好きです。勉強にもなりました。よい一冊にめぐりあえました。

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著者プロフィール

1972年、大阪府生まれ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。2010年、『お台場アイランドベイビー』で第30回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。19年、『月まで三キロ』で第38回新田次郎文学賞を受賞。20年刊の『八月の銀の雪』が第164回直木三十五賞候補、第34回山本周五郎賞候補となり、2021年本屋大賞で6位に入賞する。近著に『オオルリ流星群』がある。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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