- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061588271
作品紹介・あらすじ
奈良東大寺の大仏に象徴される華厳の思想的理念は、日本文化のなかにも今もなお、広く深く生きつづけている。茶の湯において、小さな茶室でおこなわれる喫茶の行為のなかに無限の宇宙の広がりを見るのが茶道の生命であり、一輪の切り花のなかに永遠の相を見るのが華道の精神である。限りあるもの、小さなもののなかに、無限なるもの、大いなるものを見ようとする考え方こそ華厳思想の本質であり、その再発見を試みたのが本書である。
感想・レビュー・書評
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難しいと言われる華厳の思想について解りやすく書かれてあります。
私としては、少しピンと来ないところもありますが、華厳思想自体についてはとても解りやすかったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
講談社学術文庫にこのタイトルがあることは前から知っていたが、仏教思想カテゴリーは苦手なほうだし手を伸ばすことはなかった。だが落合陽一が「最近読んでいる」として挙げていたので「?」と思って取り組んでみた。
家は真宗であり「阿弥陀経」は色々な機会に耳に入れていたとは思う。ところが華厳経というのは東大寺?と思いあたるくらい。
本書はカルチャーセンターの講座をまとめたものだそうで、中国の坊さんの名前を無理に覚えようとさえしなければ気楽に読める。荘子の万物一体、是と非、此れと彼を一に帰す思想と、華厳の一即多、多即一というのが相通じているとな。こういうのを聞くと、フーリエ変換を思い出す。物でも事象でも、今見えている状態が、神の目のような発想を一旦経由して別の視点に写してみると、全体が一点に、一点が全体に変換されてしまう。物でも事象でも双対性があって、どちらの見方も真実であるが、全体を一度に見るというのは別次元の視点が必要になるというもの。世界はそういうものだというのは文理どちらも同じとらえ方をしているのだな。 -
KS7a
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日序章 日本文化と『華厳経』(『華厳経』の世界;日本人の自然観のなかに定着した華厳思想;新しい世界観としての華厳思想)
第1章 『華厳経』とは何か―『華厳経』の構成と思想
第2章 華厳宗の成立(華厳宗の開祖・杜順;華厳教学の創始者・智儼;華厳宗の大成者・法蔵;華厳と禅との融合・澄観;『円覚経』の大研究者・宗密)
第3章 華厳思想の核心(小乗と大乗;大乗始教と大乗終教;大乗頓教―一念不生を仏となす;大乗円教―華厳思想の至境;四種の真理の領域―四種法界;華厳の観法)
第4章 華厳思想の流れ(新羅の華厳;日本の華厳)
著者:鎌田茂雄(1927-2001、鎌倉市) -
鈴木大拙のもとで禅を修め、華厳の研究で博士論文を執筆した著者が、華厳の思想について解説している入門書です。
華厳思想については著者自身が専門的に研究をしている分野ということもあり、かなり自由闊達に書かれているという印象を受けます。華厳思想の細部にまで著者の解釈が入り込んでおり、しかもそれを読者に向けて自在に示しているので、自然に本書の議論の流れにしたがって読み進んでいくような感じさえしました。著者の解釈が妥当かどうかはわたくしには判定できないのですが、わたくしのような華厳思想についての知識をもたない読者に向けて書かれた入門書としては、たいへん優れた本なのではないでしょうか。
中国、韓国、日本における華厳思想の受容のあり方についても、入門書としてはかなりくわしく解説がなされており、勉強になりました。 -
一即多多即一
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毘盧遮那仏
唯識ではどこまでも事心の範囲で心を説明している、華厳はそれに理心を設定し、しかも理心が事心を貫徹していると考えた。
唯識の未那識の奥の如来蔵思想
四種法界
1事法界
2理法界
3理事無礙法界
4事事無礙法界
色=事=現象
空=理=理性
実体としての空はない。関係性においてあることが空であり、関係をばらしてしまうと何ものこらない。
一即多、多即一
インドラ・ネットワーク、モナド