変身 (講談社文庫)

  • 講談社
3.51
  • (1049)
  • (2376)
  • (3481)
  • (506)
  • (88)
本棚登録 : 23422
感想 : 1739
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • 本 ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061856981

作品紹介・あらすじ

世界初の脳移植手術を受けた平凡な男を待ちうけていた過酷な運命の悪戯!
脳移植を受けた男の自己崩壊の悲劇。

平凡な青年・成瀬純一をある日突然、不慮の事故が襲った。そして彼の頭に世界初の脳移植手術が行われた。それまで画家を夢見て、優しい恋人を愛していた純一は、手術後徐々に性格が変わっていくのを、自分ではどうしょうもない。自己崩壊の恐怖に駆られた純一は自分に移植された悩の持主(ドナー)の正体を突き止める。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • すごく面白かったです。

    この話をネタバレなしで語るとしたら難しいです。

    世界初の脳移植を受けた主人公。その後、優しいはずの性格や映画の好みなど様々なことが変わっていってしまう話です。

    自分が自分でなくなることは辛いなと思いました。私は自分が大好きなので(笑)自分がこんな状態になったらきっとやっていけないだろうなと思いました。

    • アールグレイさん
      初めまして!こんばんは!
      私、オバさんもそのような話を聞いたことがあります。
      でも、死とは比べられないはずですよね。
      自分よりきっと、周りの...
      初めまして!こんばんは!
      私、オバさんもそのような話を聞いたことがあります。
      でも、死とは比べられないはずですよね。
      自分よりきっと、周りの人たちが戸惑うのではないでしょうか?
      夜遅くに失礼しました(ρд-)zzz
      2024/08/16
  • 優しく従順な青年が、強盗事件に巻き込まれて、脳の一部を破損する。
    そこで、世界初の脳移植手術が秘密裏に行われる。手術後、徐々に人格の変化が認められる。
    彼は、彼の脳の一部となったドナーを探し始める。
    脳の欠損は、他部分から修復されていくというような事を聞いた事がある。
    遂に確定したドナーは、彼を撃った犯罪者であり、その凶暴性が彼の元の人格を制圧していく。
    医者達が、手術の詳細を隠そうとしたり、手術の成功をのみを追い求めようとするところは、ありがちかなと思う。
    最期の一瞬に元の人格が戻るというところが東野さんらしい。

  • 東野圭吾も初期の作品の方が面白いと思う。「秘密」も「手紙」も、今回の「変身」も読みがいのある作品だった。子供を助けた青年が銃で撃たれ、脳の一部を欠損する。それを他人の脳の移植で補う。ここから性格の変化やドナーの問題で話は進んでいく。予測はできたが、話の繋ぎが上手く最後まで読み通してしまった。
    脳という未解決の人間の神秘に切り込んだ意欲作。

    • うたえながさん
      わたしも、「変身」「秘密」「手紙」をよみました!どれも読み応えがあって面白いですよね!
      わたしも、「変身」「秘密」「手紙」をよみました!どれも読み応えがあって面白いですよね!
      2024/08/19
    • kakaneさん
      うたえながさん、コメントありがとうございます。
      東野圭吾さんの本では「秘密」の衝撃を超えるものがありません。若い頃読んだと言うこともあります...
      うたえながさん、コメントありがとうございます。
      東野圭吾さんの本では「秘密」の衝撃を超えるものがありません。若い頃読んだと言うこともありますが、涙が出てしまいましたね。
      これからも充実した読書生活をお過ごしください。
      2024/08/19
  • とても面白かったです。怖さと切なさもありましたが。脳の「一部」を移植した、という点が本作の肝ですね。全移植であれば恐らく目覚めた段階で別人格となり、以前の自分の記憶は何一つ無いので、きっとこのような物語にならないかと。一部だけ移植した結果、次第にその一部の別人格が本体脳を侵食していくというのが、とても怖く切ない話しに感じられます。作中、僕という一人称が途中から俺に変わっていたり、言葉遣いや行動が徐々に荒々しくなっていく様がとても印象的です。この話、当然フィクションではありますが、仮に脳移植というものが現実的か否か考えた場合、こういった事態が起きる可能性や倫理的な観点から医学世界でもタブー化されているんだろうなと感じました。いずれにしても、相変わらずの東野さんの素晴らしい文体に惹き込まれ、とても楽しくあっという間に読むことが出来ました。

  • まだ読んでいない東野初期作品シリーズ。
    以前『宿命』を読んだ時、次は『変身』を読もうと決めてから早五か月・・(´▽`;)ゞ
    ようやく手に取った次第です~。

    強盗事件に巻き込まれ、頭部を銃で撃ち抜かれてしまった、成瀬純一。
    世界初の脳移植手術手術によって一命をとりとめますが、手術後徐々に自分の性格が変わっていくのを認識せざるを得なくなって・・・。

    真面目で絵を描く事が好きな、所謂“無害キャラ”だった純一が、移植手術後徐々に、鼻持ちならない、ちょっとしたことでキレてしまう“危険人物”に変化していく過程が真に迫っていて、“一体、ジュンはどうなってしまうの?”とその展開に目が離せませんでした。
    性格だけではなく、好きだった絵に興味を失い、代わりに音楽に反応をし始めるなど、嗜好や才能も“ドナー(元の脳の持ち主)寄り”になってくるところや、一人称も“僕”だったのが、途中から“俺”に変わっているところなんかも、彼が“変身”していく様が伝わってきて、その辺の描写の巧さはさすがですね。
    特に後半で顕著になっていく凶暴性や、抑えの効かない衝動的なところが、“ドナー”の気質なのか、純一自身の潜在的に持っていたものなのか・・純一の視点から“通常の人ならばグッとこらえるところを、我慢できずに有形力を行使してしまう自分”を語っている箇所は、“犯罪を犯す人の思考パターン”ってこんな感じなのかな・・と興味深く思った次第です。(勿論、フィクションなのですが)
    あと、何気に戦慄だったのが、堂元博士の日記に記されている、研究者サイドの態度ですね。
    純一の変化がエスカレートして、その凶暴性で洒落にならないことになっているのに、あくまで彼を“研究材料”としか見ていないことに、ある意味狂気を感じました。

    題材的に仕方ないのですが、全体的に暗い流れで、あのラストも救いがあったのかどうなのか、微妙なところなんですよね・・。
    ただただ、恵さんの献身が切なくて胸が痛みました。

    「人格」とは・・延いては「アイデンティティ」って何なのだろう・・・え?結局「脳」ってこと?
    ・・などと、色々考えさせられる一冊でございました。

  • 再読
    脳移植により人格が変わっていく"変身"
    どんどん人格が変わっていく主人公の様子が気になり読む手が止まらなくなる。
    手術により助かった命だが、それ以上に失った物が大きかった?
    終始暗い内容なので読み手を選ぶかもしれないが、流石は映像化されただけのことはある作品

  • 自分を失うことについて。
    最初から持っているものを失っていくのが一番怖い。
    世界初の脳移植を施され、一命を取り留めた成瀬純一。
    心優しく、気弱な彼が術後から様子がおかしくなっていく。性格が凶暴化し、趣味が変わり、生活がガラッと変わっていく。他人の脳を移植されたことで性格や様子が少しずつ変わっていく彼がたどり着く先は?
    主人公の葛藤や昨日の自分と今日の自分が変わっていること。そういった描写が鮮明でとても面白い。

  • これはミステリーというより、ある意味ホラーに近いかもしれないが、しかしそこは東野作品。しっかりのめり込ませてくれます。
    自分ではどうしようもない運命に立ち向かっていく主人公。必死に戦い抗い続ける描写がドキドキハラハラさせてくれます。

  • 脳移植という難しい題材。

    話の流れや、テーマなどさすが東野圭吾だなと。

    ただ、私的には、子供を助けた主人公が、
    良い方向にいってほしかったなって思った。

    けど、脳の若返りを狙う上の人間達には、
    そんな甘くねーぞっていうことは
    伝えられたよね。

  • 感情や行動の変化の描写がリアル。
    脳移植してドナーの人格が支配していく様子は恐ろしくて非現実的な事のはずなのにそう思えず先がただただ気になってあっという間に読み切った。

    今まで読んだ東野圭吾作品とは違って刑事のいやらしさや鋭さがなくて、今回は警察の出る幕なし。バックの強力な力がはたらいていてうやむやになる事件や事故って、実際知らないだけできっとあるんだろうなって思ってそんな所まで楽しめました。

全1739件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

東野圭吾の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×