物理数学の直観的方法―理工系で学ぶ数学「難所突破」の特効薬〈普及版〉 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062577380

感想・レビュー・書評

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  • すごい本。
    理工系の学生だったので、学部生、特に1、2回生のときに出会っていればと悔やまれる。理工系の学生には、絶対にお勧めできます。

    それぞれの内容について歴史的な経緯・関連、なんのために必要とされるのかが書かれているため、理解しやすい(腑に落ちる)。

    また、第二版で追加されたという11章は、現代の科学の出発点的な発想になっている「デカルト的合理論」の限界について三体問題の話から行列を用いて指摘し、学問、遺伝子工学、経済にまで発展させているところは非常に興味深い。
    (最も、行列によるそのようなモデル化が可能かということについては理解が及びませんでしたが。)
    特に経済についての箇所では、(国家による)富の再分配は、経済的な平等という概念で正当化されるものではなく、社会的(系)にとって「縮退」を防ぐために意味があるものと思えた。

  • 数式をどのようなイメージから見るかは理解にとって非常に重要である.さまざまなイメージがあると思うが,各章,うまい一例を示してくれている.

  •  何を学ぶにしても、全体像を理解し、個々の内容について具体的なイメージを持つというのは大変重要なことです。しかしながら、物理数学は定石となる公式の運用に終始しがちで、一応の計算は出来るけど、結局、何をやっているかピンとこない、となりがちです。

     本書はタイトルのとおり、物理数学の重要な論点について、読者に対して、あれやこれやの手段で、具体的なイメージを喚起しようとするもの。抽象的な専門書に格段と取り組みやすくなること、間違いないと思う。また、学部の授業のアプローチも本書と極めて近いものだった。良い教育機会を与えてくれた出身校の学科・教官に感謝したい。

     私の場合、通商産業出版社から刊行された自費出版版に引き続き、普及版となるブルーバックス版を購入して二冊目です。

  •  学生時代に出会っていたらなあ,という本。ベクトル解析やフーリエ変換,複素関数論,解析力学など,基本をイメージで把握しようという本。結構有名な本らしいけど,誰も教えてくれなかったよ…。
     複素数の掛け算は回転+拡大だ,とか,rotは流速の差による渦の回転軸を向く,とか,個々の話はどこかで聞いているが,それがまとまっているのが良い。厳密さを犠牲にして徹底的にイメージ化してるのも分かりやすい。
     それはそうと,この普及版の解説を書いているのって,出身研究室を継いだ先生だ…。

  • 物理の授業って、式の誘導をしてる時に何が目的なのかさっぱり分からなくて、いつも不満でした。この本みたいに教えてくれたらよかったのに。。と思わされる内容。
    教養とか専門基礎の授業を受けているときにこの本を読んでいたらなぁ。でも当時はあんまり勉強に時間を割かなかったから、この本があっても結局積読だったかも(笑)

  •  タイトルからすると直感的な問題の解き方が書いてあるような本をイメージするが、実際には物理数学の公式化された公理、定理の教科書では説明が省略されてしまっている部分、つまり根本部分の理解を促すことを目的とした本であった。このためある程度数学の知識を持っていないと読み進めることは難しい。また、ここで取り上げられている項目について疑問を持っていないと何が問題なのか?ということにすら思い至らない。そういった意味では読む人を選ぶ本である。残念ながら書いてある事の半分もわからなかった。しかし「やや長めの後記」で三体問題に端を発する「ハーモニック・コスモス」が思想化されて現代社会にどのような影響を及ぼしたかという考察は面白かった。面白かったのだが本書の内容からすると蛇足であると感じた。別の論文等で述べるべきではないかと思う。

  • この本は理系の人間から強い支持を受けており評判が良い。立ち読みで少し読んでいたことはあったのだが、内容が難しく買うのをやめたが、冬休みということもあり挑戦してみた。残念ながら私の頭で理解できたのは10の論点のうち3つに過ぎなかった。この本が最初に出たのは20年以上前であるが、最近はそれぞれの数学の分野でわかりやすい本が出ている。ベクトル解析に関係するrotや線積分についてはこの本よりもわかりやすい本があるので、私のようなレベルではそちらの本を見たほうが良いのではないかと思った。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、1階文庫本コーナー 請求記号:408//B59//1738

  •  物理数学をとっつくにあたって立ち読みして面白そうだったので購入。
    この手の本の中では最も古く、かつ最もまとまっていると各所でレビューされていたが、比較的そのような印象を受けた。

     それよりも個人的には「やや長めの後記」に非常に感銘を受けた。三体問題(2つの天体における位置の計算は容易だが、3つ以上の天体の位置を計算しようとするととたんに難しくなる)に端を発して、ここ300年程度の人間社会の振る舞いを作用マトリックスで説明しようとしており、あまりに細分化しすぎること、その細分化したものだけを考えることへの警鐘が鳴らされている。

     細分化によって失われる、全体の不可分な性質は普段から気をつけているのだが、行列で考える事でなんとシンプルに表現できたことか、と目から鱗であった。

     ぜひ理工系の学生には一読してもらいたい、と一理工系の学生として感じた。

  • 大学1年の時に買っておきながら、ずっと積ん読→読まないから売り払ったのだけれど、ブルーバックス版になっていたので、暇つぶしの読書で読むか・・・くらいの気持ちで購入。
    そして思い知りました。

    この本はすごい本です!
    もっと早く読んどきゃよかった・・・

    (物理)数学を、竹を割ったようにすっぱりと解説してくれます。

    フーリエ級数や複素解析論など、どれだけやっても「結局これはどういうことに相当するんだろう?」という気持ち悪さが残っていたのですが、それがこの本を読むときれいサッパリ消え失せていく爽快感がありました。
    ここまでイメージ豊かに表現できている数学書はちょっとないと思います。

    星25個くらいあげたいくらいです!!

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著者プロフィール

パスファインダー物理学チーム代表

「2022年 『世界史の構造的理解』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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