痾 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062639705

作品紹介・あらすじ

忌まわしい和音島の殺人事件の後遺症で記憶喪失になった如月烏有は、記憶をとり戻そうと寺社に連続放火。すると焼け跡からは焼死体が発見される。その彼のもとに「今度は何処に火をつけるつもりかい?」と書かれた手紙が届く。烏有は連続放火殺人犯なのか?名探偵メルカトル鮎が真相に迫る新本格ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 夏と冬の奏鳴曲の続編にあたる作品。ただし前作の謎は何一つ解明されないので期待は禁物。ただし前作と比べるとかなり読みやすくはなっているように思う。
    終盤の怒涛の死人続出では多くの謎を残し、モヤモヤが募るのはこれぞ麻耶節か。決して人に面白いと勧められる作品ではない。

    メルカトル鮎が天才っぽさを出しており、嬉しいところ。木更津悠也の出演も期待して読める。大した活躍をするわけではないが。

  • メルカトル鮎シリーズ3作目。この読む順番を間違えると致命的ネタバレを喰らうので注意されたい。
    話の方は前作の主人公である烏有さんが記憶喪失になるという衝撃的な冒頭から日記形式で進んでいく。前作からすると本作ではメルカトル鮎、木更津、香月と過去作登場人物が出てくるのが意外だった。
    色々と書きたいが、やはりネタバレ無しで読んで頂きたいのでやめておくがヤバい作品でやはり賛否両論ありそうあることは記す。

  • あの問題作「夏と冬の奏鳴曲」の続編。
    これで前作の不明な部分が判明すると思ったら、烏有さんまさかの記憶喪失で前作の事をまるまる忘れるという...
    そこからはまぁ鬱々とした迷走に次ぐ迷走っぷりを見せつけられて、最後になんかあると思ったら、迷走したまま終わりました...

    ちなみに今作の烏有さんは寺や神社に放火(これは操られたせいだけど)猫虐待、死体損壊(放火)、同僚の自殺の原因を作る、JK孕ませと、やることやってんねぇ!

  •  真夏に雪が降ったあの事件の生き残り“如月烏有”。 彼は事件に関するすべての記憶を失い元の日常に帰りつつあった。 しかし、ある女性と絵との出会いによって彼の記憶の奥底に眠っているものが呼び起こされる。 気付くと烏有は灯油とライターを持って燃え盛る寺院を前に立ち尽くしていた。 導かれるままに放火を続ける烏有、だが現場には覚えのない死体が毎回転がっているのだった・・・。

    夏と冬の奏鳴曲の主人公が記憶を失った状態で再び登場。炎を前に呼び起こされる謎の記憶、なにかを見透かしているようなタキシード姿の探偵、かつての恋人に似ている前衛画家、謎が謎を呼び烏有くんの正体はまた闇の中へ。続編というよりかはまた何か伏線を張られたような釈然としない話だった。特に続編出てないけど。

  •  『夏と冬の奏鳴曲』の続編に当たる本作、絶版にはなっていなかったようで、某大型書店で発見した。正直、何が何でも読みたかったわけではない。

     『夏と冬の奏鳴曲』の事件の後遺症で、記憶喪失になった如月烏有。自分も『夏と冬の奏鳴曲』の内容をかなり忘れていたのだが…。烏有は、記憶を取り戻すためにどうしたかというと、神社に連続放火し始めた。………。

     神社訪問が好きな自分は、この時点で感情移入不可。感情移入できる麻耶作品なんてないけども、ここまで酷い設定はなかったと思うぞ。なぜか、毎度、焼け跡からは焼死体が発見されるのだが、1件目の時点でどうでもよくなってしまった。

     本作の初版刊行は1995年5月。現在ほど防犯カメラが普及していないとはいえ、警察にはなかなかバレない。一方で、烏有の元には告発状というか脅迫状が届く。しかし、烏有に一切同情しないし、誰が真犯人なのかに興味も湧かない。

     中盤で、烏有はメルカトル鮎に呼び出されるが、その場所とは殺人現場。ショック療法かと思いきや、さほど動揺していない烏有。放火犯だけに、やっぱり頭のネジがぶっ飛んでいる。だからメルカトルに目を付けられたのか。

     とにかく烏有の周りの人がたくさん死ぬ。ある人物はあまりに不憫だし、彼まで死なせなくてもよかったのではないか。烏有はもちろん、誰も救われない話だが、まったく重さを感じない。考察する気力もない自分は、ただ呆れるだけ。

     麻耶フリークなら『翼ある闇』から順番に読んでいると思うが、本作が『翼ある闇』のネタバレになっていることは、書いてもいいだろう。一般読者がうっかり本作を手に取るなんてことはまずないと思うけども、ご注意を。

     本作の最大の特徴は、漢字でも平仮名でも1文字のタイトルではないか。真っ当な本格ミステリを期待して読んではいないが、解説で有栖川有栖氏が「坐りが悪い」と評するくらいだから、凡人に読み解けるわけがなかったのである。

  • メルカトル鮎シリーズ第3弾!!

    このシリーズ、ツボだわぁ…♡⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝
    色々錯綜してて、最後はめっちゃ好みの結末に!



    前作『夏と冬の奏鳴曲』で和音島での恐ろしい事件から生き延びた烏有と桐璃。

    ところが、烏有は記憶をなくしてしまいます。

    あんな事もこんな事も全部忘れてしまっただなんて…( ´•д•` )

    そして、何故かお寺や神社に火をつけます…(^▽^;)

    もうめっちゃおもろいやん。

    『夏と冬の奏鳴曲』なかなか難解でしたが『痾』を読むと繋がりで分かってくる事も…!

    一作読んでやめてしまうのは勿体無いですね(*^^*)

    『夏と冬の奏鳴曲』は音楽や絵画における芸術的な理論がかなり多かったのですが、今回は少しやんわり。
    ですが芸術的なこだわりはかなり強く感じます。

    『翼ある闇』の木更津と香月。メルカトル鮎が登場。

    【ビブルの会】なる、探偵小説好きの人が集まって夕食を共にする会も、毎週火曜日に開催。
    いいなぁ…。

    タイトルの『痾』は、ググったら『病気』の意味らしい。
    確かに頷ける。

    メルカトル鮎シリーズ、まだ3作目ですが、めちゃめちゃ好み‎߹ㅁ‎߹)♡
    黒死館殺人事件のように、一作を細分化してゆっくり読み返したいと思ってしまいます。
    (それだけ難解な箇所が沢山…(-∀-`; ))
    恐らく、全て読んで全体を把握してからだなと。
    繋がりから分かることの方が多そう。

    続けてシリーズ刊行順に『メルカトルと美袋のための殺人』を読みます(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク

    賛否両論あるかと思いますが、大好きなシリーズです!!




  • 麻耶雄嵩は「翼ある闇」も「夏と冬のソナタ」もちゃんと読んだはずなんだけど、

    どちらも読んだのは10年くらい前。

    内容は全然覚えてない。

    そういう状態でこの本を読むと、

    何が何だか分からない。

    (これが前二冊の続編のようなものということも、

    解説サイトを見て知った)

    タイトルの意味も分からなかった…

    え?これってミステリなの?そうなの?みたいな…

  • 麻耶雄嵩のデビュー作から順を追って読み、これで3作目。

    麻耶ワールドに慣れてきて「わぴ子」という奇っ怪な名前にも
    ノー突っ込みになってしまう始末。
    以前、山科に10年以上住んでいた身にはローカルトークも楽しくて。
    そこはいいのだが。

    読了して、前作同様、「うーん・・・?」と首をかしげてしまうのは
    やはり麻耶ワールド。

    しかしクセになるというやつで、また、
    気が向いたら麻耶作品を刊行順に読むことになるんだろうと思われる。

  • 名探偵の宿痾。
    人間一般は統計的データに過ぎないのかもしれない、という強烈な諦観が美しい。誰もが誰かの代替品でしかない、駒のような登場人物たちに痺れる。全員役を演じる人たち、なんだろう。
    訳はわからないが、めちゃくちゃ面白い。次はお前だ。

  • 編集長にもうちょっと触れてほしかった。
    猫の扱いひどいのがちょっと気になった。
    和音島での記憶を思い出したら今度こそ烏有さんやばいと思うので一生忘れてて欲しい。
    木製の王子では探偵役らしいので楽しみ。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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