- Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062647069
感想・レビュー・書評
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この作品も早い段階で犯人が分かった。犀川先生と萌絵の今後も気になる!
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「相手の思考を楽観的に期待している状況。これを甘えているというんだ。気持ちなんて伝わらない。伝えたいものは、言葉で言いなさい。それがどんなに難しくてもそれ以外に方法はない。言い方や、言い回しじゃない。内容はちゃんと伝えないとね。それが言葉の役目だから。」 「花が枯れても人は泣かない。花はまた咲くからか。いや、人間だってまた生まれる。失われるのは躰ではない。死んだ者の記憶だ。だが、記憶でさえ電子的に保存することができる。再生できないのは人間の思考だ。思考だけが今の技術では再現できない。」
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犯人は推察できた。トリックも半分は犀川先生の解説前に予測がついた。だけど、「冷たい密室と博士たち」の時と同じで、私には犯行理由がどうしても理解できない。読み終えてモヤッとする。だけど、国枝助手とのやり取りは好き。「夢と希望はどこが違う?」の国枝助手の回答にはごもっともだと思う。
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巻末、「すべてはFの手にー森ミステリィの女性たちー 菅聡子 」を読んで。まとめ。
ミステリーにおける探偵に必要不可欠な〈好奇心〉。
一般的に彼らは(殺人)事件及び事件に関するあらゆる事象へ自らの〈好奇心〉を発動させることで、図々しくも事件の解決へと導く。
本作における探偵=犀川においては圧倒的に〈好奇心〉が欠如している。
あるのは犯行手段(本作では密室)等への僅かな〈知的好奇心〉だけ。
犯人やその動機については一切興味がない。
したがって萌絵の無敵お嬢様パワー全開の〈好奇心〉無くして、犀川は探偵という役割を担うことはできない。
つまり探偵に不可欠な〈好奇心〉を萌絵に代行してもらうことで、犀川が巻き込まれ型探偵に徹することができる。ということ。
「〈犯人〉犀川を見たい」という筆者の言葉。
考えたこともなかったが、きっと緻密に計算された恐ろしく美しい犯行をするのだろう。 -
面白かった。いつも犀川先生がトリックを説明する時に、警察や他の人に質問をしたり考えさせるのが勿体ぶってるように感じてそこだけいつも早く言って!と思う。このシリーズはいつも面白い。
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論理的な仕掛けが大半で詩的なフレーズや葛藤は一般的なミステリーより少ないので感情移入はしづらい。そういった本を求めてる人は読むのを控えておいた方がよいかも。
ただトリックが巧妙でなにが問題なのかすら見えづらく、色々考えながら読み進めた上でしか味わえない爽快感がある。