住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち (講談社+α新書)

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062728140

感想・レビュー・書評

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  • ドイツに住んでいる筆者がドイツから日本を見て良いところ悪いところを比較する、またドイツの現在の状況を見て将来の日本を心配している事を読者に警告した本。
    日本人の悪いところは本当に主張をしない、プレゼンが下手、と言うところはその通りかも。またそれでも日本の良いところはやはりいっぱい有り、鉄道の正確さ、サービスの良さ、宅亜日便の正確さ、治安の良さなどはやはり日本ならでは。ドイツも良いように自分たちは思うが住んでいる人からすると全然良くないようだ。
    また今のEUの状況が現在日本が加盟しようとしているTPPと同じように見えると言っているがまさにそうかもしれない。いや日本の場合はドイツより状況は悪いかも。国家赤字がイタリアよりひどい、そんな国がいつ破産してもおかしくない。いつデフォルトになってもおかしくない。自己防衛しないといけないぞ! 金でも買っておこう!(^^;

  • とある書店の新書コーナーでベストセラーと紹介されてて、「自分がよく行く他の書店ではそんなに目立つ陳列もされてないのに、面白いもんだな」と思いつつ、タイトルにひかれて買った。この著者もこの新書レーベルもはじめて。

    タイトルから『日本人の知らない日本語』的な、文化や慣習の違いを面白く比較する、軽めの、エッセイみたいなものかなと想像したけど、とてもまじめな内容だった。内容は領土問題、原発や電力会社、エネルギー政策、教育制度、EUとTPPなどなど。読んだ感じは『国家の品格』や『貧困大国アメリカ』などに近いかな。そういえばドイツに関する本は今まで読んだことなかったし、知らないことがいっぱいで勉強になった。読みやすかったのもいい。
    漠然と「きっとドイツはいい国なんだろうな」と思っていたけど、いいことばかりでもなさそう。ドイツ鉄道の話は驚きとともに笑った。きっと他の国だったらもっとひどかったりするんだろうな。やっぱり日本の鉄道は世界一なんでしょう。

    終章の、EUの財政問題はとても興味深かった。EUにおけるドイツとTPPにおける日本は同じ立場としており、ドイツの先例から学ぶことは多そう。

  • 読んだ印象では8勝2敗よりもっと負けが多い気がする。他国の良い面を取り入れより良い日本を築きたいものだ。私が知らないドイツを垣間見れてよかった。

  • 教育システムの話、面白かったです。

  • ドイツ鉄道に関しては、納得。ドイツに旅行した時によく使わざるを得ないけど、あれはサービス的にひどい。

  • ドイツ人には住みやすさということに「勝ち負け」という認識は無いのではないか。

     「世界の多くの国が、イメージのほうが実態よりも良いなかで、日本は、実態のほうがイメージよりも良い唯一の国ともいえる。」という著者。実際に住んでいるドイツの教育やサービスなどのケースを紹介し日本と比較することにより、その根拠を明らかにする。

     列車が故障で止まってもなんらの説明もなく長時間待たされた挙句一方的に突然降ろされたり、エアコンが故障し車内の温度が60度になってもまるで他人事のドイツ鉄道。就業時間を一分でもオーバーすれば「損」という労働意識、いち早く脱原発に踏み切ったお国事情など「堅実で勤勉な国」ドイツの実態が生活者としての立場から発信されています。

     著者の二国間の比較からは、二時間ごとの時間指定で届く宅配便、時刻通りに発着する列車、基礎学力の高い国民、など日本のシステムは奇跡に近いことがわかります。言いたいことが言えないお国柄、借金まみれの国庫、貧しい福祉制度に格差社会の不安など日本も挙げればきりが無いほどの問題点があるように思えますが、こうして外から見てみれば確かにまんざらでもなく、住みにくい国とは言い切れないようです。

     でもこれってやはり日本以外の国に「住んでみてわかる」ことなんですよね。ドイツに限ったことではないけれど、結局よそを知らなければその国のひとにとっては(日本と比べて)どんなにひどい状況もそれがスタンダードなわけです。

     決して「それでいいじゃないか」ということでは無いですが、ここに書かれていることを日本を知らないドイツ人が知ったとしても、ドイツに住んだことがない日本人が本書を読んで「日本ていい国なんだなぁ」と感じるほど、ドイツ人は「ドイツって住みにくい国なんだなぁ」とは思わない気がします。つまりここに書かれているドイツと日本の差とはそういうことに集約されるのではないかと思いました次第。

  • 著者の川口マーン恵美さんは、日大ピアノ科を卒業したのち、シュトゥットガルト国立音大に進む。おそらく、音楽をベースに活動されている方で、現在もシュトゥットガルトに在住だ。娘さんも(おそらく2人)おられ、日本でインターン研修をするくだりもある。そんな川口さんが、ドイツから日本を見て評した本。でも、根底には日本に送るエールがある。たとえば、こんなことを言っている。「これだけは自信を持って言うが、日本ほど痒いところに手の届き目細やかなサービスを享受できる国は、世界中探してもどこにもない」と。

    ドイツがなぜ、EUの中で脱原発を推進しているのかなど、よく理解できた。その場所に住んでいる当事者じゃないと分からない肌の温度を感じることができた。日本の問題は、国内にいると見えにくいことが多々ある。外国に住む人が日本を見るときに見えるもの。そういう視線を得るために、こういう本を読むのだと思う。

    蛸壺になってはいけないのだ。グローバルっていう掛け声だけでなく、足元の先をずっと見ることも大切。その足を踏み出そうとしている自分を俯瞰できる視点を与えてくれる。

  • 文化論かと思いきや初めに政治的な話からスタートしたのが残念。

  • 仕事で接する若手ドイツ人の自己中心的で傲慢な態度が不思議にみえたので、それがドイツ人全般との価値観の違いから来るものなのか、その子の特殊性なのか興味があり通読。ドイツ在住30年にも関わらず日本語表現力がとても高い。前書きだけで全体を読んだ気にさせる。中身は日本と比較したドイツ生活での経験・気付きが中心で、ドイツ人気質を理解する良書。短時間勤務&高給が故の生産性に関するストレスや、長期間だがリフレッシュできない休暇旅行といったの話は日本社会以上に自虐的で面白い。サービス概念が希薄なのはドイツだけでなく欧米全般に共通かもしれない。日本の義務教育はドイツよりずっと良いが、エリート教育は遅れており、その必要性の有無についての言及は同感。ただ筆者は尖閣列島に漁船で近づくなど政治的側面のある方のようなので、多少の偏見を想定して読む必要はあるかもしれない。職業経験も多くはなさそうなので、経済や技術面の記述はご愛嬌。

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著者プロフィール

作家、ドイツ・ライプツィヒ在住。日本大学芸術学部卒業後、渡独。1985年、シュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科修了。2016年、『ドイツの脱原発がよくわかる本』で第36回エネルギーフォーラム賞・普及啓発賞受、2018年に『復興の日本人論 誰も書かなかった福島』が第38回の同賞特別賞を受賞。近著に『メルケル 仮面の裏側』(PHP新書)、『無邪気な日本人よ、白昼夢から目覚めよ』(ワック)などがある。

「2022年 『左傾化するSDGs先進国ドイツで今、何が起こっているか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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