ブラックボックス

著者 :
  • 講談社
3.10
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本棚登録 : 2850
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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065273654

感想・レビュー・書評

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  • 映画すばらしき世界を思い出した。

  • ずっと遠くに行きたいと思っていた。今もそのように思っている。

    遠くっていうのは、想像もできないような未来?のような気がした
    そういう自分には分からないが自分にとっての理想の未来のようなものを漠然と求めつつも、それがどれくらいの努力とか苦労の先にあるのか分からないのが苦しい

    だから、タスクを積み重ねた先のゴール?
    制度のように決まった分かりやすい未来があるのは生きやすいという気持ちにもなる

    でも、結局は自分がどちらを求めているのか分からないような、どちらに向かっていくのが正解なのか分からないような、若い世代の途方もない悩みを表しているように感じた

  • おもしろい。おもしろいのだけれど、芥川賞ってどういうことかはわからなかった。描写の上手さ、心情も情景も。そこには無駄がない。

  • 面白かった。

    前半どういうところに繋がっていくんだろうって気持ちで読み進めていって、一転して刑務所に場所が移る。

    大団円とは程遠い終わり方だと感じたけど、なぜか読んでいてものすごく気分が盛り上がるし、衝動が抑えきれない主人公に対して、何か面白いものを期待しながら読んでしまう、暴れ狂っている主人公は見ていて爽快な気持ちになる。

    彼の生き方は間違っていたのか。

    それとも、彼のような生き方が世の中ではむしろ必要なんじゃないか、彼のような暴力性がないと、物語が始まらないんじゃないかって気がしてくる。

    ぶん殴りたい奴はね、ぶん殴ってやればいい。

    手紙のお返事も書かずに物語は終わる。

    どこへ向かっていくの…余裕のない心理描写が中心になってくるというか、それが物語には欠かせない要素なのかもしれないけど、芥川賞獲るような作品って何か振り切ったとんでもないエネルギーの塊みたいに感じるし、私のような教養のない人間でも十分楽しめる。

    ありがとうございました。
    最高。

  • 冒頭から共感できず読み進められなかった。。

  • 読んでいて「ケーキの切れない非行少年たち」が頭をよぎった。

    メッセンジャーとして働くサクマ。
    どの職も長続きせず、なんとか続いたのがメッセンジャーとしての仕事。仕事仲間と話すこともできるし、生活のために働かなければという思考回路もある。それでも他人とはどこかズレていて、表面的であっても他人を理解することができなくて、衝動的な行動にも出てしまって…なんだか苦しかった。

    「ケーキの〜」を読んだことにより、本人が全て悪いとも思えないのだ。

  • 芥川賞受賞の割には終わりがめっちゃモヤモヤしてるわけでもなく、読みやすかったと思う。
    私にはそれが良かった。
    読み始めた時に、自転車の用語がかなり出てきて状況の把握ができなかったが、そこを超えたらやっと物語が掴めてきた。
    途中で急に場面が変わったところは戸惑ったし、それがあまりない展開だったので意外だった。

  • 心の空虚感を表現するのが上手いと感じた。
    自分の衝動を抑えられないことも、自分に嘘をつくことなのか。
    もう一度読みたい。

  • 主人公の目線で語られる1人語り調の回顧録。
    メッセンジャーの仕事、刑務所内の生活にリアリティーを感じたが、結局主人公の心情の変化など、何を伝えたかったのかがわかりづらかった。

  •  自転車に乗って顧客の重要書類を運ぶ「メッセンジャー」のアルバイトしている二十代のサクマ。些細な契機でコントロール不能な怒りの衝動に駆られることが多々あり、そのせいで仕事を転々とせざるを得ない生活だった。ある日アルバイト中に自動車と接触事故を起こし、それを機に自分はいつまでこの生活を続けるのだろうと思いを馳せ、焦燥感に襲われる。その一方で、相変わらず前触れなく湧き起こる暴力的な衝動を抑えることはできず、次第に追い詰められていく。芥川賞受賞作。

     読み始めてすぐ、間違えた、と思った。まず冒頭カタカナの自転車用語が連続的に出てきて意味がわからない。そもそも自転車関連の用語であるということすらもしばらく気付けなかった。いきなり何の話?完全に置いてけぼりを喰らった。そして文章。力みすぎていて、他にはない唯一無二の文章を書こうとするあまり聞き慣れない単語を無理に使おうとしているような独りよがりな文章に見えて、引いてしまった。もちろん、こういう文章をかっこいいと感じる人もいると思う。気合い入ってて、疾走感あっていいじゃん、と。わたしには合わなかったというだけのこと。

     小説は、自分には書けない美しい文章に圧倒されたくて、想像力を掻き立てる洗練された言葉の連なりの中に埋没していきたくて、読む。だから文章を苦手と感じてしまった時点で、ストーリーに入り込むことも難しくなった。今のわたしが、人生を憂い、荒んだ二十代男性の心情や好意を理解しようとすること自体がナンセンスなのかもしれないし、サクマと同じ年代の頃に読んでいたら、内容に対する感じ方も違っていたかもしれないけれど、んー、でもやっぱり、怒りの衝動を抑えられず誰彼構わず暴力を振るうというのは経験がないし、人生このままでいいんだろうかと悩みながら目を逸らして何も行動を起こさないという自己破壊的な生き方も理解できないし、そういう友達もいないし、やっぱり若い頃に読んでいても同じ感想に行き着くような気もする。第一、若い男性が主人公でおもしろかったと思う小説はいくらでもあるわけで、やっぱり作者との相性の問題だろうなあと思う。

     今のわたしは、本屋大賞と同じように芥川賞関係の本も合わないらしい。川上未映子『わたくし率〜』(候補作)、宇佐美りん『推し、燃ゆ』、羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』などなど、わりと好きになれないものが多い。安部公房『壁』は好きだったな。これから受賞作を読むなら直木賞にしよう。そして芥川賞が気になるなら文藝春秋を買って読もう。自分のこの好き嫌いが年齢を重ねてどう変わっていくかが少し楽しみ。

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著者プロフィール

1990年、大阪府生まれ。神奈川大学卒業。元自衛官。現在、地方公務員。2016年、「市街戦」で第121回文學界新人賞を受賞。他の著書に『戦場のレビヤタン』『臆病な都市』『小隊』がある。

「2022年 『ブラックボックス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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