ブラックボックス

著者 : 砂川文次

• 講談社 (2022年1月26日発売)

感想・レビュー・書評

[ひっかさんの感想 · 2022年2月13日]

最近柔らかめの文章の作品が続いてたからか、こういう硬めの文章を読むのは慣れるまでちょっとキツかったー。
中盤から一気に話が動き出した感じ。最後はちょっと希望も見えつつ終わってよかった。人生は先が見えないブラックボックスのようなもの。

[ロンロンさんの感想 · 2022年2月11日]

心理描写が自分にとって読みやすく、ストーリー展開のスピード感も丁度良い。写実的な文章が好みに合っているのだろう。
自分に馴染みのない、縁遠い世界が舞台だが、情景が目に浮かぶようだった。筆者自身も経験のない領域であるはずなのに、精神面も含めて、正に見てきたかのような想像力が凄い。
次回作が楽しみ。

[たまおさんの感想 · 2022年2月9日]

『ブラックボックス』読み終わった！
前半と後半でガラッと変わってびっくりしました。
タイトルの通り、世の中はブラックボックスなんだと感じました？
そして、『推し、燃ゆ』読み終えた時と同じように気持ちになってます笑
サクマには良い未来があってほしい…

[ねもてぃーさんの感想 · 2022年2月6日]

余白がすごい。いろんな解釈の幅があって、それを理解できたら自分の成長感じる。

サクマは何故自分の衝動を抑えられないのか、反射的に動いてしまう。そのスイッチやそれを構成するものは何か。

周りへの羨望でもなく、劣等感でもなく、この先どうなるのかという不確実な未来に対する不安だろう。
何かが一生続くと無思考的になっているのか、それともそこから逃げているだけなのか。

“明日がわからないということ、昨日と似てはいてもやっぱり今日と明日は違うと言うことはむしろ当然であって、そういう日々を放って一生担保された本当は欲しくないのに求めていた”

[chobiisukeさんの感想 · 2022年2月5日]

芥川賞受賞作ということで手に取った。
内容は大きく前半と後半に分かれるが、基本的に主人公の日常を淡々と描く。大きな事件も起きるけれど、それらは過去形で回想され、主人公の生活を変えた原因の割に、彼の脳内ではどこか色褪せていることが読み取れる。

「ちゃんとする」ということに主人公は憧れるけど、できないし諦めている。一方で、「ちゃんとする」のが何を指すのかは漠然としていて、掴みどころがない。
たぶん自分はある程度この「ちゃんとする」のレールに乗れてしまっているのだとは思うけど、その実態のなさや脆さを感じた。

ラストは個人的には明るい印象で良かった。

[ikuodanakaさんの感想 · 2022年2月1日]

自らの中にあるブラックボックス。ここで描かれる主人公と市井の人々、そして自分自身のあいだに幾ばくの隔たりがあるというのだろうか。
単純に「おもしろい」という言葉で切り取ることは躊躇われるような、どす黒い何かが沈殿する感覚がある。
この主人公に対して共感できないという人は、共感できると言うことに対して躊躇うがゆえにそうのたまうのか。それとも本当に共感できる人が少ないのか。少なからず自分自身の内なるものとの共感が得られてしまったことが、果たしてよかったのかそうでないのか。
ぐらぐらと自意識が揺さぶられるような作品だった。

[洋子さんの感想 · 2022年2月1日]

芥川賞受賞作品

元自衛官で公務員の方がどのような文章を書くのか興味があったため購入。
主人公はきっと社会にはいる存在なのだろうけど、よく理解ができなかった。
ただ、語彙力の豊富さ、文章の言い回しの多様さは素晴らしい。

[かーかーさんの感想 · 2022年1月30日]

底を見た気がするけど底でもなんでもないんだろうな

[ひるふさんの感想 · 2022年1月29日]

衝動的にキレることを抑えられない主人公。学生時代にはこういう人いたなぁと思うけど、最近は滅多に目にしなくなったな。

[rwzさんの感想 · 2022年1月29日]

定められた不自由に心地良さを感じる主人公が現代人っぽい。
レールは多様化しているのに、自分の人生は同じことの繰り返しのようで、それに漠然と不安を抱くのとか分かる。

比較的読みやすくて面白かった。

著者プロフィール

1990年、大阪府生まれ。神奈川大学卒業。元自衛官。現在、地方公務員。2016年、「市街戦」で第121回文學界新人賞を受賞。他の著書に『戦場のレビヤタン』『臆病な都市』『小隊』がある。

「2022年 『ブラックボックス』 で使われていた紹介文から引用しています。」