- Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065273654
感想・レビュー・書評
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芥川賞のイメージに当てはまる作品。
前編、サクマを寂しいやつだと見ながらも、自らにも当てはまる部分が多く、いわば現代の普遍的な人物の心情を詳細に書き記す文面の数々に疲弊したりもした。
周りの人間を蔑んで自分を保つサクマを悪としても見れなかった。改善の余地を見出しても負けてしまうある種の人間らしさも垣間見えるからだ。
楽な決断に逃げる様など。
どんな日々を積み重ねたら納得できるゴールがあるのかは分からない。
後編、刑務所。「繰り返しを繰り返すことが嫌だった」
繰り返しから逃れること。を望んでいたのに繰り返す生活の最たる例の刑務所で改められる。
自分。全てが自分。
自らで生きづらくしてしまう。
サクマは前編で感じたよりも不器用な男だった。
この時代では特に生きづらさを感じるであろうことが心情と考えの描写でよくわかった。
作者はどちらのタイプなのだろうか。どちらにせよここまでサクマを描き切るのはすごいと思った。
日々は対して変わらないが、変わったとしても生活は続くし、終わったとしても終わりはない。哲学だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
芥川賞ということで読んでみたが、半分で辞めました。合わない。こういうのは。
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自転車に乗って配達の仕事をしている前半部分は、知らなかったことを知れた面白さもあり、物語がどうなっていくのかと気になっていました。後半は暴力が多く怖いという気持ちも多く、話に入りきれずに終わった感じです。
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主人公がダメ人間。苦役列車と似たり寄ったり。
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前半後半で全く景色の違うお話。ちょうどテレビでメッセンジャーや宅配員の特集を見た後に読んだので、前半はかなり生き生きと登場人物が動いていた。主人公はたがが外れると問答無用に相手を攻撃する。全く寄り添えないし、描写は怖かったけれど、それもまた本を読む醍醐味のような気がします。
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自転車便のメッセンジャーとして働くサクマ。不安定な雇用でなかなか先が見えない。同棲中の彼女がいるが、未来が見えない。そんな若者の暮らしが表現されており、そこから現実を見てみると、今の若者とサクマのような立場で生活せざるをえない人がたくさんいるのではないだろうか。本人が悪いわけでもない、でも社会を否定するわけでもない、その無力感が作品に出ていると感じた。20代くらいの人が読めば、大きな共感を得られるかもしれない。サクマも普通に暮らしているだけ。でも普通の世間での暮らしと刑務所での暮らしで何が変わるのか。バブル崩壊後の若者に厳しい日本の閉塞感を見事に表現していると思う。
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怒りの衝動を抑えられない主人公には全く共感できないが、昨今の事件の加害者たちはこんな感情や気性を備えているのかもしれないなぁと思いながら読んだ。理解はできないけど、知ることはできる。そういう意味では、読んでよかったと思える作品。
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生きづらさ
もがく心の
揺らめきを
あらわす主役に
共感できず