- Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065273654
感想・レビュー・書評
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自転車メッセンジャーとして働くサクマ。
おそらくADHDと思われる。そんな彼が見る世界。
この世はブラックボックスで満ちている。自分自身の事ですらクリアに見ることはできない。認知の限界や不安定な世の中で先行き不透明な今後の人生。もやもやとした暗さの一方で、今この場所、少しの変化に目を向ける事への気づきなど人生の本質を描こうとしているように思いました。
めちゃくちゃ面白かった。時事問題も扱っている点でもっと早く読めばよかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一瞬一瞬の細かな描写が面白い。特に冒頭はごく僅かな時間の出来事を鮮明に表現していて、止まった時間の中にいるようだった。なのに疾走感がある。
メッセンジャーとして働く主人公。初めはごく普通の男性に思えたが、だんだんとその裏にあるものが垣間見えてくる。それが良くないことと認知しているが制御が効かない。
主人公のたくさんの苦悩、そして僅かな成長を見届けた。 -
2022年の芥川賞受賞作品ということで読んでみたが、自分には奥が深すぎるのか、正直そこまでなのかというのが感想である。
主人公は普段は寡黙であるが、一度点火してしまうと怒りを抑えることが出来なくなってしまう青年が、職を転々とした後にメッセンジャーとして生計を立てていた。
前半はメッセンジャーとしての話、後半は予想外の展開の中で主人公の内面がえぐられていく。一度ドロップアウトした人生から抜け出すことの難しさが伝わってくるが、著者の真意はもっと奥深いところにあると思われる。 -
第166回芥川賞受賞作。
いま流行りの個人で宅配を請け負う仕事を生業とする主人公。冒頭から危険運転で自損事故を起こす、不吉な予感から始まる。刹那的な生き方をする主人公の一人語りで進行する。タイトルが暗示する見えているようで、見えてない世界を浮遊する。
コンビニのバイトで知り合った彼女との間に子供ができるが、税務署から訪れた職員の何気ない表情から切れ、駆けつけた警官ともに暴行を働き刑務所に入れられる。ここでの生活から、主人公は外ではわからなかったゴールの感覚を理解していくが、脱力感さえ感じさせる思考からは先が見えないなか、どうなっていくのかの答えを提示せず、余韻を残して読者に事後が委ねられる。著者の感覚が投影されたような不思議な空気に包まれた小説である。 -
とても幸せとは言い難い他人の人生をただひたすら聞かされてる気分だった。ずっと「早く終わらないかなぁ」と思いながら、読み進めていった。
フォントのせいなのか、自転車に興味がないからなのか、読みづらかった。主人公も苦手。不良すぎる。
この本のメッセージをある程度掴むとするなら、最後の3ページで十分だと思った。 -
初めから終わりまで終始、主人公のサクマに感情移入出来なかった。お堅い文章かと思いきや、PS4、少年ジャンプ、マジックザギャザリング、Uberなんかも出てくる。
遠くに、ここではないどこかに…
ケイデンス、ハンガーノック、地球ロックなど、知らないワードも良かった。