メロスの翼

著者 :
  • 講談社
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感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065314586

作品紹介・あらすじ

第10回静岡書店大賞受賞の横関大が誘う最高の感動。

世界中の強豪選手が集結した「第1回東京レガシー卓球」。
会場では、ある中国の補欠選手が注目を集めていた。
初戦でいきなり世界ランク3位の選手を一蹴した男のユニフォームには、なぜか日の丸が縫い付けられているのだ。
彼は一体、何者なのか。
次々と明らかになる男の過去。
ことの発端が21年前のある出来事に関係していると明らかになり--。

過去と未来が交錯する、絆のラリーが始まった。

感想・レビュー・書評

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  • 東京アリーナで行われている、中国人同士の卓球の試合を見ていた帝都テレビスポーツ局の社員、中丸は中国人で健闘している選手の一人毛利翼(マオ・リーイー)が日の丸のタグを背中につけているのを見つけます。
    なぜ、中国人選手が日本の国旗を背負って試合に臨んでいるのか?

    21年前。
    片桐弥生という大学生と羽根雅人という22歳の気立てのもの凄くいい無職の青年のカップルが弥生のアパートの隣の部屋の子どもが、母親の交際相手から虐待を受けているのに気づき子供を助けますが。
    母親の毛利愛美は自殺してしまい、当時4歳だった子供の翼少年は養護施設へ入ることになります。

    そして翼は静岡の小学校で三崎啓介というクラスメイトから卓球を教わります。そこからこの物語は始まります。



    この作品はミステリーだと思いますが、とても読みやすく卓球でこんなに熱くなれるとは思いませんでした。
    出てくるキャラクターがみんな魅力的です。
    まず、翼を助けた羽根雅人は人助けばかりしている超イケメンです。
    そして成長した翼の素直で健全なところ。啓介との友情。

    途中で話の内容はわかってしまい、ちょっとできすぎだと思うところもあるのですが、この作品が嫌いな人はいないと思います。
    今まで読んだ横関大さんの作品の中で一番よかったです。

  • 友情と絆の物語
    人と人との繋がりが「毛利翼」という青年の人生を動かしていく


    東京アリーナで開催されているのは、卓球の世界規模の大会「第一回東京レガシー卓球」
    中国人同士の対戦は白熱した展開となっている。
    しかし選手の一人、毛利翼(マオ・リーイー)のユニフォームの背中に小さな日の丸がついている!?
    どういう事だろうか?…

    現在と過去が交互に描かれ、次第に重なり合っていくストーリー。
    途中からは夢中で頁をめくり、最後には涙が止まらない大感動の物語だった。
    ミステリーという面では、途中から展開が予測できるものの、それ以上に強い絆が胸にぐっとくる。

    また脇役たちがとても良い。
    登場場面は少なくても、それぞれの生き方がちゃんと見えて印象的。
    中でも重要な役割を担っているイケメンくんは、もはや脇役ではないのかも知れない。



    横関大さんの作品は初読みでした。
    難しい表現もなく、さらさらと読める文章は、容易に物語の中へ入り込めるので好きです。
    映像化されている作品も多い作家さんなんですね。
    他の作品も読んでみたいです。

    • Manideさん
      aoiさん、こんにちは〜

      この作品、評価高いですよね〜

      友情と絆だなんて、いいですね。

      卓球の小説というのは珍しいですよね。
      スポーツ...
      aoiさん、こんにちは〜

      この作品、評価高いですよね〜

      友情と絆だなんて、いいですね。

      卓球の小説というのは珍しいですよね。
      スポーツ好きなので、いつか読んでみたいです。

      なんか、涙がでるというのが、話の展開が見えなくて、イマイチ想像できないですが…面白そう(^^)
      2023/11/16
    • aoi-soraさん
      Manideさん、こんばんは
      想像できないですよね(^^ゞ
      でもネタバレしないほうが楽しめますよね〜
      確かに近年は卓球人気が高いとは言え、小...
      Manideさん、こんばんは
      想像できないですよね(^^ゞ
      でもネタバレしないほうが楽しめますよね〜
      確かに近年は卓球人気が高いとは言え、小説の題材としては珍しいかも。
      機会があれば是非♪
      2023/11/16
  • 面白い、実に面白い展開にわくわくしながらページを捲る手がとまらなくなる。
    最後は、感動の涙が溢れて止まらなくなるほど…。

    2人だけが知る黄色いバトンが、翼の手に渡ったとき、こうなることを誰が予想できただろうか?

    単たる熱い友情よりも深い繋がりが続いたことにも驚くのだが、それ以上に羽根雅人の思いに凄さを感じた。
    アパートの隣りに住んでいただけなのに隣の母子家庭の危うい様子に気づき、危険を冒して子どもを救う。
    そのあともずっと気にかけていて、卓球をやり始めた頃から彼の力になるために整形外科医になっていたなんて、想像をはるかに超えてしまっている。
    最初と最後に出てきただけなのに凄いインパクトを残していくのに驚きしかない。

    翼の罪が、罪だと思えなくなるほど。
    とにかく強烈なものを私の心に残していったなという感じである。
    間違いなく傑作である。



  • 日本でイベント的に行われた世界ランク上位の選手を集めた卓球大会。
    中国選手「毛利翼」マオリーイー
    彼のユニフォームに小さくつけられた日の丸。
    試合が行われている現在と毛利翼の過去が交互に語られるという物語です。

    タイトル通り走れメロスです!幼馴染&友情!
    メロス教科書部分しか知らないけど友の為に!!
    そんな熱い物語でした。


    内容は深く重く感動するし面白い…
    横関さん他一冊しか読んでないからわからないんですが、文章やセリフ?サラッと軽くて読みやすい。それが何故か感動を減らしているような気がして☆一つ減ってしまいましたゴメンなさい(°_°)


  •  好きな作家の横関大。『著者最高傑作』と帯にあり、期待して読んだが、傑作ではあったが、最高傑作ではなかったかなというのが正直な感想。もちろん面白くないということではなく、横関大はこんなもんじゃないというのが本当のところ。

     東京レガシー卓球という大会に出場している毛利翼という中国の補欠選手、なぜか背中に日本の国旗を背負っていた。

     この謎もさることながら、この後の展開がめちゃくちゃ面白い。

     毛利翼は幼少期、虐待に遭っていて、アパートの隣に住むカップルに助けられる。

     小学5年生の三崎啓介は、クラスで目立つ存在で、勉強も運動も1番だった。もうすぐ運動会ということで、リレーのアンカー決めがあり、三崎を脅かす人間が現れた。毛利翼だ。
     初め翼を敵視していた三崎だが、やがて翼と打ち解け合うようになる。
     三崎は家庭の事情により引越しをすることになるのだが、その後も翼とは交流を深めていく。

     そして現在、この大会に出ているのは翼なのか。ところが、翼は6年前に殺人の容疑で刑務所に入っていることが明らかになる。この毛利翼という選手は一体誰なのか。何の目的で翼の名前を語って出場しているのか。

     青春やミステリや恋愛といった美味しいところを存分に盛り込まれた1冊。十分に堪能できたが、それでも思う。横関大はこんなもんじゃない。

    • ゆきさん
      では何がオススメでしょうか?
      未読の作家さんなので、良かったら教えてください。
      では何がオススメでしょうか?
      未読の作家さんなので、良かったら教えてください。
      2023/10/23
    • ひとしさん
      おはようございます!
      もちろん好みもあると思いますが、私が好きなのは『チェインギャングは忘れない』『スマイルメイカー』とかですかね!
      是...
      おはようございます!
      もちろん好みもあると思いますが、私が好きなのは『チェインギャングは忘れない』『スマイルメイカー』とかですかね!
      是非読んでみてください!
      2023/10/26
  • ちょうどアジア大会の卓球を見ていたので、読み始めた時にびっくり!
    あ、この本、卓球だったんだっけ〜!

    横関さんの今まで読んだ作品で、今作が一番好きかも。
    どうしようもない奴もチラホラ出てきて、読みながら気持ちが入り乱れ…夢中で一気読みしました。

    翼のしてしまったこと、最後の一押しの理由が本当に切ない。
    ラスト明るさも感じられて、気持ちよく読み終えました。
    満足の一冊です。

  • 現在と過去を行き来しながら、物語は進んでいく。
    誰が誰とどうやって関わっていくのか最後まで目が離せなかった。
    読み応えのある作品だと思う。
    最後の章は涙なしで読めなかった。

  • 帯に「毛利翼という大学生が、殺人の罪で逮捕されていた」とある。そしてこのタイトルから、彼が「誰かの身代わりになった」ものと思いこんだ。また、帯の「最も純粋で哀しい献身」「号泣」という字面から、かなり期待値の高いスタートとなった。

    物語は現在と過去を繰り返して展開。現在は卓球大会の会場だ。毛利翼という無名の中国選手の存在から「日本人毛利翼」が浮かび上がり、両者は同一人物なのか、という疑問が突き付けられる。この後、毛利翼が養護施設に預けられた背景、小学校時代、卓球に明け暮れた時代に、現在の試合を挟みながら物語は進む。

    鍵となるのが最初に毛利翼を助けた「羽根雅人」だが「イケメン、積極的すぎる人助け」という人物設定以外、彼の情報量は極めて少ない。けれども彼は徹底して翼の陰の応援者。まるで金銭以外の「あしながおじさん」だ。毛利翼が彼の影響を受け、後に積極的に人助けをするあたり、まるで父子のよう。それはおぼろげな翼の記憶にもあり、読者としては翼の中に羽根を見ているような気分でもある。終盤、羽根自身翼の影響を受けて身の振り方を決めたことがわかり、ドラマだからこその劇的展開、と言えるだろうか。

    翼が卓球をするきっかけとなった啓介の存在は大きい。翼が成長していく過程で出会った人びとはかけがえのない存在である。友情というテーマもある。しかし私の中ではそれ以上に「運命の出会い」が尾を引いている。思い返せばすべての出会いが運命ではないか。ぜひ羽根と翼の両者を引き合わせたい。

  • 2024隣人を思いやる青年たちと温かい心を持ち続けた少年少女3人の物語。これは映画化いやテレビでワンクールやって欲しい。生きる意欲を無くして他人を襲うような人たちに読ませたい。久しぶりの星五つです。

  • 過去と現在を交互に視点を変えて、そして現在。日の丸をユニフォームに縫い付けた卓球選手・毛利翼(マオ・イーリー)。彼はどうして中国チームなのに日の丸をつけているのか。

    虐待を受けていた過去を持つ、施設育ちの毛利翼。
    親の事業の失敗により転校する事になった三崎啓介。
    圧倒的演技力の売れっ子子役だったが、事故により半身不随となった川越美玲。
    三人の幼馴染がとある事件をキッカケに運命が変わって行く…

    ラストまで読むとタイトルの意味が判りますね。小学生の頃の黄色のバトンがラストに出てきた時、じんわりしました。
    お互いを思う絆の強さもとても素敵でした。その後の三人がどうなったか気になる所です。

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著者プロフィール

1975年静岡県生まれ。武蔵大学人文学部卒。2010年『再会』で第56回江戸川乱歩賞を受賞。著書に『ルパンの娘』『ピエロがいる街』『沈黙のエール』『チェインギャングは忘れない』『スマイルメイカー』『グッバイ・ヒーロー』『炎上チャンピオン』『仮面の君に告ぐ』『いのちの人形』などがある。

「2023年 『ゴースト・ポリス・ストーリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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