天帝妖狐 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 8740
感想 : 769
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087473421

感想・レビュー・書評

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  • 表題作は、なんともやるせない気持ちになった。
    特に最後の言葉には、胸が締めつけられる。
    孤独な人生の中に見えた僅かな希望さえも打ち砕く惨たらしい現実が、何より恐ろしかった。

  • トイレの落書きは、着眼点はよかった。途中まで面白かったが、ラストが今いち。

  • もしも私が人間であったなら、ずっとあなたのそばにいたかった。
    さようなら、ありがとう、私に触れてくれた人。

  • 表題作の「天帝妖狐」が素晴らしいです。乙一の作品は文庫であれば大抵読みましたがその中でも5指に入るのではないでしようか。

    読み始めてまず「こころに似てるな」と思いました。手紙での罪の告白という形式的な点と、それから語り口。そう思った人は多いのでは?

    そして山月記のようでもありました。これは夜木が怪物の如き容貌であり、それゆえに人から自ら離れて暮らすところに虎のその後を重ねて読んでいました。


    全体的に暗い印象ですが、それでも情景を鮮明に思い浮かべることができるのはやはり乙一の描写力の凄まじさがあると感じた作品です。

  • A MASKED BALLは犯人が途中で分かったけれど面白かったです。<br>
    表題作は切ない……。

  • 『天帝妖狐』を読み終え、改めて「やっぱ好きだなぁ…乙一」と思った。 悲しいけれど、美しい。 言葉の選び方や並べ方が私のツボにぴったりとはまり、心地良い。 最後の一文がとても好き。 思い出すと、なぜか心がふんわり癒される。 ただ、そこにはほんの少しの痛みを伴う。

  • 個人的には表題作、天帝妖狐がお気に入りです。無垢な子供時代の、たった一度の過ちによって永遠に続く咎を背負うことになる夜木。彼が自らの罪を懺悔する文章が可哀想で、たまらなくなりました。夜木が杏子へ宛てた罪の告白の手紙から始まり、読むにつれて真相が晴れていく所が面白かったです。また夜木は秋山と井上に酷いことをしたけれど、結果的に命までは奪わなかった所は、彼が杏子のおかげで人間としていられた証拠なのかなと思います。
    「永遠の牢獄が存在するならば、自らそこへ入りましょう」という文章がとても印象的でした。

  • 娘から借りた本。
    私なら選ばないような本。
    だから新鮮でした。


    トイレの落書きとコックリさんの二つの物語。

    トイレの落書きは意味不明。
    乙一さんの世界観は心を震わせるか理解出来ないかのどちらか。だからどうしても手が出ない(笑)
    そしてトイレの落書きは理解出来ない方でした。

    コックリさんの方はある少年(夜木)が1人でコックリさんをしたら呪われて永遠を生きるはめになるお話。
    コレはホラーなのか?
    怪我をした場所から次々と化け物になり身体中を包帯で巻いて人を避けて生きる。しかし包帯の下が気になる悪意のある人間によって夜木の中の狂気が目を覚まし夜木を殺そうとした男達を血祭りにあげるって話。禍々しい話かと思いきやこれまた乙一さんワールド。切ないお話となっております。永遠の命を1人で生きるって地獄より地獄だよね。それでも幼い頃の思い出とほんのいっ時の普通の生活を送れた事を胸に生きて行くんだって。

    何で乙一さんって不思議な話なのに切なくなるんだろう?

  •  とても恐ろしく哀しい作品。決してくどくなりすぎず、じわじわと攻め立ててくるような恐怖を感じる筆致が秀逸。
     誰もが一度はやったことのあるこっくりさん(今の子どももやってるのかな?)で、早苗と名乗る得体の知れない何かを呼び出してしまった男の物語。『失はれる物語』もそうだが、一筋の希望もない世界で孤独に生き続けなければならないなんて、死ぬよりずっと恐ろしい。東野氏の『変身』にも似ているが、この絶望感は突出している。綾辻さんや小野不由美さん、我孫子さん等々、有名作家さんがこぞって絶賛するだけある。 
     トイレの落書きで盛り上がるのは、SNSが発達した今は起こらないだろうな。

  • 解説の方は前半の話を激推ししてましたが私にはあまり合いませんでした。高校生の主人公がタバコ吸ってるのにいささか変な感じがしました。
    もう一個のタイトルになってる天帝妖狐はとても面白かったです。最後は感動しました。恋愛物というわけでは無いですが純愛と言うか切なくなりました。

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著者プロフィール

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。2002年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞を受賞。他著に『失はれる物語』など。

「2022年 『さよならに反する現象』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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