暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
3.79
  • (1977)
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  • (20)
本棚登録 : 13670
レビュー : 1785
  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344402140

作品紹介・あらすじ

視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった-。書き下ろし小説。

感想・レビュー・書評

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  • H31.2.27 読了。

     盲目のミチルと殺人容疑者のアキヒロの奇妙な同居生活。事故の場面は描写されておらず。興味をそそられる書き方にページをめくる手が止まらなかった。また、ミチルとアキヒロの関係はどうなるんだろうということも気になった。
     最後まで気が抜けないドキドキ感があり、でも読後感は良かった。
     さらに人間関係で悩むミチルやアキヒロの過去や現在の心理描写は、共感できるところもあった。
     乙一さんの別の作品も読んでみたい。

    ・「一人で生きていけるというのは、嘘だった。」
    ・「自分のいていい場所はどこなのだろうかと、考えたこともあった。しかし必要だったのは、場所ではなかった。必要だったのは、自分の存在を許す人間だったのだと思う。」

  • どうしてこんな、夢に出てきそうに怖ろしげな表紙?!
    と首を傾げてしまうような、静かでうつくしい恋物語です。

    3年前、不慮の事故で視力を失って以来、ほとんど家に閉じこもったままのミチル。
    同僚がホームから転落死した事件の犯人として追われ、
    ミチルの家に潜み、警察の追及から逃れようとする青年、アキヒロ。

    ミチルが家の中にアキヒロの存在を確信するまでの
    触れたら切れそうなほどに張りつめた空気が
    お互いの存在を受け入れるにつれ、やわらかくふくらんで
    孤独なふたりを温かく包んでいく様子が、ちゃんと伝わってくるのがうれしい。

    強められすぎたストーブの火を、息をころして弱める。
    戸棚の上からミチルの頭上に落下する土鍋を、隠れ場所から飛出し、受け止める。
    ひとり暮らしだけれど、ふたり分のシチューを作って、テーブルにふたつ、皿を並べる。
    ひとりで外に出る決意をしたミチルに寄り添い、目的地に辿り着くまで見届ける。

    相手への思いやりから生まれる、アキヒロとミチルのひそやかな行動のひとつひとつが
    あまりにやさしくて、せつなくて、こちらまで息をひそめて見守ってしまいます。

    突然閉じ込められた暗闇の世界で、このまま静かに消えていきたかったミチルが
    否応もなく踏み込んできたアキヒロを受け入れ、追っ手から守りたいと願い
    人との接触を厭い、どこにも自分の居場所はないと思っていたアキヒロは
    ミチルによって、必要だったのは居場所ではなく、
    自分の存在を許してくれる人間だったのだと気付き

    「暗いところ」で巡り会ったふたりが、頼りない身体と、頼りない心を支え合って
    明るいほうへ歩き出す冬の日。
    しびれるような寒さのむこうに、温かい春の光が確かに感じられて
    幸せな気持ちになります。
    怖い表紙に惑わされず、ぜひ読んでいただきたい物語です。

  • 事件に巻き込まれた男が目の見えない独り暮らしの女性の家に勝手に住むという有り得ない設定に最初は驚いた。いくら気配を消しても気付かれないわけがないし、特に視力に障害のある人は聴力に長けていると思うし…。
    誰しも心の闇を持っていて、人と関わりたくないと思うときはある。心の闇に少し過敏な二人が、共にそれを乗り越えて行くのであろう結末に温かい気持ちになれた。

  • マイベスト3(著者問わない)の1冊です。
    ただ、この本が好きすぎて読書好きの友人皆にお勧めしたものの、読んでくれた人の感想は「そんなに頭のなかピンク色だったっけ?」「乙女過ぎて恥ずかしくて読めなかった。そんなキャラじゃないでしょ、あんた」と散々でしたw
    キュンキュンして、とても温かい気持ちになれる作品だと思うんですけど、、、共感してくれるひとが身近にいないですね。特に乙一さんの「百瀬、こっちを向いて」や「Calling you」とかを読んでからこの作品を読むと、彼の不器用な人たちへの理解や愛がすごく伝わって、ぶっ飛んだ設定の本作にもすっと入っていけるのかなと思います。

  • 夢に出てきちゃいそうなこの表紙!
    絶対怖い、絶対怖い、絶対怖い・・・!

    とぶるぶるしながらも、好奇心に負けて読み始めた。
    でも全然ホラーじゃなかった、むしろすごくハートウォーミングな。。。

    視力をなくし、父と住んだ思い出の古い家で、ひとり静かに暮らすミチル。
    職場の人間関係で悩むアキヒロ。
    駅で起きた殺人事件で、犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家にこっそり逃げ込み、息を潜めて居間の隅にうずくまる。
    ミチルは他人の気配に気づき、不安にかられるが、刺激しないようにいつも通りに生活を続ける。
    しかしある出来事をきっかけに、ミチルが知っていることをアキヒロは知り、二人は奇妙な同居生活を始める。

    奇想天外な設定。
    でも、乙一さんは、こういう「目に見えない」存在との共存を書くのが本当にうまい。
    ミチルの家の、不思議と静かでやわらかい空気が伝わってきて、私もその空気の中にとけこむように、自然と物語に入っていけた。
    孤独な二人が、言葉を介さず、視線も合わさず、接触することないように慎重に生活しながら、空気だけを共有して見えない糸によって魅かれあう。
    カズエに謝りに行こうとするも、玄関で足がすくんで寒さに震えているミチルに、初めてアキヒロが触れるシーンが好きだ。

    読み終わって改めて表紙を見て思う。
    もっと可愛くていいのに(笑)

    • まろんさん
      マリモさん、こんにちは♪

      私これ、映画で観ました!
      娘と並んで、手に汗にぎって、息をひそめて見入ってしまったので
      映画が終わったときには酸...
      マリモさん、こんにちは♪

      私これ、映画で観ました!
      娘と並んで、手に汗にぎって、息をひそめて見入ってしまったので
      映画が終わったときには酸欠気味で、ふたりでハアハア言っていたのを思い出します(笑)

      展開はハラハラドキドキだけれど、全体としては心あたたまる素敵なラブストーリーなので
      マリモさんが書かれているように、この表紙はあんまりな気がしますね。
      このレビューを読んで、原作も読みたくなってしまいました。
      2012/11/18
    • マリモさん
      まろんさんこんにちは!

      映画ご覧になったんですねー。私も見たいです!今度DVD借りてみます~。
      映像化すると緊張感が出るでしょうね。だいぶ...
      まろんさんこんにちは!

      映画ご覧になったんですねー。私も見たいです!今度DVD借りてみます~。
      映像化すると緊張感が出るでしょうね。だいぶどきどきしちゃいそうです。
      原作は、最初からアキヒロ悪い奴じゃないなと思ったので、「殺人犯と同居」という怖さはなく、何だか切なくてどきどきでしたよ。
      黒かと思ったら白の方の乙一さんだったので、安心して読んでください♪(笑)
      まろんさんのお勧めの、中田さん名義のものも読んでみたい今日この頃です。
      2012/11/18
  • 裏表紙のあらすじから内容がずっと気になっていたお話だった。タイトルも作者も忘れてしまって出会うことを諦めていたところ、書店で偶然発見して即購入。
    こんなに自分の中でヒットした本は久しぶりで、心地よく満足感のある読み味でした。
    目の見えない女性と、殺人の容疑で終われた男のいびつな共同生活が、徐々に互いにとって心地よく掛け替えのないものに変化していく。その過程が切なく儚くてとても愛おしい。
    ミステリー小説と言うよりは恋愛小説のようであり、友情の物語であるようにも見える。
    この物語に「こんなこと有り得ない!」「リアリティが無い!」なんで余計な茶々を入れるほも ど不誠実な事は無い。書き手が語ろうとする事の意図も、登場人物の揺れ動く心も、リアルである必要は無いのだ。
    ただただ美しく、消えてしまいそうな程澄み渡るお話。それだけで、再読の価値がある。

  • 切なさが、滲むようにじんわりと、或は穏やかに、伝わってくる作品だった。
    cafeでコーヒーを飲みながらの読書中、涙が出そうになったりもした。
    質感を損なわずに、映像化されている作品があったら、観てみたい。

  • 視力を失い引きこもりがちな日々を送る彼女の部屋に、殺人事件の容疑者として追われる男が逃げ込んだ。
    居間の隅で息を潜める彼に気付かないふりをする彼女。
    二人の奇妙な同居生活が始まった。

    日常の些細なところにある盲目の怖さや不便さ、想像するといたたまれなくて。
    そんな生活に殺人事件の容疑者が入ってくるって、手を伸ばせば触れられる距離にいるって、怖すぎる。
    なのにどこかあたたかい空気も感じられる不思議。
    終盤、声が出るほど驚きました。

  • ミチルは視力を失い外の世界に興味を持たず家に閉じこもっている。アキヒロはとある事件に関わりミチルの家に忍び込み息を殺しながら日々を過ごしている。
    ミチルが盲目であるという状況や殺人事件にアキヒロが絡んでいるという奇抜なエピソードのせいでわかりにくくなっているが、たとえそれらの事象がなくとも二人は外の世界を怖がり、誰にも気付かれないように一人きりで生きていくつもりだったのではないか。
    二人ともそれまでの人生で周囲の人間から疎まれたり蔑まれたりした経験を持ち、もうこれ以上傷付きたくない一心で暗いところで『閉じこもり』『息を殺して』いたし、ずっとそうしていくつもりだった。
    そんな二人がとある事件をきっかけとして暗闇の中で出逢い、誰かと関わることを恐れながらも少しずつ互いに手を伸ばし指先が触れた場面に何よりも心を動かされた。
    ミチルの「カズエ、外は楽しかったよ……!」の言葉は暗いところに一度でもいた(そしてそこから出ようともがいた)経験のある人なら胸に刺さったはず。暗いところで待ち合わせた二人が明るいところへ歩き出していくラストは救いとなった。

  • 盲目の女の子の家に事情ある男性がコッソリ棲みつくストーリー。
    不器用な二人の人生が少しずつ重なっていく過程が繊細。
    なんだか、自分まで真っ暗な世界を手探りしてるような感覚になってくる。

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著者プロフィール

乙一(おついち)
1978年福岡県生まれ。山白朝子(やましろ あさこ)、中田永一(なかた えいいち)の別名義で執筆する小説や、安達寛高(あだち ひろたか)という本名名義で脚本を記すこともある。
1996年に『夏と花火と私の死体』で、第6回集英社ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞してデビュー。
2003年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞受賞。2012年、『くちびるに歌を』(中田永一名義)で第61回小学館児童出版文化賞。
代表作として、映画化もされた本屋大賞ノミネート作『くちびるに歌を』のほか、『暗いところで待ち合わせ』『きみにしか聞こえない CALLING YOU』『失はれる物語』などがある。作品の多くが漫画化、映画化された。

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