天帝妖狐 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 8740
感想 : 769
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087473421

感想・レビュー・書評

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  • 2014.09.15

    久しぶりに読んだ乙一さんの小説。
    短編が多くて良い意味で軽く読み終えられるのが乙一さんの良いところ。

    『A MASKED BALL』は、若い人が書いた物語なんだろうな、とわかるような主人公から淡々と語られるトイレの落書きをめぐる小説。
    どこがホラーなの?と思わされつつ、後半でゾクリとさせてくる部分はさすがだと思う。
    トイレの落書きの登場人物は主人公含め5人いたはずだけど、あとの一人は、誰?

    『天帝妖狐』は永遠の命を得た主人公の手記で始まる切ない物語。
    乙一さんは孤独な人の心情を書き表すのが上手い。好きかどうかは別として、本当に上手。
    ふとしたことから永遠の命を得てしまい、永い年月を孤独に過ごさねばならなくなった中で一片の希望を見い出すという話は手塚治虫の火の鳥の一編からヒントを得ている気がする。

  • 天帝妖狐もよかったが、
    もうひとつの作品が秀逸でした。
    トイレの落書きから始まる繋がり及びそこから派生する事件。
    久々に学生に戻りたくなった。

  • 「天帝妖狐」乙一◆「こっくりさん」に取り憑かれた主人公の運命を描く表題作とほか1編。ホラーですが恐怖を煽るために書かれた感じがしないのが上品。個人的には表題作が好きで、優しさが悲しみとなって返ってきても、優しさはきっと相手の中で生き続けるし、それはきっと人を生かし続ける。

  • 2013.07.17読了。ホラーテイスト強めで苦手です。調べたら、乙一は、2種の作風があるようで。黒乙一は苦手です。白乙一だけ読みたい。

  • 「A MASKED BALL」のほうが好みでした。そしてこっくりさんはしてはいけません。

  • 職場後輩のオススメ本。
    ごめん、これは乙一作品そのものでダメでした。
    グロ描写もだし、夜木がそこまでの身になる理由がハテナだし、早苗って名前もどーかと思うし(笑)。
    山田悠介や、映画「GANTZ」と同じ印象。
    話が短絡的で、作者のひとりよがりな世界観に共感できるほど若くないってことねσ(^_^;)
    乙一名義作品は『暗いところで…』だけ好き。

  • A MASKED BALLと天帝妖狐。
    どちらも面白かったのですが、個人的にはA MASKED BALLの方が好みでした。物語の舞台が想像しやすくトイレに落書きというところが良かったです。先が気になりいっきに読んでしまいました。面白かったです。

  • マスクドボールの設定は本当に面白かったです。読んでいて、一体これは誰が書いているんだろう、いや、そもそも人間が本当に書いているのか?など色んな考察ができ、楽しんで読めました。もっと長編でも良かったのではないかと思いました。とても面白い設定の割にはあっさりと終わってしまったうえに犯人も謎の人物…人物と言っていいものかもよくわからないのでなんかもやっとします。良設定だったので、良い意味でもったいない作品でした。
    天帝妖狐はざっくりとした感想を述べると、とても切なかったです。最後の方で微かに光はありましたが、救いようがない作品でした。しかしやはり面白い。指の骨を一本ずつ砕いていくシーンは残酷ながらも読み手としてはスカッとするシーンでもあるのでサクサクと読めました。次は暗黒童話を読んでみます。

  • 2010/08/07

  • 自分はジョジョのノベライズであるThe Bookから乙一さんの作品を読み始めたのですが、「天帝妖狐」はThe Bookにかなり近い作品だと感じました。
    読み終わって98%は哀しみと孤独感に包まれているのだけど残り2%の救いに涙してしまう感じが…。
    (The Bookでも康一君が千帆に思いを伝えるラストシーンで号泣でした)
    明るい世界から締め出された人間の孤独と救いを描くのが上手な人なのかな、と乙一さんをつかみかけたように思っていますがどうなんでしょう??
    まだまだ別の作品を読んでみたいという欲求が止まりません。
    この読後のなんともやるせない気持ちが中毒です。

    杏子の誠実さがいいです。好きです。彼女の内面描写がしっかりしているからこそ夜木にとっての救い、彼にとっての神様の存在がリアルに伝わってきます。

    「A MASKED BALL」はなんとなくありそうな感じ。いわゆる学校の怪談なんだけど他にこういう作品を書く人を私は小野不由美さんくらいしか知らない。(無知です)
    現実の中に非現実が混じってくる恐怖というか、もっと長編になってたら小野不由美さんの「魔性の子」みたいな感じになってたのかなと。

    乙一さんの作品って、のめりこんで一気読みしてあー面白かったーと満足したあと、手放しに褒めていい作品なんだろうか、粗はなかっただろうか、なにかのパロディだったりしないよなとなぜか急に不安になります。なぜなのでしょう。
    不安を感じつつも、面白かったと思った自分を肯定するため、はたまた乙一さんは本当に面白いんだということを確信するために、ほかの作品を読むのです。

    次は「暗黒童話」でも読もうかしら。

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著者プロフィール

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。2002年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞を受賞。他著に『失はれる物語』など。

「2022年 『さよならに反する現象』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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