- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087713954
感想・レビュー・書評
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中編2つ。
表題作は、最初の方ちょっとグダグダし過ぎてて、グダグダ感こそ津村さんの真骨頂ではあるんだけれども、この調子が続くわけじゃないよね?!と不安に。が、我慢して読み進めたら、早合点だったことに気づいてホッとする。いつも思うけど、津村作品に出てくる男女って、どっちも「あー、こんな人が近くにいたら惚れるかも」というキャラばかり。でも、「この人たちの内面の面白さに気づけるか自分?」とも思う。その淡くにじみ出る、押しつけがましくない良さが、たまらないのだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんとなく仕事で顔を合わせて、それほど感情を動かされない感じ、ありそうでよくわかる。
ほっとするようなラストはよかったけれど、意外とあっけなく終わって、すぐに「オノウエさんの不在」のページがはじまるのが、やや唐突に感じた。
主人公たちが見舞われる「理不尽な出来事」の理由や真相が、あまりはっきりとは描かれないことが、リアルで良かった。現実はそうしたものだから。 -
淡々と、恋をするわけでもなく、大きな事件があるわけでもなく、それでも続いていく日々が描かれているのに、読むのがやめられなくなった。面白い。特に、「オノウエさんの不在」のラストは妙にストンと落ちた。この感じ、知ってる、と不思議な気持ちになった。
今でも充分、要所要所であるある、と感じられたが、社会に出たらもっと共感できるようになるのだろうか。津村作品、まだまだ追いかけたいと思う。
2013.08.01 -
これは私のことだ、と読者に思わせたなら、その小説は成功だという。その意味では本書の2箇所、サンマルコの茄子カレーのところと、マトリョミンのところで「これ、俺やん」と思いました。それはさておき、やっぱりこれは働く人のためのファンタジーです。御伽噺みたいに、読者と微妙に重なる主人公たちに幸あれかし、と思わせる、その見事さ。特に不幸でも、善良でもない、あまりに普通な人々の、あまりに普通なしんどさ、切なさ、そして淡白すぎる希望。エンディングはあるいみ最初からわかっているのだけれど、けっして予定調和の嫌味がない。いい小説です。
ただ、オノウエさんの不在ともどもゼネコン勤務の男性が主人公ながら、なんか、ゼネコン事情にそれほど詳しくないような?もし関係者が読んだら少しリアリティが薄いと感じるかもしれません。 -
すべてのはたらく人びとに対する「応援本」!
津村記久子を知ったのは、今年の1月号(だったかな・・・)の「新潮」だった。
どこまでも淡々とした語り口、それはまるで何かを諦観しているよう。
だけど読後感は不思議と明るく、希望がない訳ではないのが印象的だった。
それから半年以上経ったある日に、
立ち寄った書店のレジ前にあった「仕事本コーナー」からなんとなく手に取り、そのまま購入してしまった一冊。
帰宅してさっそく開き、やられた・・・と思った。
冒頭の、今にもぶっ倒れそうになりながら出勤していく主人公の描写に、
首がもげそうなくらい頷いてしまった。
お世辞にもすばらしいとは言えない職場環境で、
惰性のように日々を生き、働き続ける男女二人。
なんでかうまくいかなくなってしまった同僚との仲に悩んだり、
不可解なクレーマーにつかまってしまったり、
彼らの日常は傍から見ていても本当に大変そうである。
それでも二人は何とか前を向き続けるのだ。
別に握りこぶしをつくるでもなく、
声高に思想、理念を掲げるでもなく、
ふと気づいたら、あぁ目の前に光が見えていた、
という具合に、肩の力を抜いて、笑う。
作品世界に共感して、
空って世界中どこでも繋がっているんだよなぁ、
と、そんなことを思ったりもした。
どういうことかいなと気になった方はぜひ読んでみてください(単行本ですけれど)。 -
申し訳ないけど、全然おもしろくなかった。。
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現実的すぎる(笑)
現実って、ミスチルの言葉を借りれば良いこと49嫌なこと51の比率。そんなもんだよね、っておもってる。
そして、この小説の二話も、そんな感じに淡々と進み、エンドという感じがなく巻末に至る。
ところが、私としては多少の非日常を求めて読書するので、個人的評価は⭐️二つです。 -
表紙が可愛く惹かれて購入。
面白い部分もあり登場人物が多く理解が追いつかない部分もあり、少し合わなかった。
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津村記久子さんの本はこれが初めてでした。すらすら読めました。登場人物が、勤め人だというところがとても共感しやすく、理解しやすかったです。うんざりすることもあるけどなんだかんだ生きていけるし楽しいこともあるよね、と思えました。