- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087713954
感想・レビュー・書評
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ああ仕事の悲哀と希望。
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<閲覧スタッフより>
偶然出会った同じ名字で同じ誕生日で同じ年の男女。その場はそれっきりの出会いになるが、生きるために働き心身ともに疲れる中、ふとした瞬間にお互いのことを思い出す。理不尽なことの多い社会で、ふつうに働く何気ない日常が描かれています。
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所在記号:913.6||ツム
資料番号:10222522
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津村記久子さん「ワーカーズ・ダイジェスト」、2011.3発行です。大阪に住んでる佐藤奈加子1月4日生まれ、31歳、170cm、そして大阪育ち大阪勤務から東京勤務になり再び大阪勤務になる佐藤重信1月4日生まれ、31歳、170cm、この二人を中心にした2年間の物語。内容とかテーマとかはよくわからないのですが、津村さん、とにかく人間の描写、心も行動も細かく描き、かつテンポがいいのです。これが津村記久子スタイルというのでしょうか(^-^)いつの間にか読み終えてて、そしてほとんど何も残っていないんです(^-^)
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アラサー男女のお仕事と日常のお話。
全く違うそれぞれの生活をしている2人の生活が交わるのかな?どうなのかな?と読み進めていました。想像を掻き立てるような、余韻の残るラストもよかったです。
こういうことあるある、こういう人おるおる!
やはり同世代独身のお仕事小説は、共感できるから好きだなぁ。 -
津村作品、二作目。
デビュー作「君は永遠にそいつらより若い」(好き)でも思ったけれど、白でも黒でもない日常をそのまま、でも諦めではなくわずかな希望を込めて書くのが上手い作家。
表題作と「オノウエさんの不在」の二編収録されていて、どちらも丁寧な作品だが、「オノウエさんの不在」の方がよりタイトで力があるように感じた。
ただ、デビュー作の時の癖のある文章とは違っていて、あの時だけわざとしたのか、シンプルになって来たのか。
わざとだとしたらすごい新人だ…。
今作の文章もすっきりしていて読みやすいけれど、デビュー作の文章も好きだったので、あちら寄りのものもまた読みたい。 -
んもう、なんとも言えず、
あたしのコめんどくさい所とか、
周りに対する割り切り感とか近い感じで恥ずかしくなるほど。
それからそれから、高揚感をありがとうございます。
記久子さんの書き物、読み続けたい。 -
32歳の男女。さして若くもなく、かと言ってそんなに歳をくっている訳でもない中途半端な年齢。仕事で理不尽に思う事も多々出来始め、人間関係も面倒くさく感じたり…そんな負のスパイラルに陥りがちな年代でもある。「うん、分かる分かる」と読む自分にいつの間にか寄り添っている…そんな津村記久子さんの作風が好きです。クレーマーに捕まり、髪の毛の後退や体型を気にしたり、EDか?と不安になったり、スパカツにハマったり、挙げ句の果てにピアニカにはちょっと笑ってしまった。2人がうまくいくといいな。
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年明けからなぜだかさっぱり読書が進まず、リハビリ本として積読からもってきました。
津村さんっていつも、ビミョーな按配のちょうどいいツボを押さえてる。劇的ではないけど自分や周りの人にそっくりな人がたくさん出てきて、日々考えたり悩んだりすることが同じで、冒頭のアラームの件なんて、コレ私!とまさに思ってしまいました。
劇的でない分登場人物に寄り添えるから、グググっと心を動かされるんだなあ。
スパカツ食べたい。
「オノウエさんの不在」もよかった。 -
偶然出会った二人は年齢も苗字も誕生日も同じ……だけど別に劇的に展開はしない。
それぞれ降りかかる災難に疲れて浮遊する二人。
帯には「やさしさが、じんわり沁みてくる……」って書いてありましたが、疲れてる感・浮遊感のほうがリアルすぎて、沁みてくるはずの優しさが見えません。
津村さんのは前に読んだのもそんな感じだった気がする。現状書くのは上手いけど、すっきりしない。
もちろんすっきりしないのが人生ですが、小説くらい多少の余韻とかご都合主義とか欲しいです。
辛いことなど現実だけで十分。
装画 / 山城 えりか
装幀 / 名久井 直子
初出 / 『小説すばる』2008年4月号、2010年9月号~11月号