螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 417
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001333

感想・レビュー・書評

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  •  螢なんかを読んでみれば、まだ文体の精巧さに欠けるところが少なからずあってなんだか微笑ましかった。本書に載っている短編の中で、「踊る小人」が一番印象深い。かなり昔に読んだ記憶があるが、今読み返すと前と違う印象を持ったし、何が言いたいのかさっぱりわからなかった当時と違ってなんとなくわかるようになって嬉しくなった。多少は成長してるということか。

  • 蜜柑とインディアンは似ている。

    普通に暮らしててなんとなく思ったこととか、ふっと浮かんだ考えや気持ち、感覚の残し方が上手だなあ。
    自分は、忘れてしまう。

    雰囲気だけ伝わって、けど、沁み入って来なかった。ブリッジがひらめかない。

  • 「ノルウェイの森」の元となった短編、「蛍」を含む7つの短編集。

    抒情的な語り口と、数々の喪失、
    静かで、暗く、ほんのり暖かく…

    それぞれ別個の短編でも、どこか共通した雰囲気があり、
    統一感のある一冊だった。

    村上春樹の作品は、
    結末や答えの解釈が、ひとつに納まりきらない。
    特に2作目の「納屋を焼く」なんかは読み方によって、全く違ったストーリーが見えてくる。

    悪く言えば、確実な解釈が見えないまま、なんともいえないもやもやが残る、ということだけれど、
    そんな、もやもやを感じさせられること、それ自体が既に春樹の術中に嵌っているのかもしれない。

    個人的には、数々の意外な伏線がぴしゃっとはまっていって、一つの答えに繋がってゆくタイプの爽快感が、好きなのだけれど、
    それとは真逆の、すべてを説明することをあえて放棄して、ふわふわとした不思議さや、釈然としない雰囲気を作り出す手法も、幻想的なものを感じ、いいな、と思う。

    非常に多くのメタファーを内包した作品だった。

  •  村上春樹の短篇。「納屋を焼く」は昭和57年11月に書かれており、初期の短編集の一つ。短篇小説にもいろいろあるが、村上作品の多くに見られるように、一つの短篇作品の中にもさらに短い話があり、それらをコラージュして作品が作られている気がする。
     久しぶりに読み返してみたが、やはり村上春樹は短篇がいいと思う。

  • 村上春樹の短編集初めて読んだけど不思議なお話ばかりだった。

    影とか小人とかでてきて、世界のおわり~と1Q84を思い出した。

    一番面白かったのは、踊る小人の話かな。

  • 不思議な短編集。

  • 村上春樹の短編集。
    一度どこかで読んだことのある話や設定やキャラクターなどが出てくる短編集でした。カジュアルですごく読みやすかったし、どの話も印象的で記憶に深く残る物語でした。

  • 再読。たぶん、死ぬまでにあと2回は読みなおすだろうな。

  • 納屋を焼くを再読。物語のなかの納屋の意味がわかった瞬間、ぞっとしたと同時にもっと村上春樹が好きになりました。

  • 村上春樹の7編の短編集。

    秋が終り冷たい風が吹くようになると、彼女は時々僕の腕に体を寄せた。
    ダッフル・コートの厚い布地をとおして、僕は彼女の息づかいを感じ取ることができた。
    でも、それだけだった。
    彼女の求めているのは僕の腕ではなく、誰かの腕だった。
    僕の温もりではなく、誰かの温もりだった・・・・・・・。
    もう戻ってはこないあの時の、まなざし、語らい、想い、そして痛み。リリックな七つの短編

    ・螢
    この短編は、ノルウェイの森の原作だった。
    ワタナベ、ナオコ、キヅキ、突撃隊の四人は出てきた。
    出てきたと言っても誰一人名前は出ていないけども。

    永沢さん、ハツミさん、ミドリ、レイコさんは出てこない。
    螢だけではノルウェイの森の様な結末は想像できないけれど、
    当時起こった出来事として描かれる部分は、ノルウェイの森と変わっていない。
    突撃隊が蛍をくれて、蛍を屋上で逃がしてやるところで物語は終わる。
    物哀しさと弱く温かい光が印象的だった。

    ・納屋を焼く
    ふとしたきっかけで出会ったパントマイムを勉強している女の子とその彼氏の話。
    彼氏は、金持ちで仕事は何をしてるか分からん。
    ギャッツビィみたいだねと語り手が言う。確かに、ギャッツビィみたいだ。
    ビールをたらふく飲んでマリファナを吸った時に彼氏は、時々納屋を焼くと打ち明ける。
    その後、あなたの近所の納屋を焼くと言った彼の言葉に従い、語り手は近所の納屋をすべて回ることができるジョギングコースを走るようになる。

    納屋は焼かれない。

    少し経ったある日彼氏に会い納屋を焼いたかと尋ねると、焼いたと言う。
    しかし焼かれてはいなかった。そのかわり彼女が姿を消す。
    彼が焼く納屋とは彼女の中にある何かだったのではないだろうか。
    少しねじまき鳥を思い起こさせるお話。

    ・踊る小人
    異世界の話。
    革命がおこり、皇帝が殺され、象工場で働く男の話。
    美女が象工場に勤めはじめ、彼女をものにする為に、夢の中で踊りの上手い小人と取引をする。
    SFチックな話で純粋に面白く怖い話だった。

    ・めくらやなぎと眠る女
    仕事を辞めて帰京した男と耳の悪いいとこの男の子の二人で病院に行く話。
    男は病院で待っている途中回想をする。
    以前友達の彼女のお見舞いに二人でバイクで行って、彼女が入院中めくらやなぎに囲まれた家の中で眠る女の詩を書いている話を思い出す。
    時の流れに逆らえないもどかしさ。
    友人の彼女の詩といとこの耳の不自由さを終盤関連付けようとする。

    ・三つのドイツ幻想
    ・冬の博物館としてのポルノグラフィー
    セックスから連想する物が冬の博物館らしい。
    呼んでいて吹き出しそうになった。比喩表現が壮大すぎる。

    ・ヘルマン・ゲーリング要塞1983
    かつては鉄壁の要塞として君臨していた要塞の跡地を、
    現地の男の子に案内してもらう話。
    時の流れをひしひしと感じた作品だった。

    ・ヘルWの空中庭園
    西ドイツ、東ドイツと東西に分かれていた時代の話。
    ベルリン近くにビルの屋上に15センチほど浮かせてそびえるヘルWの空中庭園。
    もっと空中庭園らしくしたいのだけども、冷戦時代のおかげで、これ以上浮かせることはできないと言う。
    とりあえず寒そうな話だった。

    なかなか面白い話が入っていた。
    螢は個人的にノルウェイの森が好きだったので良かった。

    踊る小人と冬の博物館のポルノグラフィーが面白かった。

  • 蛍がノルウェイの元になってるなんて全然知らなくて、読み始めて驚いた。ノルウェイ大好きやから、やっぱり蛍も大好き。素敵すぎる。短編として完璧。納屋を焼くも切なくて、ちょっとティファニーで朝食を思わせる内容。めくらやなぎは難しかったなあ。村上作品は、踊る小人みたいな短編がちょこちょこ出てくるけど、私には何か合わない。不安が募るというか。

  • 『蛍』

    『納屋を焼く』

    『踊る小人』

    『めくらやなぎと眠る女』

    『三つのドイツ幻想』

     2011年10月20日読了

  • 独特な肌触りなのです
    村上春樹さんの編集・翻訳本には好きな本が多くて、絶対この人の書く文章は好きなはず!と随分前にいくつか長編を読んだのだが、なんとなくしっくりこなくて・・今回短篇にトライした。

    内容も文章も巧妙でするする読めるのだけれど、なんだか肌触りがザワザワして、物語の終わりには身体のどこかがチクチクするような感じが残って、私にとってはそれがあまり心地よくない。う〜ん、好きなハズと確信したはずなんだけど・・・物語もアプローチもとても好みなのに・・・まさしく肌にあわないってのはこの事なのか?不思議なものです。
    そして、この肌触りこそ、村上ワールドのツボなのね。
    はまる人が沢山いるのがよく分かる。

  • 「蛍」を高校入試の国語の長文読解問題で知る。
    問題作成に携わった先生が偶然現代文の担当教諭になる。
    先生のおかげで村上春樹が好きになりました。

  • 短編集。若いころに起きた友人の死が主人公の心の中の何かに蓋をしてしまっていて、ある行動や出来事によって蓋が開き欠けていたものが再び蘇ってくる話。なぜか全部の話がひとつの話のサブストーリーみたい。

  • 「螢」「納屋を焼く」「踊る小人」などリリックな七つの短編が収録されています。

    ・「螢」について
    「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している」という太字で書かれた一文がとても印象に残った。  
    『ノルウェイの森』にも出てくるが、興味深い一文。 

    ・「納屋を焼く」について
    主体喪失の物語。
    納屋を焼くという行為、「彼女」の失踪の意味を解き明かす方向に論が進められるだろう。
    彼女は「彼」に殺されたのだろう。「殺された」という事実は書かれていないけれど、そういう風に読み取れるように書かれていると思う。
    彼女は何の為に自分が生きているのか知っていたのだろうか。自分が生きる価値などないと考えていたのだろうか。パントマイムのように、何かをやっているようで、実は中身が何も無い。彼女や同時存在の人たちは同じように心の空虚さを抱えながらただ朽ち果てた納屋のように生きているのだろう。抜け殻のような人生は虚しい。
    この小説に救いがあるとしたら、それは主人公の「僕」が、彼女が生きていることを信じ、死んだもしくは殺されたなんてつゆとも思わず探し続けていることだろう。彼女は、自分はこの世界に必要ないものだと思い、焼かれることを待っていた。しかし、そんな彼女は気づいていなかったが、僕だけは彼女を必要としていた。僕だけは彼女に生きていて欲しかった。
    もしかしたら、人生に究極的に絶望し、生きる希望を失い、空虚感に苛まれ、生きているのかそれとも死んでいるのか自分の中で判断できなくなったときに、本当に自分を救うことができるのは「愛」だけなのかもしれない。誰かに必要とされることでしか、究極的に自分の存在を肯定することはできないのかもしれない。

  • 納屋を焼く、は授業でやったねーうえだせんせー。

  • 村上春樹の短編集。
    短編それぞれに違う色がある。においがある。
    頭の中の雰囲気がさっと切り替わるのが大変なような、気持ちいいような。

  • 村上春樹の作品の中で、一番好きな話
    あぁもうなんでこんな空気がつくれるんだろうか
    人と人の間の沈黙の空間が私にとってすごく心地いい
    あとはこの話のにおいがたまらない
    いろんな煙のにおい

  • 難解だ。
    村上春樹の作品は、難しい。

    蛍や納屋を焼くは、読み終わってもどう判断したらいいのか分からない。

    好き嫌いが分かれるところなんだろうな。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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