ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101017525

作品紹介・あらすじ

人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めたぼく。人種差別丸出しの移民の子、アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧。まるで世界の縮図のようなこの学校では、いろいろあって当たり前、みんなぼくの大切な友だちなんだ――。ぼくとパンクな母ちゃんは、ともに考え、ともに悩み、毎日を乗り越えていく。最後はホロリと涙のこぼれる感動のリアルストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 【読もうと思ったキッカケ】
    今ハマって聴いているYouTubeのチャンネルの『ゆる言語学ラジオ』でメインパーソナリティーをしている堀元見氏が、動画やTwitterで絶賛していたのが、今回のノンフィクション(エッセイ)『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』。堀元見氏が今まで読んだ中で最も完成度の高いエッセイと断言していたので、それは読まない訳にはいかないと思い、即購入。

    【読了後の感想】
    本が売れなくなったと言われて久しい現代で、シリーズ累計100万部突破は伊達じゃない!内容は著者であるブレイディみかこ氏の実の息子が、イギリスの元底辺中学校に通い始めて人種差別、LGBT問題、いじめ問題などありとあらゆる問題に、悩みながらも乗り越えていくノンフィクションストーリー。

    軽いエッセイだと思いきや、政治、経済やの問題提起もあり、読み方によっては、深く考えさせられる良書だった。

    堀本氏が絶賛していた『ア・ホール・ニュー・ワールド』(P.46〜P.51)も、もちろん文章構成力が非常に巧みで、素晴らしかったが、僕が最も心動かされたのは、7章のユニフォーム・ブキだ。(P.126〜P143)
    ページ数にして20ページもないので、本屋さんで立ち読みができるレベルなので、是非7章だけでも読んでほしい!
    最後は感動で瞳が潤むのだから、著者の筆力がとんでもなく凄いんだと感じてもらえるはず。

    久しぶりにノンストップで3時間ほどで読了。エッセイは普段あまり読まない方にこそ、特に読んでほしい本です。なぜなら、僕自身が最近までエッセイなんて軽いから興味がないと思ってた人間なので。そんな方がエッセイ好きになるかもしれない可能性を秘めた良書です。

    • 松子さん
      ユウダイさん、はじめまして。
      フォローありがとうございます!
      この本良かったですよね。私も大好きです。
      海外でのリアルな生活が伝わってくる興...
      ユウダイさん、はじめまして。
      フォローありがとうございます!
      この本良かったですよね。私も大好きです。
      海外でのリアルな生活が伝わってくる興味深い本でした。
      本の情報交換等、色々できたら嬉しいです。
      どうぞお願いいたします(^^)
      2023/02/27
    • ユウダイさん
      松子さん、はじめまして。
      コメントを頂き、ありがとうございます。
      僕もこの本、お気に入りです!
      こちらこそ、今後本の情報共有などさせて頂けれ...
      松子さん、はじめまして。
      コメントを頂き、ありがとうございます。
      僕もこの本、お気に入りです!
      こちらこそ、今後本の情報共有などさせて頂ければとても嬉しく思います!
      今後とも宜しくお願い致します。
      2023/02/27
  • もの凄く良い本!!
    そりゃ 売れます!!!
    この本は道徳の教材ですねΣ(゜Д゜)

    まず 僕(息子さん)がしっかりしすぎで…
    なんて優しくて賢い子だ…と

    自分なんて 毎日 奇声をあげながら
    目的も 理由も無く全力疾走してただけですからね…
    恥ずかしい…

  • 筆者とその息子さんが元底辺中学校に入学してからの約一年半の出来事をエッセイとして纏めた本。
    クリスチャンな小学校に入学し、温室のような育ち方をした息子さんが元底辺中学校へ体験入学をした事がきっかけで社会の様相がそのまま反映されたリアルな学校生活を通して様々な出来事に向き合っていくという物になっている。本の中で差別、偏見、マイノリティとマジョリティ、LGBTQなどのセンセーショナルな話題が克明に描かれており、こんなことが世界で起きているのかという事が伝わってきて世界のリアルの一端を知ってとても面白かったです。
    このような問題となっている物が多くシリアスではある物の、筆者親子の会話がクスッとなるような所も多く、飽きることなく読むことが出来ました。筆者と息子さんの問題に対する考え方の違いがとても面白く親子でもここまで違う物なのかと驚きました、親子といえど他人同士なためにこのような違いが生まれており、その違う物に対して筆者が一人の人間として向き合い理解しようとすることがこれらの問題を解決することに繋がるヒントなのかなと感じ、それがこの本の魅力なのかなと思いました。
    続編となる本も出版されているようなので『2』も読んでいきたいと思いました。

  • 「2023年読みたい3冊」のうちの一冊をさっそく読んでしまった。
    またもや、良い本に出会ってしまった。
    評価が高く、たくさんの人に注目される理由がわかった。

    著者や著者の息子のような経験をする人はそう多くはないだろうし、この日本に住んでいる限り、日常では考えないような深いことを、よくぞ共有してくれました、教えてくれました、という気がした。
    あんまり関係ないよね、そんな環境にいないし、日本じゃそんなことそうそう起こらないよ、ではない。知るって大事。

    「多様性は楽じゃない。じゃ、なんで多様性は良いのか?それは無知が減るからなんじゃないかな」
    という著者と息子さんのやり取りがすごくよかった。多様性へのひとつの解をもらった気がする。
    例えば、この地球上にひとつの種族しかいない、ひとつの民族しかいない、ひとつの言語しかない、とかだったらこんなしちめんどくさい多様性なんて不要かもしれない。でも、そうじゃないんだもん。どう見たって、地球は多様性に溢れているんだもの。それに結局は人間って飽き性だから、多様性へ向かう気がする。だったら、楽じゃなくても多様性へ自分を開いていかないと・・・なんて考えるのは、やっぱり著者が福岡で経験した2つのことがなんか情けなかったから。田舎だからしょうがないよね、田舎じゃ外人さんって目立つもんね~なんて時代じゃないんだYO!(私も福岡出身のため、ちょっと熱くなってしまった)

    息子さんの物事を見る視点の素晴らしさに感動すら覚えた。やはり母親である著者が素晴らしいのか。「おめぇ」とか言葉は汚いけど(笑。英語をあえてそう訳すのは、そういう英語を実際に話してるからなのかな?)、旦那さんもハッとするようなことをよく言う。

    井の中の蛙にならないようにも、本書、おすすめです。

  • 英国では、人種差別や貧困、格差、LGBTQ等の社会問題がたくさん存在していて、幼い頃からその問題の向き合って生きている。日本とは違いすぎて、驚くことばかりだった。
    中でも、エンパシーとは何か?の問いに対して「自分で誰かの靴を履いてみること」と答えていたのがとても感慨深かった。
    衝撃的な内容も多く、一回読んだだけでは理解できないところも。
    とても考えさせられる本、読んでよかったと思う。

  • 「だれかの靴をはいてみる」とは、ライフ・スキル教育のテストで出された「エンパシーとは何か。」という問いに対して、筆者の息子さんが書いた答えだ。
     もちろん、私自身、差別や偏見は良くないことだと思っている。でも、それは遠くから眺めている感じで実感に乏しい。「だれかの靴をはいてみる」ためには、もっと知ることが必要だと思う。そして、より多くの人が知るために、教育の力は大きい。
     とにかくイギリスの学校教育には驚きの連続だ。社会情勢が違うので、日本と比べてどちらが優れている、とは言えないのだろうが、私がいいなと思ったのは「演劇」や「ライフ・スキル教育」が授業としてあることだ。
     LGBTQに関する授業を受けた日の帰り道、自分はどうか、という話題になる。「自分は異性愛者だと思う。」という友達の中で、ひとりが「自分はまだわからない。」と言う。それに対し「ヘテロ以外ありえない。」と言っていた友人ダニエルが「時間をかけて決めればいいよ。焦って決める必要ないよ。」という。それぞれが自分の頭で考え、自分の意見を言うことができて、他の意見も認める。すごいなぁ、と思った。

    映画「ボヘミアンラプソディー」を観て、すっかりクイーンのファンになった私としては、ブライトンという地名もなんだか嬉しくなった。「ブライトンロック」

    • りまのさん
      よんよんさん

      こんにちは。はじめまして♪
      フォローにお応え頂き、ありがとうございます。
      どうぞこれから、よろしくお願いいたします (*^...
      よんよんさん

      こんにちは。はじめまして♪
      フォローにお応え頂き、ありがとうございます。
      どうぞこれから、よろしくお願いいたします (*^^*)
      8月3日       りまの
      2021/08/03
    • よんよんさん
      りまのさん
      フォローありがとうございます!
      私も詩を読んでいます。谷川俊太郎さんとか、まどみちおさんとか。工藤直子さんの『のはらうた』も...
      りまのさん
      フォローありがとうございます!
      私も詩を読んでいます。谷川俊太郎さんとか、まどみちおさんとか。工藤直子さんの『のはらうた』も読みました。
      こちらこそよろしくお願いします。
      2021/08/04
    • りまのさん
      よんよんさん
      お返事ありがとうございます!よんよんさんも、詩を読んでおられるのですね。……私の好きな詩人さんばかり♪ 嬉しいです!
      、、、今...
      よんよんさん
      お返事ありがとうございます!よんよんさんも、詩を読んでおられるのですね。……私の好きな詩人さんばかり♪ 嬉しいです!
      、、、今日も暑くなりそうです。熱中症に、気を付けて、良い一日を、お過ごしくださいね (*^^*)
      2021/08/04
  • 本当に読んで良かった。
    イギリスと日本の学校教育はこんなにも違うのかと驚く。
    移民が多く人種も様々、貧富の差も大きいイギリス。
    日本とは背景が違うとは言え、考えさせられる事ばかり。
    中学生の息子さんを中心に描かれているストーリーだが、この息子さんが本当に賢くて素直。
    「エンパシーとは何か?」という問題に「自分で誰かの靴を履いてみること」と答える。
    こういう問題を学校で学んでいるんですね。
    母ちゃんの言葉で「多様性は、うんざりするほど大変だし、めんどくさいけど、無知を減らすからいいことなんだと思う」
    と言うのが、なるほど、と大きくうなずける。
    他にも考えさせられる言葉が沢山あり、読み返したり、調べたりしながら読了。
    是非多くの人に読んで欲しい。

  • 「期せずしてマジョリティー」

    中年男性という時点で、日本において自分はマジョリティーに属している。多分。
    そのおかげで受けずに済んでいる矛盾や葛藤はあるのだろうな。

    著者のブレイディ氏は英国在住。イギリス人の配偶者と中学生の息子と暮らしている。イギリスにおいてはマーガレットサッチャーの政策により少数の金持ちと多数の貧乏人が存在する格差社会が加速し、社会の分断が進んでいるようだ。暮らしている人々の特性は多様だが、その一部をあげつらいレッテルを貼って異質な物として捉えている。(アジア系、移民、貧乏人など)

    考えてみれば、人々の持つ特性は多様である。(イエローでホワイト、イングリッシュでブリティッシュでヨーロピアン、男性、女性、その中間)沢山の要素を持つ個人が集まって生きている。その背景を慮るのは面倒だが、そのおかげで「無知」を回避することができる。

    世界基準に照らせば、日本における多様性はそれほど複雑ではないかもしれない。それでもこのままの状態が継続するとも思えず、行く先を示す物語として示唆に富んでいると自分は読んだ。多様性はなにも民族に限らず、性別、年齢、経済力などそれこそ多くの階層で成り立っている。抑圧され見えづらくなっているがそれは厳然と存在している。その多様性から目を背けず、真摯に向き合うことで「社会を見る筋力」みたいなものが培われていくのではないかと思った。

    ブレイディ氏の社会に対するシャープなまなざしは多様な英国社会の中できっと鍛えられていたに違いない、そしてその「社会筋」は息子に引き継がれているようだ。そういう人々がいると考えると未来は決して暗くはないと思った。自分もしっかり考えないといかんなと思った。

  • 祝文庫化!

    1. パンクな母ちゃんとクレバーな息子たち | ブレイディみかこ×ヤマザキマリ「パンク母ちゃん」 | ブレイディみかこ , ヤマザキマリ | 連載 | 考える人 | 新潮社
    https://kangaeruhito.jp/article/76944

    ブレイディみかこ 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/101752/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      moboyokohamaかわぞえさん
      フォローありがとうございます。此方こそ宜しくお願いいたします。

      欲張り猫なので、アレもコレもU...
      moboyokohamaかわぞえさん
      フォローありがとうございます。此方こそ宜しくお願いいたします。

      欲張り猫なので、アレもコレもUPしちゃいます。読みたい本ですので、読んでいない方が圧倒的に多いですが、、、
      2021/06/24
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      “優しさ”頼りの援助では、自分に余裕があるときしかできない【ブレイディみかこ】 | インタビュー 人生、おしゃれ、そしてこれから | mi-...
      “優しさ”頼りの援助では、自分に余裕があるときしかできない【ブレイディみかこ】 | インタビュー 人生、おしゃれ、そしてこれから | mi-mollet(ミモレ) | 明日の私へ、小さな一歩!
      https://mi-mollet.com/articles/-/36603
      2022/06/24
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      子どもを後回しにするのは「国家の店じまい」。ブレイディみかこさんが見る、日本の教育の“いま” | ハフポスト アートとカルチャー
      https...
      子どもを後回しにするのは「国家の店じまい」。ブレイディみかこさんが見る、日本の教育の“いま” | ハフポスト アートとカルチャー
      https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_62ea0d61e4b09d09a2bee4f4
      2023/01/27
  • 本書の文庫版の解説は、書店の店員さんが書かれている。その解説の中で、彼女は、ブレイディみかこさんの著作のテーマについて、「"地べた"の視点から政治、経済、労働、貧困、そしてそこに生きる人々の姿を伝えるという、彼女のライフワークとも言えるテーマ」という適格な表現で紹介をされている。本書も、そのテーマに沿った内容となっている。
    筆者のブレイディみかこさんは、英国のブライトンという街に、ワーキングクラスの夫と、男の子の3人で暮らしている。息子は、市内でトップクラスのカトリックの小学校に通っていたが、中学進学に際して、家の近くの「元底辺校」に通うことを選択する。本書は、その中学校での息子とその知人たちの最初の1.5年間を描いたものである。
    一読、誰もが感じるであろうことは、英国での、格差と差別の実態のすごさである。歴史的な流れとしては、英国は第二次大戦後、「ゆりかごから墓場まで」と呼ばれる高福祉国家として運営されてきた。多くの産業・企業が国営となり、それらの産業・企業の業績が良いうち、すなわち、経済的に裕福で成長していた時代はよかったのであるが、国営企業の非効率な運営等の理由により、英国は徐々に産業競争力・企業競争力を失い、「ヨーロッパの病人」と呼ばれるまでに凋落していく。その流れを変えたのが、サッチャーである。サッチャー保守党のとった新自由主義的な政策は、自由競争・小さな政府を主要な考え方とし、国家予算を、したがって、高福祉の実態を削っていく施策を続けていった。その後、労働党政権が誕生したことはあったが、基本的に保守党政権の期間の方が長く、この新自由主義の政策がとられた結果、英国の経済は持ち直したが、一方で、格差が広がっていった、という構造である。この構造は、米国のレーガン政権、日本の小泉政権がとった政策、そしてその結果と相似形である。
    本書には、格差の結果としてのエピソードが多く語られている。学校間格差、給食を食べられない子供、NHSの機能不全、制服を買えない子供、等々。
    強烈なエピソードが多いのであるが、みかこさん、息子さん、みかこさんの配偶者は、冷静に色々なことを議論したりして、対処の考え方や方策をゆっくりと考えていく。そういった話の1つ1つが考えさせられるものであるし、読み物としても面白い。

    本書は、本年、続編が発行されたようである。差別のこと等、もう少し感想として書きたいこともあるが、それは続編を読んでからにしようと思う。

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著者プロフィール

ブレイディ みかこ:ライター、コラムニスト。1965年福岡市生まれ。音楽好きが高じて渡英、96年からブライトン在住。著書に『花の命はノー・フューチャー DELUXE EDITION』『ジンセイハ、オンガクデアル──LIFE IS MUSIC』『オンガクハ、セイジデアル──MUSIC IS POLITICS』(ちくま文庫)、『いまモリッシーを聴くということ』(Pヴァイン)、『子どもたちの階級闘争』(みすず書房)、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮文庫)、『他者の靴を履く』(文藝春秋)、『ヨーロッパ・コーリング・リターンズ』(岩波現代文庫)、『両手にトカレフ』(ポプラ社)、『リスペクト――R・E・S・P・E・C・T』(筑摩書房)など多数。

「2023年 『ワイルドサイドをほっつき歩け』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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