くまちゃん (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101058283

感想・レビュー・書評

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  • NHKの理想的本棚で紹介されていて気になったので読みました。

    ふられ小説とあるように、恋に落ちてはふられ、そのふった人が次の話ではふられる主人公になり、そのリレーが続いていく短編集のようなもので、元は雑誌で連載されていたもののようです。
    短編を次々と呼んだ時と時間を置きながら読むのでまた違った感想を抱くのではないでしょうか。

    一人称小説なので、主人公の一方的な気持ちしか見えず、その中では振った側がとても嫌なやつに思えるのです。
    しかし、次にその嫌なやつが主人公になることで、彼ら彼女らがどのような気持ちで振ったのか、どのような恋愛観などの違いがあったのかが分かるわけです。
    小説に出てくる20〜30代の男女は皆一様に恋愛に対して心の余裕がなくて、自己中で、身勝手なのですが、何故か全員憎めないヤツなのです。

    失恋をしたことがある人ならば、きっと3,4ページ読む毎に昔のふられた思い出がフラッシュバックすることでしょう。私がそうであったように。

    短編集なので、あまり普段読書をしない方でも読みやすいと思います。
    角田光代さんの作品は他には八日目の蝉しか読んだことがなかったのですが、どちらの作品も登場人物の心理描写が光っています。光代だけに。登場人物のことが最初は嫌いだな〜と思っていても、最後まで読めばきっと彼らのことが好きになるはずです。

    中高生の図書室に置くには、ちょっと躊躇われるシーンもちょっとだけあります。神経質になるほどのものじゃないですけれどご注意下さい。
    それ以外は全ての恋してた人に勧めたい一冊だなと思います。

  • 最初の話と乙女相談室が良かった。
    電球はいつか消える。笑
    そう思えた。

  • NHK Eテレで紹介されていて面白そうだったので読んでみた。
    私にとっては角田光代初の小説。
    なるほど人気があるのがわかった。
    心情描写がすごくうまいなぁ。

    連作短編だけど、次のお話しがどんなのか気になって仕方なかった。
    読んでた期間が幸せだった。

  • 登場人物がリレーのように繋がっていく中編小説を集めた一冊。あとがきで作者ご本人が「私はふられ小説を書きたかったのだ」と書かれているように、確かに全てふられる話だったことに、読み終わった後に気づいた。それもあり、少し切なく思い通りにいかない何とも言えないもどかしさを感じる話ばかり。もうちょっと若いときに(10〜20代で)読んだら、別の感じ方だったかもなとも思う。個人的には、最後の「乙女相談室」は話のリレー感が薄く蛇足のように感じてしまった。この話があるから綺麗にまとまっているのも分かるのだが…

  • とにかく大好きなくまちゃん。誰かを好きになる度に読み返している気がする。
    誰かを好きだということは苦しくて、辛くて、悲しくて、だけど幸福なこと。そして離れてしまっても、その時にはどうしても必要なひとだったんだと思う。

  • なんていうかお互いが相手に本気で恋するのはやっぱり奇跡なんだな…。時間が経つほどどちらかに比率が寄ってしまうよね。
    振られるのがテーマだからしょうがないけど「恋って良いなぁ」って気持ちにはなれないね。。

    でもよくコメントで書かれているように、暗い気持ちになるわけではないです。面白さは文句なしに星5、おすすめです。

  • “振られる”がテーマの小説。
    振った側が次の章で主人公となり振られ…の繰り返し。章が繋がってて面白かった。
    振られる事はマイナスじゃない!って思える小説だった。

  • これもまた友達からのおすすめ本。
    振られ小説。フってフラれての繰り返し。登場人物が新たに加わって話がどんどん繋がっていく感じがして、こういう感じ大好きだ〜ってなった!
    「なりたいものになるには、自分で、目の前の一個一個、自分で選んで、やっつけてかなきゃならないと思うの」この一節がめちゃくちゃ刺さった。
    こうなったのも、ああすればよかったとか、結局その時の自分が必要だと思って選んだ先にあったもの、その時には必要でしょうがなかったこと。自分の人生誰も責任とってくれないし、自分で選んでいかなきゃならない。。むずかしー!

  • 第一話で主人公をふった彼が、第二話で主人公となり彼女にふられる、その彼女がまた誰かにふられる。といった、ふら連鎖なふられ小説。

    あとがきに『この小説に書いた男女は、だいたい20代の前半から30代半ばまでである。1990年代から2000年を過ぎるくらいまでの時間の中で、恋をし、ふられ、年齢を重ねていく。』って書かれてあるのだけれど、あー、まさに私ドンピシャの時代だなー。
    なので恋愛する男と女の感情や、ふった時ふられた時の感情は、「あー、そうそう、そうだったよなー」と、遠い記憶が一瞬にして甦ったりもして、なんだか懐かしい気持ちになりました。

    ふってふられてふられてふって、それでも人は恋をする。
    なんか人の心って不思議ですね。

  • ふられ小説。大好き。

  • 「だれしもそのとき自分に必要な相手と必要な恋をし、手に入れたり入れられなかったり、守ろうと足掻いたり守れなかったりする。そしてあるとき、関係は終わる。それは必要であったものが必要でなくなったからなのだろう。たぶん、双方にとって。」

  • ふる/ふられる、で、つながる男女の輪に
    学生以上・社会人未満の揺れる心を映した共感度抜群の「ふられ」小説。とあるだけあって、ほんとにふられていく話だけどすごくすごく時間がかけられていて、そうなんだよなぁ消化したり切り替えるのに時間ってほんとにかかる。最後の乙女相談室が好きだな。男女とか恋愛とかでなく単に離婚という別れを自分に落とし込むお話。

  • 友達に勧められて読みました。
    自分は経験していないような恋愛の話なのに、登場人物がいつかの自分と重なって、もやもやした気持ちの原因を客観的に認識させられる感じがしました。
    角田光代さんの切り取る景色が大好きなんだと気付きました!

  • ただ、振られただけではなく次へと話の繋がりがあってとても良かった

  • ふられ話だらけ…という、なかなかお目にかかれない作品。色々な形でフラれるものの、どんより暗いというより、前を向けるような終わりになっているのは、さすが!
    それにしても、どのお話もふる側の気持ちのベクトルが反対を向けばラブラブになるのになぁ…(そして、だとしても、その状況が未来永劫続くとは限らないけど…)恋って難しいなぁ…なんて思いました。

  • 脇役が次の主役になる連続恋愛短編小説で角田毒も満載。

  • 友達にお勧めして貰った本の1冊。
    角田光代さんの本は初めて読んだけど、こう、淡々と今の状況を積み上げていく文章の書き方、結構好きだ。
    くまちゃんは短編で成り立っていて、主人公が変わるけど前の話で出てきた人が次に主人公となる構成になっている。

    あとがきを読んで、あぁ恋愛と仕事の事を書いてたんだ、なるほどーっと納得。
    どの主人公もみんな振られて、恋愛をキッカケに仕事を頑張ったり、辞めたり。そもそも考え方とか、何かしらキッカケを得ていて、人付き合いで変わっていく描写、好きだなーと思っていた。
    若い時ほど仕事にしろ恋愛にしろ、全力投球になる瞬間があって、それによって仕事を辞めたり頑張ったり、確かにあるんだろうなぁと思う。

    くまちゃん
    大学生の時、カラオケに4人で、と入りながら12人で入ったりした、という放埒さを持っていた古平苑子が、社会人となってからも集まる同好会のメンバーとの花見の席でくまちゃんと出会う。
    飲みの席ではいつも誰かが知人を連れてきてごった返していたから、その人も誰かの友達なのだと思っていた。
    しかしなし崩しに事に及んだ後、連絡を取ろうにも誰も彼のことを知らないことが分かる。
    くまちゃんは誰だったのか、妖怪の類かも、と忘れようと思った矢先、彼は戻ってきて一緒に暮らすようになる、という話。

    パーカーにくまの絵が描かれているからくまちゃんと呼んでて、本のタイトルでもある「くまちゃん」がそこから来ていることに「あ、なるほど」と妙に納得した。
    その時の特徴から呼び名が決まるの、あるよね。
    主人公はグズグズだし、そこに現れた男も絶対ろくでもないじゃん、と思えばやっぱりそうで。
    それでも彼の話すアーティストの話を訳も分からずうんうん聞いたり幸せそうな暮らしをして、そして呆気なく彼はいなくなってしまう。
    しばらくはくまちゃんを探し歩いて、でも見つからない中でようやく彼と再会。
    最後にダメダメな彼に吐き出して、何も言わない彼に諦め別れる。
    仕事で行ったドイツで、くまちゃんが熱狂していたアーティストの個展を見つけ入ってみると、あのくまがプリントされた服を着たアーティストと出会って言葉を交わし、なんだかスッキリした気持ちで別れる。
    最後に『色彩がぐるぐると躍っていた』と表現する文が好き。

    アルバイト
    海の家のバイトで出会った女性に惹かれて、東京に戻ったら一緒にルームシェアしよう、と持ち掛ける持田英之。
    なし崩しにルームシェアは同棲となり、「ずっと夏休みのような暮らしをしたい」2人はうまくやっていた。
    彼女はいろんな協定を持ちたがり、その中には「主人公の好きな女優さんと出会って恋に落ちたら別れる。私が好きなバンドマンと恋に落ちたら別れる」というのもあった。
    そんな事は起こりえないだろうし、この暮らしを継続するために、バイトを転々としていた彼は正社員としての仕事を探し始める。

    前の章で名前は出てたけど、ずっとくまちゃんだったからこの章の彼がそうだと気付くのが遅れた。
    同じようにフラフラしている彼女と出会って、くまちゃんは「めんどくさい」ことをしっかり言語化して考えてる彼女に尊敬する。
    色んな女の子を転々としていた彼が、初めてちゃんと好きになった女性だった。
    くまちゃんと呼んだ前の主人公の事も、彼は既に顔を忘れてるし、その時好いたアーティストの事も忘れてしまったよう。
    変わらないと思ったダメダメな男も、恋で変わるんだなぁと興味深く、そして彼がそうしてきたように振られるのが良かった。

    勝負恋愛
    協定通りくまちゃんと別れ、ずっと好きだったバンドマンと恋人関係になった主人公・岡崎ゆりえ。
    奇跡みたいな出来事に浮ついていた気持ちも、2年も経つ頃には落ち着いてくる。
    他の女の影は全くなかったものの、姉のような存在という女性が家を訪ねて来ては、自分より彼のスケジュールを把握し、彼女が作っても食べない手料理を持ってくる。
    憧れの男と付き合うために、自分が嫌だと思っていたつまらない女に成り下がったことを考える。

    許容出来ないようなだらしない男でも、惚れた弱みで自分を殺して一緒に生活していたゆりえ。
    今までの中で一番共感出来るなぁ、ずっと好きだった人と付き合えるとなれば、そりゃ自分を殺してでも一緒に生活してしまうだろうなと。
    でもゆりえ自身も思ったように、彼女はくまちゃんと一緒の生活が合っていて良かっただろうにと思ってしまう。
    世話焼きにきていた姉のような存在の人、本当にただそれだけの関係だとしても、あの世話焼き具合は面倒でイヤだよなぁ。自分の親戚を思い出した。
    イタリアン(だったかな)で一人で限界まで食べまくる彼女が、彼女らしさを取り戻していく描写になっていて良かった。

    コウモリ
    元バンドマンの保土谷撒仁は、落ち目となったアーティストの仕事に見切りをつけながら、別の仕事をこなしていた。
    スナックに連れられ全く未来の見えない女を家に泊めるハメになるが、何故か彼女に惹かれてしまう。
    しかし彼女は酔っぱらうと記憶をなくし、親しくなったかと思えば離れ、宙ぶらりんのまま家にいつく生活を続ける。

    バンドマンとして一度は成功しただけあって、直観や冷静さはあるらしい。かなり面倒くさがりのような性格でロクでもなさそうだ、と思うけど。
    出会った女性と付き合うな、と未来が見える、ピンとくると、好きとか愛してるとか言葉を交わさずとも交際がスタートするという。
    彼も大分、くまちゃんっぽいなぁ。好きとか思うわけでもなく女性がいてくれて尽くしてくれて、何も変えずに生きていた。
    でも彼女と出会ってようやく彼はこの関係はなんなのかと悩んだり、姉のような存在の彼女は自分にとってなんなのかと考えてみたりと成長する。
    でもすんなりまた次の女性と付き合って(今度は学習して結婚を申し込まないとって考えてる)普通に生活しているのを、良かったと思えない複雑な気持ちで見ちゃう。
    この時ゆりえと出会えたら良かったような、でも地獄になるかなぁ…。

    浮き草
    劇団員に属して、成功を夢見る片田希麻子。
    このままじゃいかん、と勤めてたスナックを無断でやめて住所も変え、エクストラの仕事後の飲みの席で彼と出会う。
    人生設計を描きその通り、彼の家に転がり込み仕事を受け持つのだが…。

    愛想もなく美人でも可愛いわけでもない、でも男に困らないのはいけるかどうかの判断と、行動を計画しているからだ、という。
    酔っぱらうと記憶を忘れる質なのは本当らしく、でも撒仁も付き合うまではしなくても狙ってやってたんだなぁ、やっぱり…。
    イラストレーターで成功している男の元に転がり込みながら、周りにいた男との違いを考える。自分と大差なかった、と言っちゃう希麻子に、いや撒仁は成功した男だよ?!と思ってしまった。この男の事を別に好きなわけでもないのに。
    彼以外に、18から劇団の団長である黒田と付き合っている希麻子が、18以来本気の恋愛だ!と思うことでようやく黒田や劇団の仕事に見切りをつける。
    結局彼とは上手くいかずに終わってしまうけど、男も劇団の仕事もなくても、普通の生活があると思い至った希麻子のラストは良かった。

    光の子
    イラストレーターとして成功している林久信は昔、おいしい料理を作る文太と出会い衝撃を受ける。
    彼の熱意に押されるように自分も目の前の事に必死で手を動かし成功したが、文太はそれとは対照的にどんどん落ちぶれてしまう。
    その彼と付き合う女性を紹介されながら、熱海で賄いを作る仕事をする、という文太に、内緒で彼女に会って止めようとする…。

    希麻子と付き合って、自分の文太に対する感情は愛や恋に近いのだと悟る。しかし付き合いたいという感情ではないので、恋と呼べるかは分からない。
    がむしゃらにずっと文太を目標にしていた彼の、その大きすぎる感情が、文太自身も本当は苦しめてたんじゃないかなぁ。
    等身大の今の文太に向き合う彼女・苑子が、最初の主人公だと気付いてビックリした。ま、また夢追い男と付き合ってたの…!今回はうまくいって良かったけど。
    やたらとチビでブスで年増だと(胸の内で)悪態つかれていたこともあって、最初の主人公だと全然気づかなかった。
    最後の章で最初の主人公に戻ったら面白いなーと思ってたから、ここで戻るとは思わなかった。
    盲目的に誰かを崇めるのって、全然接点のない関係ならいいけど、友人や恋人だと歪だなぁ、と思った。

    乙女相談室
    好きな人ができたと告げられ夫と離婚、数か月過ぎてからふと、これまで付き合った数と振られた数が一致することに気づいてしまった山里こずえ。
    何か自分に問題があるのでは、と思っても誰も真剣に取り合ってくれない。そんな中、「乙女相談室」というHPの存在を教えられ、思い切ってその飲み会に参加することに。
    振られた女たちが集まり、名前や振られた経験くらいしか知らない繋がりの飲み会は、不思議と心地が良いものだった。

    一番まともそうな子がきた、と思ったけど、振られたショックで50万も買い物をして親に泣きついてたりやっぱりまともではなかった。
    これまで振った方が主人公となったけど、今回は全然関係ない子が出てきたな、前の章で原点に戻っちゃったもんなーと思ってたら、乙女相談室で3話に出てきたユリアが来た!
    彼女が一番好きな主人公だったから、また出てきてくれて嬉しい~!
    ずっと好きだったバンドマンと付き合えたことで、やっぱり彼女はその後上手くいかなくなってしまったよう。
    しかしずっとつまんない男だ!と思っていたけど、そのつまんなさは自分のものだと気付いてようやく目の前の人と向き合えるようになった、と乙女相談室を卒業していく彼女が見れて良かった。
    今回の主人公も、離婚した男と出会ってお茶して、別れ際にようやく踏ん切りがついたような描写でよかった。

  • 振った人が次は振られて、の連鎖。
    「〇〇に会ったのは〇〇で、そのとき〇〇は〇〇歳だった。」で始まることに途中で気がつきました。
    連鎖していて、きっとまたはじめに戻るだろうなあと予想していましたが、そう戻ってきたか!と嬉しくなりました。

    失恋は、忘れられずずっと残っていることもあれば、風化して、でも時折強烈に思い出すこともある気がします。でも、確かにそのときは必要だったもので、だからそれをひっぺがすのが辛い。物語の終わりが「光の子」ではなく、(もちろんこれでもいいけど)「乙女相談室」だったところも好きです。


    あとがきにもありましたが、恋愛と仕事とが同じぐらいの価値をもつ(あるいは、同列に語られる)のは、30歳前後までなのかもしれません。「仕事と自分、どっちが大切?」なんて言えるのはその頃までかもしれません。
    振って振られた登場人物たちが、幸せになっていたらいいなあと思います。

  • 失恋した時に読みたい本。

    まさに失恋した時に読みました。
    振った相手が次のお話で振られていく短編集です。

    色んな登場人物の失恋物語の中で
    ・自分の人生を面白くするのは自分であること
    ・すべての縁は自分に必要だったからできるのだ、ということ(その縁を手放すのもまた自分の意思であること)
    ・幸せは自分で選び掴み取るものであること
    に気付いていく登場人物達に自分と重なるものを感じ、考えさせられました。

    恋愛が終わるとその人との自分が消えてしまうわけで、友達とは違って元に戻れないわけで、股裂にあうという表現にはなるほどな、と思いました。同時にすごく儚い関係性だな、とも思いました。

    失恋の痛みって、自分の胸の内に秘めて蓋をして向き合わないようにすればいつかどうでも良いことにもできますが、物語を介して自分だげじゃないんだ、と救われるような気持ちになると同時に、自分の中を客観視でき、整理できた気がします。

    物語って人を救うんだな、と思いました。

    最後の後書きも良かったです。
    角田光代さんの生き方の断片を知り、めちゃめちゃかっこいいと思いました。
    確固たるものをもって人生を全うされている方は本当に魅力的です☺️憧れます。

  • またさきのところなるほどなって。彼が好きなそうな自分のところを伸ばすからそれが別人格のようになって、彼と別れたときに自分の一部が切り離される感覚か。自分は自分なのに。ユリエの逞しさが好き。

  • 失恋小説なのかと思いきや、全ての恋愛が仕事や夢と濃厚に絡んでいるのが良かった。たしかに仕事と恋愛って密接に作用しあってるよなあ、

  • 幸せな瞬間もそれが終わってしまう瞬間も
    思い返せば全てが必死で哀れだ。
    それでも人を好きになって良かったと
    時間が経てば思う

  • 失恋数珠繋ぎ
    最後は大団円の総出かと・・・
    でも、どれも腑に落ちない

  • 良!!!

  • 前代未聞の「フラれ連作小説」。こんなん、初めて読んだ。着想の面白さが素晴らしい。全然方向性は違うんですが、宮部みゆき「長い長い殺人」を思い出しました。アレと同じくらい、発想の見事な小説だな、って思いましたね。

    短編集、というか、連作短編、という感じでしょうか。

    第一話。登場人物Aと登場人物Bが出会って恋をして、AはBにフラれる。

    第二話。登場人物Bと登場人物Cが出会って恋をして、BはCにフラれる。

    第三話。登場人物Cと登場人物Dが出会って恋をして、CはDにフラれる。

    第四話。登場人物Dと登場人物Eが出会って以下略。

    という繰り返し。最終話だけ、総まとめ編?みたいな感じで、ちょっと違う構成でしたが。

    というわけで、前代未聞のフラれ連作小説。こんな構成、よお考えたなあ、角田さん。凄い。で、更に。フラれ小説なのに、全然、後味悪くない。逆に希望がある、みたいな。凄い。凄いぞ。

    まあ、好きな人にフラれる、って、普通、すげえ辛いですやんか。嫌ですやんか、フラれるの。でも、「フラれる」ことで、人々の人生は続いていく。誰かをフった人が誰かにフラれることになり、そして、誰かにフラれた人は、誰かにフラれたまた別の誰かに出会うのだ。

    これって、生命の繋がり、DNAの歴史そのものではないのか?とか、あまりに壮大な事まで考えました。考えすぎ?いやでもそう思ったんだよ俺は。とか。思った。そのぐらいに、ああ。これは円環だ。ウロボロスの蛇?とかとも思ったが。

    とにかく、こんなに前向きになれる「フラれる物語」は、他にないぞ?とか思った。いや、あるのかもしれませんが、僕にとっては「前向きフラれ物語」は、コレが初めてだったもので。

    いやあ、まあ、お見事です。お見事な本ですね。やっぱ、何がどうあっても、角田光代さんは大好きな作家だな、という思いを新たにすることができて、とても有り難かった一冊です。僕は、角田光代さんの小説が、間違いなく好きです。

  • 1年前位に失恋して、その時に失恋 本 でググッたら出てきたので購入しました。
    1話目を読んで、んんん自分の辛さはこんなもんじゃないと思い読むことをやめました。
    そして今改めて全部を読んでみると当時の自分の気持ちが全部書いてあったような気がしました。ちゃんと読めばよかったなって後悔したけど今だから落ち着いて振り返れるのかなとも思います。辛い時期を乗り越えた自分にシャンパン空けたいです。

    本当に素敵な本でした!失恋した友達がいたら勧めてあげたいです!

  • 友人から借用。

    一周回って最初にたどり着く、うまいなぁ。

  • 恋やめたいと思うのにやめられなくて、自分がどんどんみっともなくなるのにどうしようもなくて。だけど恋はそのときの自分に必要な恋って言葉に救いを感じた、最終章の「乙女相談室」を読んでとても穏やかな気持ちになれた。「光の子」と「勝負恋愛」も好きだった。

  • 失恋のリレー。
    登場人物がダメな人が多すぎて共感はできなかったが、
    失恋後に読むと心が落ち着く。

  • 誰かの想い人は、誰かに恋している。
    そんなお話。

    短編集ですが、前誰かを振った人は、次の編で誰かに振られる。

    皆それぞれに片想い。

    恋に疲れた時に読みたくなる本だと思います。
    皆そんなもんだよ、と。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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