花のれん (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104034

感想・レビュー・書評

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  • パワフルな主人公が好感を得ました。
    かなり昔の作品ですが、読みやすかったです。

  • 2021/4/27 読了

  • 蔵書整理で手放すので、再び出会い読む日もあるか

  • 「独楽みたいなもので、回っている間だけがたってるので、動きが止まった途端に倒れますねん」
    多加が伊藤さんに言った言葉だが、私も日々働いていて同じようなことを思う。少しでも気を抜くと足元から崩れ落ちてしまいそうな、そんな緊張感というか恐怖感がある。
    多加のように気丈にやっていけるだろうか。これからの世の中やっていかなければいけないのだろうな。
    そう思うと多加のようにむちゃくちゃにやり切って散りたい

  • 最近、豊子先生が読みたくて。
    同じ女としてこんだけ仕事に力入れてみたい気持ちも分からなくもないが、何か寂しさが付き纏う。
    この時代にこんだけの商いの才があるのはすごいことだけどさ。

  • 1909年、船場の呉服屋に嫁いだ多加は、家業に無関心の頼りない夫に振り回される。
    義父が亡くなった後はたがが外れたように遊び歩くようになり、苦労する。
    夫は芸事が好きで、多加はそれを仕事にしてはどうかと勧め、思いきって呉服屋を畳み、寄席を始める。
    最初はやる気になっていたが、本来のだらしなさが復活し、また働かなくなる始末。
    その後、夫は思いがけないことで死亡し、多加を最後まで苦しめる。
    しかし、一人息子を抱える多加は大阪商人として、更に人生を費やして行く。
    周りに何を言われようが、商売のためなら何でもやった。
    昔から、やはり女性は強い。
    だけど、その苦労は生半可なものでなく、時には挫けそうになる多加の気持ちを思うと泣けてくる場面も。

    2019.12.30

  • 山崎豊子氏の直木賞受賞作品。裏表紙を見たら、昭和33年発行となっていて驚いた。著者は大阪人であり、この作品は大阪出身の人にしか書けないと思う。山崎氏の他の大作とちがい、1冊で完結の読みやすい本である。
    大正時代に、呉服屋に嫁入りした多加が、商売がうまくいかず、遊び人の夫に悩まされ、一人になった後落語の寄席を開いて奮闘する話。行動力がある多加のバイタリティに感心する。歴史小説ではないが、どうやら小説のモデルとなる女性がいたようだ。大阪のお笑い、今でいうと吉本興業のような、特有の文化が発達していく過程が楽しめる。読んでいると、主人公の女性を応援したくなってくる。今も昔も、女性がビジネスで成功するには、男性以上の努力と犠牲が必要なのだなとつくづく思った。
    大阪が舞台なので、会話がすべてコテコテの大阪弁である。それも風情があってよい。

  • 素晴らしの一言
    大阪商人の根性と笑いで元気がわき出る一冊と言っても過言ではない。
    人生迷ったら再読すべし。

  • ひとりの女大阪商人の、波乱万丈の生涯を見事に活写。

  • 安定の山崎豊子。

    不毛地帯にも華麗なる一族にも共通することだが、ストーリー自体が面白いだけでなく、ビジネスに対する心構えを学ぶことができる。

    本作においては、リスクを取ることと人心掌握の重要性を学んだ。

    このようなスタートアップの物語から、スタートアップがどのようにして生まれ、成功していったのか知ることは、仕事において大切であると感じたので、関連の本を読んでいこうと思う。

    ちなみに、調べて分かったのだが、本作の主人公のモデルとなったのは吉本興業の創業者である「吉本せい」とのこと。
    吉本興業の創業者は女性だったのに驚き。

  • 山崎豊子さんが確か大阪の商人の出で、「女系家族」もすごく面白かったので。朝ドラ「わろてんか」のヒロインのモデルとなった、吉本興業を興した吉本せいさんの物語。かなり前に読んだので、「わろてんか」と「あさがきた」が混ざってしまってるけど・・どっちも旦那さんがそうとうダメ夫だったよねえ。腹上死したのはどっちだっけ?たしかせいの夫もそうとうダメ夫だった気がしたけど、ドラマでは普通にいい夫の部類だったよねえ。いやでも女性が頑張る物語は大好きです!

  • 2017年後期朝ドラのモデル(吉本せい)と同じ人物をモデルにした、昭和33年の小説。実在の場所や人物、方言の描写も戦前の大大阪時代を彷彿とさせ、一気に読めた。この面白さが朝ドラに出せるのかなーという不安も少々。現代の大阪の地理がわかり、戦前の大大阪の様子も知っておくと、朝ドラも更に面白いと思う。戦前の通天閣も出てくるかな?

  • 夫と一緒に吉本興業を起こした吉本せいをモデルにした小説。吉本せいをモデルにしたドラマに「わろてんか」がある。

    吉本せいの一代記も「わろてんか」も本作も一行で要約すれば同じになるが、中見は随分と違う。

    花のれんは身代を潰した道楽旦那の道楽を商売のネタにして寄席小屋をつくり、夫婦で大きくしていく。更に夭逝した夫の跡を継ぎ小屋を大きくして言うという、大阪女将のど根性小説といったものである。

    山﨑豊子の作品と言うことで読ませてくれるが、NHKが半年の朝ドラにした題材なので、この分量ではディテールが描き切れていないという気がする。ちょっと淡々とした書きぶり。まあ、簡単に読めてよいともいえる。

    読んで損はない。

  • 大正末期~太平洋戦争後の大阪を舞台に旦那亡き後、女手一本で寄席稼業をはじめとする商いの道に邁進していく女性の物語。

    ど根性を地で行く苦労話や異性に対する葛藤等が盛り込まれており、それでも商いの道を貫きとおす生き方にすがすがしい思いがした。寄席等は全くの不案内だが、悪いものではないと思った。活字にした大阪弁はちょっと読みにくかったが。。。

  • 吉本せいの本質は、NHKの朝ドラより本作の方が近いのだろうと思う。
    山崎豊子+直木賞受賞作品にしてはつまらない。
    期待はずれ。

  • 主人公の一貫して油断も隙もない姿勢に窒息するほどの緊張感で長い物語。読む方にも体力がないと読めず切なかった。

    仕事、仕事の女の人生って・・。しかもそうじゃなければ成功はなかったのだろう。
    ただ、この物語は主人公よりも作家の性格がかなり強く投影されてるのかと思う。実在の人物をモデルに描くフィクション小説と言うよりは主人公の身の上に起こった事実を淡々と詳らかにしていく作業を原稿用紙の上に繰り広げたものと感じる。

    節約(しまつ)はするけど、心の襞を描きだせば別の瑞々しい人物像が現れるのだろう。奥に隠してるあったかい部分が。
    でなければ、今の吉本興業はないと思う。

    簡潔な文章で文章自体は読みやすいが、若干の恋愛感情も心に押し隠す色気のなさに☆3つ。
    (図書館本)

  • 2017年度後半のNHK朝ドラ『わろてんか』を観て、モデルの吉本せいさんに興味を持ち、ドラマに先立って小説化、映画化されたという、この山崎豊子さんの直木賞受賞作を読もうと思った。
    恐らくは、こちらの作品の女主人公、河島多加さんの方が、現実の吉本せいさんの人物像に近いのだろうと思いながら読んだ。
    実際、おおまかには事実を元に創作を加えて作られていることが、二つのストーリーを比べると実感できる。安来節の扱いなど、その違いを見ると興味深いし、なにより、吉本吉兵衛、通称が泰三という主人公の旦那さんの扱いが、大きく異なっている。いまのドラマは、いわゆる「えげつなさ」を除いて、ファンタジー的に扱っている。没後も、時々、幽霊となって現れ、主人公のてんに忠告したり相談に乗ったりと。
    現実は、「花のれん」では妾宅で亡くなったことになっているが、どうだったのだろう、それも創作かもしれないにしても、近いものがあったのだろうと思う。
    あと、子どもの扱いも、随分と違っている。実際の子ども、頴右という人は、笠置シヅ子さんと恋仲になったと聞くが、ドラマでは、はるか以前、戦前にすでに駆け落ちして子を設けている。
    また、吉本せいさんの片腕となった専務のことも、それぞれ違いがある。「花のれん」では、ガマ口はんという元芸人さんが、片腕を担い、ちょうどドラマで登場した通天閣を買う辺りのことも、主人公の多加さん主導で行なわれたように登場する。
    ドラマでは、風太。そして、伊野栞という人が加わって、てんを支えている。でも、これもよく知られたことで、現実の吉本興業は、吉本せいさんの実弟である、専務から社長になった、林正之助さんの影響が、せいさんの生前から強かったといわれる。
    その辺りのことを考えながら読むのも、また一興ではあるが、純粋に、大阪の興行主としての女主人のえげつなさを読むには、この「花のれん」はとても興味深い作品であると思えた。

  • 読了。

    朝ドラを見ていて、別の視点で吉本せいさんの生涯を描いている小説に触れてみたくて、読んでみました。

    モデルになっているとはいえ、フィクションだから、あることないこと盛り込まれてるはずだけれど、ものすごい苦労人かつ腹の座ったビジネスウーマンだったことは、きっと間違いないのでしょう。

    ボン育ちの旦那さんをなんとかしようと始めた寄席の席主の仕事。支えるつもりが、引っ張っていく人になり、未亡人になってからはますます商いに精を出して、落語から漫才へとお笑い業界に新しい風を吹き込んでいく。吉本興業が生まれ、大阪を席巻し、果ては東京にも出張っていく。そんな当時の彼女の勢いが、リズミカルな船場言葉のやりとりで生々しく伝わってくるし、そのBGMのように、大阪都心部の商都としての戦前の賑わいが描かれているのも興味深く、一気に読み進めました。
    男勝りに仕事をしていた彼女に、おそらく親しい人たちは、あまり女性を感じなかっただろうけれど、彼女自身は、時折心の奥底にある女性もしての心持ちの部分に気づき、その扱いに戸惑っていたと、山崎豊子らしいストーリー。

    朝ドラは、朝ドラらしくと、爽やかなストーリー仕立てにしているんだけれど、芸人さんをまとめる席主さんが、あんな爽やか路線一本で成功するはずない。いっそ、どろんとした部分も描きつつ、その中で奮闘した大阪の稀代のビジネスウーマンとして描くほうが、共感して観れるのになぁ。朝の時計がわりに見るテレビドラマにはそんなドラマティックなのは望めないのかしら。

  • 主人公多加の商売人魂、細やか且つ熱心な仕事ぶりに魅せられる。たまに見せる女としての一面、人間らしさ、それを振り払うようにまたも仕事に邁進する…人間の強さと弱さを見た気がした。
    描写が細かすぎるのか、どうにも文と相性が悪く、入り込めなかったところがある。題材、登場人物は魅力的だが、人を選ぶ本かもしれない。

  • 10

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

山崎豊子の作品

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