花のれん (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104034

感想・レビュー・書評

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  • 途中までは楽しめました。ただ続きが気になるというような気持ちにならなかったので読むことを辞めました。

  • 山崎豊子さんの作品は日本語がとてもきれいだといつも思っていた。この作品は大阪弁が本当に丁寧に書かれていて、大阪の町中にいるような気分にさせられた。
    日本語の表現の美しさが好きで、過去には「二つの祖国」「白い巨塔」「沈まぬ太陽」「大地の子」「華麗なる一族」「女の勲章」などたくさんの作品を読んだ。これらのほとんどがドラマになったのでどれも観てきたが、山崎さんの作品は本で読むのが好き。

    この作品に関していえば、多加の強烈な強さで突き進む商いへの貪欲さが尋常でなく、読みながら絶えず引っ張られているような気にさせられる作品だった。
    通天閣を買い取ったり、エンタツ・アチャコを組み合わせたりと実際のできごとと、山崎さんの創作の部分とがうまく交わって、興味をそそられ熟読できた。

    私が小説を読むのが好きになったきっかけの作家さん。
    久しぶりに手に取って、幸せな時間が過ごせた。

  • 現在放映中の「わろてんか」の原作と聞いたような気がして読んでみたが、全然違う内容なことにまず驚いた。(原作じゃないのかな?)
    もしこれから同じ内容と思って読まれる方がいれば要注意。ところどころ似たエピソードも登場しますけどね。冷やし飴とか安来節とか。
    こちらの女席主・多加のほうが何倍も逞しい。そして死んだ夫のダメ亭主っぷりの凄まじいこと(笑)この時代の女性は忍耐強く我慢強かったのかもしれないが、いくらなんでもこれでは「ほなもうわてがやりますわ」となるのも頷ける。
    大正と昭和をど根性で力強く生き抜き、大阪の寄席興行を大きく育てた女席主。船場商人のコッテコテの大阪弁が痛快。
    恋心や息子への愛も封印し、商いだけに生きた彼女が戦後間もなくに始めたのは、芸人たちの借金を棒引きにして回ること。関東大震災のエピソードにしても、彼女の芸人に対する感謝と愛情が伝わってくる。
    戦後どうやって復興し、現在の吉本興行へと繋がっていくのか、この続編もあったらいいのにな。
    2018/01

  • 最近の小説と違って全般に淡々と書かれており、また、無理に深刻にもされていないので気楽に読めた。

  • 吉本興業の創業者である、吉本せいをモデルとして描いたフィクションです。女性としてせいと、一気呵成に商売人になっていく様が現実に近い形(どこまで現実に近いのかはわかりませんが)で著されています。その商売人としての才覚は見事で、読んでいて得心のいくものでした。

  • 朝ドラが幼稚に感じ見る気失せた。見るけどな。こちらは真逆、ナニワ女商人のど根性ぎっしり、ねっとり、みっちり。

  • 古い作品ですが、ドラマと同じ人物がモデルということで読んでみました
    古さは感じますが、読みにくくはないです

    寄席商売にどっぷりはまっていく女一代記、徐々に話に引き込まれていきます

  • とにかく痛快で元気がでる。そうやってがむしゃらにやってみたらええねん、というところ。

  • 吉本の創業者、せいをモデルにした話であるが、作者の創作がなせる最後である。 凄く古い本ではあったが、テレビで
    ドラマになると言うことで、ちょっと読んでみた。やはり波瀾万丈の時代と活躍で、あの時代を生きたことがよく分かる。今の吉本の基礎を作った人であるとこの本からも読み取れた。結構終わり方も良い。

  • 吉本興業を起こした女主人 多加の物語。女である事が、今よりずっと不利であった時代に、その才覚と根性で笑の世界でのし上がっていく。大阪弁でポンポンと物語が進んで痛快だが、ラストは悲しい。仕事に全てを賭け、好きな人と結ばれる事も諦めた。戦争の陰が大きくのしかかり、全てを失ってしまう。その後が知りたい。

  • 最初は面白かったんだけど。
    うーん

  • 2017/08/15
    次の朝ドラと同じ人がモデルになってるってことで読んでみた。
    大阪弁の響きがいい。
    人に笑いを届けるために、ここまで人生をかけて働いた女性がいたなんて。
    今当たり前にあることが決して当たり前ではないんだということを改めて思う。

  • 大阪船場女商人,喪夫之後一個人獨立繼續寄席的生意,發揮商才和商魂到極致,但是也放棄與伊藤之間可能的幸福和與兒子的相處時光,不斷被時代和心中的商魂推著前進。之前讀山崎的書情節都相當有趣因此過度重視情節,但沒想到這本書潛藏的吉光片羽的文學性令我相當感動,或許這是一個很適合作者的題目。多加和伊藤之間情愫也寫得相當出色,再來是角色造型和勇猛的商魂和寂寞、哀愁,都讓讀者很順利地對她產生感情移入,是相當傑出的塑形,而旁邊的配角例如ガマ口、師匠們、伊藤、茶子....等等都令人印象深刻,大阪弁的對話活靈活現,閱讀過程很是享受。這本書絕對是本名作。

    此外,這本書解說特別提到作者曾說的大阪弁的性格,很適合商業談判,以標準語來說會太過露骨尖銳但是加上大阪弁獨特的柔軟和まだるさ以及融通無礙的巧妙的曖昧,就可以圓滑不衝突地達到商業目的,但是對於心理獨白、ラヴシーン就很弱,用大阪弁來獨白,就會失去心理上的緊迫感(哈姆雷特的那段話就無法用大阪弁來說了)。作者的這個發現饒富興味,方言的生命力和個性,總是無比地吸引著我。

  • 「取り落した仕付け糸の端を、ぴいと抜き取った」
    155頁は感激で深い意味を持つと感じ入った。
    白の喪服・・・・もはやこの日本には、これを着る人は居ないだろうと思う。その意味を知る人も…
    山崎さんはド根性物は書けても恋愛ものはきっと書けなかっだろうナ 唐突的に登場する伊藤でそれを感じる

  • P319
    直木賞 受賞作品

  • 20160416
    徹底的に商いに全てをかける姿はなかなか真似できるものではない…。。

  • リリース:(茂樹さん)

  • 2015年4月26日に開催されたビブリオバトルinいこまで発表された本です。テーマは「咲く」。

  • 最後まで読んだとき全身が粟立つのを感じた。ここまで一人の女性が全てを投げ打って商いに身を投じられるものなんだろうか。多加の女性に対する視線はいつも冷ややかで芸人たちに対するそれとは真逆にある。確かに彼女は一代で途方も無い財を築き上げたのだが、それって本当に幸せだったのだろうか・・・と考えてしまった。女手ひとつの成功譚などとキラキラした言葉でくくってはいけない様々な悲哀が描かれた素晴らしい作品だった。
    『白い巨塔』、『華麗なる一族』の次に私の山崎豊子お気に入り作品にランクイン。

  • 第39回(昭和33年度上半期) 直木賞受賞。
    吉本興業の創業者、吉本せいさんをモデルにした作品だと言われています。大阪弁がこんなにも面白いものだということを、この作品を通して知りました。大阪弁は商いのことばともいわれますが、大阪弁が持つ独特な訛りが大阪という町で生まれ育った人の根底を作る文化だと思いました。大阪弁で怒れば、怖さが増し、褒めれば温もりを感じます。特に、登場人物が使う大阪弁でのお礼の言葉は、大阪人にしか使えない言葉であり、大阪人の気持ちを見事に表す言葉だと感じました。作品の内容も女性の商人で活気あふれる様子が手に取るように感じますが、大阪弁の面白さを最初から最後まで楽しめる作品という印象が強かったです。

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

山崎豊子の作品

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