密謀(上) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101247120

感想・レビュー・書評

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  • 石田三成の描写に共感と自戒の念を覚える。
    「ある種のことに対する無関心は、すべて別のこと、つまり政治に対する強烈な関心に振り向けられている。」

    「世の動き、人の心が見えすぎることじゃ。(中略)しかるに、回りはそうでもない。おそらく貴公の半ばほどにしか物が見えぬ。わしならそれが世の真実とも思うことができるが、貴公にはそれができぬ。鈍な回りに腹立つ。」

  • 感想は下巻

  • 上杉景勝とその参謀直江景勝の物語。秀吉から家康への動乱期を背景に家の存続に腐心する様子が興味深い。上杉謙信は天下取りを思わず、義に厚い人だったらしい。今度読んでみたい。2017.5.3

  • 上杉景勝と直江兼続の主従を描く.
    秀吉の人物描写に「なるほど」と思われるものがあり,また,秀吉の上杉重用の理由も,腑に落ちるものである.
    上巻は秀吉が死ぬ直後まで.

  • 大河ドラマ『真田丸』の上杉主従の影響で手に取った一冊。(上下巻なので二冊か?)

  • 上杉景勝の家臣、知将・直江兼続と
    彼が擁する草(忍びの者)の暗躍を軸に
    兼続の視点で描かれる関ヶ原の戦い。

    元々上杉家が好きなのですが、大河「真田丸」に
    夢中になったので復習を兼ねて。
    「天地人」では義に生きる爽やかな直江兼次、
    ほとんど笑わない上杉景勝という感じでしたが
    この作品ではそちらの二人に近い感じです。

    文章も思っていたほど堅苦しい感じはなく、
    とても読みやすいです。
    (ただ、あのあたりの時代に興味や基礎知識が
    ないとちょっととっつきにくい感じも)
    描かれるのは信長亡き後、秀吉の傘下に入るかの煩悶
    そして関ケ原の戦い。
    武田信玄や上杉謙信などの一時代の名将とされる
    武将の家を継いでいくのはその武将が
    偉大であればあるほど大変だろうなぁ…と…

  • (2016.07.24読了)(2009.10.10購入)(1994.03.15・22刷)
    2009年の大河ドラマ「天地人」に合わせて読むつもりだったのですが、読めずに積読になっていました。2016年の大河ドラマ「真田丸」に直江兼続が時々出てきますので、この際読んでしまうことにしました。
    こちらのほうには、真田昌幸が二度ほど出てくる程度です。真田が徳川に責められたときに、上杉と真田が同盟して戦った話と小田原攻めの時に前田、上杉、真田が協力して八王子城などを攻めたという話です。
    物語は、直江兼続が25歳の時から始まっています。世の中は、秀吉が柴田勝家を破り、秀吉が上杉に上洛を促してきているあたりです。
    秀吉は、徳川に対しても上洛を促し、妹の旭姫を離婚させたうえで家康に嫁がせたりしています。
    兼続を主人公として物語を進めてゆくには、兼続が情勢判断をする上での情報を集めてくれる人たちが必要です。ということで、情報を集めてくれる忍びの者たちに物語のかなりのページを割いています。
    上杉は、蒲生氏郷の後釜として、会津に移封され体制固めをしているあたりに、秀吉の訃報が届き、天下の情勢が動きそうなところで、上巻が終わっています。
    藤沢さんの小説は、実在の人物の話よりは、架空の人物の話のほうが面白いのではないでしょうか。この本がつまらないわけではないのですが、特別に面白いというわけでもないので。

    【目次】
    寒い朝
    山上の武将
    草の山里
    巨大な渦
    山野緑なり
    景勝上洛
    大阪城
    兵火の野
    網中の魚
    歳月
    西方の雷鳴
    溢れる涙

    ●茶屋四郎次郎(238頁)
    家康は京都に入ると、茶屋四郎次郎の屋敷に宿を取った。茶屋は古くから家康に親近しており、家康にとって、その家ほど安心して泊まれる場所はなかったのである。
    ●無駄に大きい(245頁)
    秀吉の気宇はすでに信長を超えている。大阪城、聚楽第、すべて野放図に大きいものだった。実用を超えて巨大なものを着想し、実現したそのものをまわりに自慢したりする秀吉という人物に、景勝は漠然とした畏怖を感じないでいられない。
    ●一代の英雄(318頁)
    思い浮かべているのは、中国人で強豪毛利と対決し、ついで山崎の一戦で明智光秀を屠ったあと、ついに織田家随一の宿将柴田勝家を破って、信長の後継者の地位にのし上がった前後の秀吉のことだった。その柴田攻めの後、秀吉は北國の雄上杉に、恐れげもなく恫喝を加えて来たのだ。

    ☆関連図書(既読)
    「竹光始末」藤沢周平著、新潮文庫、1981.11.25
    「たそがれ清兵衛」藤沢周平著、新潮文庫、1991.09.25
    「市塵(上)」藤沢周平著、講談社文庫、1991.11.15
    「市塵(下)」藤沢周平著、講談社文庫、1991.11.15
    「真田幸村(上)」海音寺潮五郎著、角川文庫、1989.11.25
    「真田幸村(下)」海音寺潮五郎著、角川文庫、1989.11.25
    「軍師真田幸村」井口朝生著、成美文庫、1996.03.15
    「真田三代(上)」火坂雅志著、文春文庫、2014.11.10
    「真田三代(下)」火坂雅志著、文春文庫、2014.11.10
    (2016年7月25日・記)
    内容紹介(amazon)
    織田から豊臣へと急旋回し、やがて天下分け目の“関ケ原"へと向かう戦国末期は、いたるところに策略と陥穽が口をあけて待ちかまえていた。謙信以来の精強を誇る東国の雄・上杉で主君景勝を支えるのは、二十代の若さだが、知謀の将として聞える直江兼続。本書は、兼続の慧眼と彼が擁する草(忍びの者)の暗躍を軸に、戦国の世の盛衰を活写した、興趣尽きない歴史・時代小説である。

  • 直江兼続のお話は多いし、私もかっこいいとは思うけど、私は上杉景勝に興味があるので、読んだ。

    その景勝の方が、かっこいいシーンはこのお話の中で多いのではないだろうか。三成にも好感を持てる。でも、逆に主人公であるはずの兼続のキャラがなんだか薄い。。。さらっとしてる。

    藤沢さんにファンが多いのも知ってるし、もちろん嫌いじゃないけど、いつもなぜか残る物足りない感。なんだろう?

  • 上杉家の軍師である直江兼続と与板の草である忍者について書いた本です。

    時代的には、秀吉の傘下に入るかどうか、というところから、関ヶ原の戦いまでとなっています。

    もちろん、メインとなるのは関ヶ原の戦い前夜ということになります。

    ここまで主君の上杉景勝と一心同体で来たわけですが、徳川軍が撤退したときに追撃するか否かで意見が分かれてしまいます。

    ここで義を貫き通すのが景勝で、それができず、今を生きようとした兼続との対比が面白かったです。

    ↓ ブログも書いています。
    http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-b103.html

  • 直江兼続、草(忍びの集団)。

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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