密謀(上) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101247120

感想・レビュー・書評

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  • 上下巻読了。兼続を軸に、忍も絡めた関ヶ原前後。三成との密謀が実らなかった無念さと『謙信の上杉』を守る覚悟を決めた兼続の心情がせつない。ここぞの景勝が格好いいです。

  • 上、下巻併せての感想。

    藤沢作品に多い「時代小説」ではなく、史実に基づいた「歴史小説」。いつもとは違う感じだけど、これはこれで面白い。主人公も「山城」こと直江兼続というところがいかにも渋い。本当に石田三成と兼続には交流があり、関ヶ原合戦に上杉との密謀があったのか。もしあったのであれば、なぜ家康の後を追って挟み撃ちにしなかったのか。そのつもりがなければ、なぜあんな暴挙に出たのか。謙信以来の「義」を重んじる家風が故か。「もし」、関ヶ原を扱った作品をみるといつも歴史の「もし」を考えてしまう。それが歴史小説の楽しさでもあるけど。

    結果的に上杉家は会津百二十万石から米沢三十万石へ大幅に減俸されながらも謙信の家を残す選択をする。寂しい。でもなぜか爽やかな気持ちにもさせてくれる。きっとラストシーンがそう感じさせるのかもしれない。

  • 仰々しく多くを語るような真似をしなくても、素朴で淡々とした言い回しでいつの間にか嵐を呼び、時に腹の奥底を焦がし時に茫然と時を忘れさせて、終いには美しい余韻を胸中に残していく──藤沢作品には毎度してやられて既に心酔の域にまで達しているワタクシですが、今回も全く期待を裏切られること無く、見事に切なさと小春日のような幸福感とを同時に植えつけられてしまいましたよ! やっぱり大好きだぁ!
    それにしても、一つの事件に対する解釈が書き手さんによって全く異なってしまうって点にかけて、歴史小説ってのは本当に面白い。童門先生の『北の王国』読了後間もないからこそそう感じているのでしょうが。
    童門先生の直江が妙に落ち着いていたのに対して、藤沢先生の直江は場面によっては物凄く熱かったし。前者では主従間以心伝心で足並みに全く乱れの無かったシーンが、後者では思い切り衝突してひと逡巡あったかのような形で描かれてあったりして。そのくせどっちも「良いね」と思えてしまうのだから、作家さんってのは凄い。
    創造の世界に読み手を引き込んでナチュラルに納得させてしまう筆力に、只々脱帽であります。

  • 戦国武将の中で、先生に『書いて欲しいな』と思うのが兼続だったけどね…。でも余情はやはり期待通り。兼続を描く作品の中でも秀逸といえるでしょう。

  • 上杉景勝と直江兼続のお話。登場人物の関係性が良い。みんな魅力的。

  • 雪国の描写がとても好き

  • 景勝がへの字に口を曲げて笑うのがとても好きです

  • 上杉景勝と直江兼続主従と冶部少が好きな方はおすすめ。ますます好きになりました。

  • 上杉家の執政、直江兼続を主人公にした小説。豊臣に従うところから徳川に従うところまで。史実に基づいて作った架空の人物や忍者の一団を入れ、かなり優しいタッチで描かれている。政治家の兼続、というよりは越後に住むとある人物、くらいの感覚で読むといい。

  • ※読み途中

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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