君たちに明日はない (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 4484
感想 : 580
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  • Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101329710

感想・レビュー・書評

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  • リストラをメインにした小説。
    数字と感情を踏まえての判断。
    何が正しいのか。
    難しいですね。

  • 働く人、特にサラリーマンに一度読んでみて頂きたい作品。
    「働き」への自己評価と、会社からの評価には乖離がある。
    それを認識していないと惨め。
    真面目に働いているつもりでも、会社にとって不要な存在になることもある。
    自分自身を冷静に客観的に見ることが必要。
    サラリーマンは「就社」ではなくあくまで「就職」なので、陽子のようにしっかり地に足を着けて「キャリア形成」していくことが大事。
    最後の音楽レーベルの面接は、人は表面だけでは分からない。
    客観的な裏も取りながら、よく人物を見抜いたと感心しました。

  • 読んだタイミングが、会社で色々と思うことがあり鬱窟としていた時だったのがよかった。
    とても痛快で、そしてフィクションであるとはいえ、他社に勤める人たちのシビアな世界を感じることができました。
    人のクビを切るということを仕事にする、と一見とても暗いテーマなのに、物語全体はとてものびやかで明るくてテンポがいい。その明るさのなかに、希望がいっぱいつまっている気がして、なんだかとても好きな物語でした。

  • 組織で働く人の悩みをわかってるなぁと思いながら読んだ。考えさせられる言葉も多くて良い小説だった。この作者の本は初めてだったけど、他のも読んでみたくなった。

  • リストラ請負業者で働く村上真介を主人公にした人気シリーズの1作目。リストラという重い題材を扱いながらも作者の筆致が軽やかなためすがすがしい印象を受ける。本作の良さとして必要以上に熱くなりすぎていない点がある。お仕事小説といえば企業人の仕事に対する取り組み方を熱く書く方が多い中、本作は冷静に残酷に仕事の本質を描いてみせる。そのためリストラ対象者となりえる人物たちにのめり込むことなく読み進められエンタメ小説として成功しているのではないだろうか。だからといって人情が無い訳ではないのもポイントである。

  • 「100万回死んだねこ」で知った。

    企業のリストラ請負会社に勤める30代男性が主人公で、その仕事やプライベートについて書かれている。

    面白かった。リストラ請負会社というのも初めて知ったし、需要はありそう。でもリストラされる側からしたら、そんな会社を使うお金があるなら、勤め続けさせてと思うような気がする。
    退職勧告されたら、しがみつかずに退職する自分でいたい。そのためには冷静に自分に市場価値を判断して、上げる努力をしていなくてはいけないなと思う。
    内容がリアルで、自分の知らない世界を知った。仕事にも恋愛にも信念を持っていて羨ましい。

  • 3.5
    リストラ請負会社に勤める村上信介が首切り面接官として、種々の企業の社員に対していく。お荷物みたいな課長などもいるが、会社の都合で振り回され閑職に追いやられている30代の銀行員などには熱く働きかけその人にとってのベストな選択をそろえる熱さも持ち合わせた村上。資料の読み込みや想像力に長けている。結局M&Aの会社に転職を薦める。年上のバツイチ陽子とのやり取りや、業界の事務局長に誘われる話もなかなか面白い。

    上からの要求以上の成果を部下に押し付けて成果をピンはねするとともに退職者を増やした課長。
    自分の存在が会社にとってどれだけ利益をもたらしているか。営業マンなら、自分が担当した商品の売値と仕入れ値の差額粗利から、自身の給料、厚生年金掛け金、一人当たりのフロア維持費、接待費、交通費などを引いた純益として考えたことがあるか。
    旧財閥系のお堅い都銀であればあるほど敗者復活戦は厳しい。銀行業務はほとんどが規定ルールの中で確実に手早く職務をこなしていくことがメインなので、毎年入ってくる人間に代わりはいくらでもいる。
    村上のリストラ請負としてのスタンスは、面接をする際にはその相手の将来のことをできるだけイメージングして対応している。これが最低限のモラル。
    忠犬ハチ公に対して、名古屋では忠犬サーブがいるらしい。
    音楽プロデューサーの選抜の話も面白い。もし今のプロデューサーが同業他社に移ったとして、契約条件が同等なら彼についていきますか。当たりはずれが激しいがしっかり金をかけ人を育て目をかけるタイプと安定性を重視してベテランなども起用しつつスマートにやるタイプ。アンケートでは前者が必要となったが、会社のことを人一倍考えていたのは後者だったりする。バランスはなかなか難しい。
    リストラ業務請負会社というのはそもそも架空で、設定部分で大嘘をついているあたりが面白いらしい。

  • 「会社」というものに勤めたことがない。
    それでも、
    いや、
    それだから、
    「会社」に勤めている友達から
    その「会社」にまつわるいろいろな話を
    聞かせてもらうことがある。
    その時には
    なんとなく ふーん そういうことがあるのだ
    くらいの聞き方しかできなかった
    ような気がする

    この「君たちに明日はない」を
    読んでいる途中、
    「あっ あの話は こういうことだったのだ」
    「そうか あの時には こういう返しをすれば…」
    と何度も思わされました。

    それほど
    リアリティーを持って
    読ませてもらった一冊です

  • 首切りのアウトソーシング会社の話。可もなく不可もなく。たまにエロい。ってか、最後の誰だ?

  • 久しぶりに大外れ。私には合わない本。リストラさせれる側の過去の話…だから可愛そうなの?そして主人公がダメ社員でリストラ会社にただ入っただけ。陽子との下り職権乱用のダダでエロ小説。2人独身だからこんな事できるだけ。この2人を除いけば信念がみえる。研究者と最後の音楽会社の2人の信念に救われた。良いと、あえていうなら、良い所は現実は厳しいが。最後は人である!と言いたいのではないかな。

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著者プロフィール

1966年長崎県生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる3冠受賞。その後も05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』などがある。

「2020年 『信長の原理 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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