嗤う闇―女刑事音道貴子 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425436

感想・レビュー・書評

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  • まるでドラマを観ているよう。
    「凍える牙」や「鎖」では貴子が苦しむ姿を見ているので、今回の短編集での貴子の昇進と活躍は嬉しい。滝沢との絡みもあって良かった。年下の同僚が怖がり慕う貴子は、確実に成長してる。

  • 音道貴子シリーズの短編集。滝沢さんのプライベートな事に首を突っ込む羽目になったり、恋人が犯人扱いされたり、大変でしたね。

  • シリーズのスピンオフとして読みやすい

  • 随分大人しくなってしまいましたね。
    最初の貴子はナナハンを駆り立てて動き回ったものですが、今回は所轄ということで事件の規模も小さいし、短編ですからね。
    むしろ、周りの登場人物の方が面白い。良きにつけ、悪しきにつけ、なかなか中年男性を描くのが上手いと思います。
    この先、このシリーズはどうなっていくのでしょうね。

  • 女刑事音道貴子シリーズ。
    長編の音道貴子作品も読み応えがあるが、短編もなかなかに良い。全4編の短編集。
    時の経過とともに、音道刑事の勤務先も職位も変わり、コンビを組む仲間も、そのキャラクターたちも多種に拡がる。そして、かつてコンビを組んだ中年オヤジも登場。今回の舞台は、音道が子供の頃から過ごした隅田川は下町界隈。

  • 女刑事音道貴子シリーズ5作目。全4編の短編集。
    3作目の「鎖」から続いている恋人、羽場昂一との距離感が絶妙。読んでいるこっちがヤキモキしてしまう。本筋とはあまり関係ないのだが。。。と思っていたら、表題作「嗤う闇」で、なんと昂一がレイプ事件の被疑者になってしまう。意外な結末になってしまうのだが。
    こういった展開とか、心情の移り変わりが巧みに描かれていて、本当に人物を身近に感じることができて面白い。
    あと、もう一作あるので、楽しみだ。

  • P327
    凍える牙の女性刑事シリーズ

  • 短編だけど、そこそこの長さはあるし、読みごたえもある。
    長編よりもマイルドな感じで雰囲気がちょっと違う。

  • 音道貴子シリーズの、やはり短編集をもう一つ借りていたのも、前に読んだような、別の話とごっちゃになってるような気がしながら読む。『未練』で機動捜査隊にいた音道は、巡査部長に昇進して、隅田川東署に転勤。下町の事件に関わることになる。似たような仕事でも、シフトが違い、生活のリズムが変わっていく様子が音道の暮らしから見える。

    表題作「嗤う闇」は、レイプ未遂事件の被害者が、通報した男が犯人だと言う。親切にも通報したその人は、音道の恋人・羽場昂一。調べていくうちに、ほんとうの加害者は、被害者のはるか上の上司だとわかる。だが、被害者は上司の顔をよく知っていても、加害者は会社の下っ端の社員のことなど顔も知らないのだった。

    ▼貴子は何かの本で読んだことを思い出していた。レイプ犯は、被害者にとってまったく未知の人間である場合ばかりでなく、夫や恋人、また顔見知りである確率も、決して低くないという。だが、親しい間柄であればあるほど、被害者は訴え出ることが出来ない。相手の立場を思い、自分の立場を考えて、結局は泣き寝入りする場合が非常に多いというのだ。(p.318)

    被害者がどうして虚偽を言ったのかを探っていくところには、音道自身が過去に怖ろしい思いをした経験も見える。「どんな理由があったって、レイプされていい理由なんて、女の側にはありゃしないのよ。」「レイプは百パーセント、男が悪い。誰が何て言ったって。」(p.263)と、音道は一緒に捜査する若い同僚男性に厳しく言いわたすのだ。

    昂一が、どうしても信じてもらえないときには言おうと思っていたという「犯人が左利き」の発見から、捜査は少し進展する。加害者が、仕事の虚しさを埋めようがなくなって、怒りに燃え、それが「女が恐怖に怯える顔」が見たくなった、男の言うことを聞くようにさせたかった、となったときに犯罪は起こった。力の誇示、暴力というものが、レイプ犯罪にあることをよく表していると思う。

    ベテランの滝沢が、娘夫婦に悩む父親として登場する「木綿の部屋」は、なにが本当なんかなーと何度も思った。

    そして、この短編集も、やはり7年前に単行本で読んでいた。

    (7/12了)

  • 仕事頑張ってる姿に励まされます。どの世界にも乗り越えるべき壁はあるから。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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