嗤う闇―女刑事音道貴子 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425436

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ三作目、短編集。どれも身近に起こりうるような、生々しい話。滝沢の娘の件、かなりプライベートに巻き込んでるな。脂ぎった汚いおっさんというイメージだったが、この話では更に老け込んでしまった滝沢。今回は貴子さんと行動する男性刑事の質が良かったので気持ちが楽。金井とか沢木がアレだけど、今までに比べたらマシ。沢木に至っては貴子ファンに(笑)。 表題作、被害女性が結婚予定だったけどダメになる、って泣いてるのが辛い。刊行見たら平成なんだけど、これ昭和の話なのかな。それとも今でもそういう風潮なのか。

  • 中学生のときに『凍える牙』を図書室で借りて読み、主人公である音道貴子(女刑事)の格好良さに衝撃を受けてファンになったシリーズ。大人になってから続きが出ていたことを知り手に取った。

    子どもの頃はストーリーと音道刑事の活躍にばかり目が行っていた。今読むと、作者乃南アサさんは登場人物の複雑な心理描写がとても巧いことに気付く。それも主人公(音道刑事)や準主人公(滝沢刑事)のみならず、彼らとは違う立場や価値観をもって生きているであろう上司や先輩、同僚、後輩、それから恋人や家族、そして被害者、犯人それぞれの描き方が一つ一つ丁寧なのである。たとえばこういう描写。

    ——どうやら三人の母娘は、この、入り組んだ地域の突き当たりにある小さな家で、実に微妙なバランスで共同生活を営んでいる様子だった。——

    側から見ても関係良しとは言えない、しかし小さな一軒家のなかになぜか上手いこと収まっている母、長女、次女の三人暮らし。微妙なのに絶妙?な母娘関係、姉妹関係が読者にもありありと伝わってくるのに驚き、感心してしまった。

    こういう視点をもって、もう一度、『凍える牙』を読み返したい気持ちになった。

  • 再読すべきか。間が空いてしまった

  • 音道シリーズ。レイプ被害者の女性の告白など心の闇に触れる短編集。面白い。

  • 短篇だけど(だからこそ??)、面白さが詰まっていて飽きずに一気に読みました。

    人間という生き物の哀しさ、下町の移り変わりなど、ただの刑事小説やミステリー小説という枠だけではおさまらない想いが詰まっていると感じました。

  • この作者の短編をはじめて読んだ。忙しい時でもさっと読めるので、とてもよかった。それにしても都会は恐ろしい。

  •  東京の西部、立川分駐所で勤務してた音道貴子巡査は、巡査部長に昇進し、東京東部、墨田川東署に異動、所轄署勤務に。ストーカーやレイプの事件を取り扱う。全くダメな東大でのキャリア(警部補)がお客様気分で勤務。こんなキャリアが県警本部長などになったら、部下は大変です! 乃南アサ「嗤う闇」、2006.11発行。連作短編4話が収録されています。

  • 音道刑事と滝口刑事コンビ。人間臭さが随所に出てていい。

  • 久し振りにこのシリーズを読もうと思って、本棚に載っていないものからチョイスし初読と思って読んでいたが、165頁の『ファンになりました』というセリフに覚えがあることにビックリ。
    慌てて「花散る頃の殺人」の感想を見ると『昨年末に出た「嗤う闇」を読んで』と書いてあって、貴子さんを好きになったのはこの本からだったことを知らされた。
    それにしても話の内容は全く覚えていないのに、このセリフだけが記憶に引っ掛かっていたのは、こうしてここに記録していたからだろうな。
    改めて読み返したお話だが、なんだかちょっと物足らなかった。

  • 音道貴子シリーズ第3弾.出張のお供に.恥ずかしながら「嗤う」と言う字はこれで初めて知った.
    「ばかにした気持ちを顔に表す。あざける。嘲笑する。:大辞林 第三版」

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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