- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103003144
感想・レビュー・書評
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この長屋、ただものじゃない! “真面目で気のいい人ばかり”と噂の「善人長 屋」。しかし陰に回れば、大家も店子も裏稼業の凄腕揃い。そんな悪党の巣に、根っ からの善人、加助が迷い込んだ。人助けが生き甲斐で、他人の面倒を買って出る底な しのお人好し……。加助が持ち込む厄介ごとで長屋はいつも大騒動、しぶしぶ店子た ちは闇の稼業で鳴らした腕を揮う!
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表題作のほか「泥棒簪」 「抜けずの刀」 「嘘つき紅」 「源平蛍」 「犀の子守歌」 「冬の蝉」 「夜叉坊主の代之吉」 「野州屋の蔵」
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九つの「千七(せんしち)長屋」の面々が関わる連作物語である。
千七長屋は、善人長屋というふたつ名を持つほど、善人と評判の高い面々が住まっている。が、実際のところは表の善人ぶりからは想いもつかない裏稼業にも精を出しているのだった。そんなところへ、ちょっとした手違いから紛う方なき善人の加助が店子に加わり、彼が持ち込む善人ゆえの厄介ごとに長屋の連中が巻き込まれるのである。
裏稼業で悪事を働いているとはいっても、長屋の面々はみな味わい深い人柄で、差配の千鳥屋儀右衛門を芯にした結束の固さは見ていて気持ちがいい。江戸の風物と共に、人情と小気味よい謎解きが愉しめる一冊である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「善人長屋」という設定が面白い。お縫ちゃんの成長をみとめた母のお俊の言葉で、作者の心持もわかって、なるほどと思いました。話も楽しめます。長屋の住人達も多彩で、一癖あってもなんだか好ましいし、西条さん、上手です。人を見る眼が優しいのかな。
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江戸・深川山本町の質屋「千鳥屋」の裏手にある長屋(通称「千七長屋」)を舞台に、さまざまな裏稼業を営む住人達が巻き込まれる事件を読み切りシリーズで描く。まるで落語の世話物を小説にしたかのようで、ユーモアあふれる筆致は西條さんの新境地。 読み切り形式に徹したせいか、各編の物語が結末を急ぎ過ぎで、西條さんにしては語り足りないきらい。なかなか多彩で個性的な長屋の住人たちが、各編に登場して物語を盛り上げていくところは、まさに落語的演出だけれどなあ。
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上手い!西條さん、最高!(#^.^#)「小説新潮」に連載中も楽しみに読んでいたのですが、単行本で一気に読むと、物語の流れが巧みに構成されているのがよくわかり、また、書き下ろしで重大な種明かしがされていたりして、一冊、たっぷり楽しむことができました。江戸で評判の「善人長屋」。善人ばかりが住むというそのわけは、実は、みんな、スリ・騙り・情報や・故買屋・美人局など、裏稼業を持つ面々ばかりで、それゆえに、普段の生活はまっとうに、ということ。それに、裏稼業とはいえ、徒党を組むことを嫌い、それぞれ、一本芯の通った仕事をする彼らのことは好きにならずにいられない。(#^.^#)そんな長屋に、手違いから、根っからの善人・錠前職人の加助が住み込むことになったことから起こるすったもんだが話の展開の中心なのだが、これがまた、滅法面白くてね。長屋の住人が一気に紹介されず、徐々に姿を現すこと、また、それぞれの人間関係もいい具合に明かされていく、というお楽しみもあって、うん、とても楽しい一冊でした。(でも、書き下ろしにはちょっと不満が・・。あれは可哀想過ぎる気がするんだけど。)
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面白かったし 最後はちょっと泣かせて
良かったんだけど
やっぱり金春屋シリーズ希望(*^^*) -
江戸は深川にある千七長屋は、善人長屋の二つ名で名高い。
差配から住人まで善人ばかりというのがその理由だが、実はこの長屋、全員が裏稼業を持つ悪党揃いの長屋なのだった。
空き家に錠前屋の加助がやってきてから、長屋の連中は本当に善行のために東奔西走する羽目になる。簪を盗まれた女中、問屋に騙された商人、長屋には次から次へとトラブルを抱えた市井の人間が加助に連れられてやってきて、長屋の人間はなし崩しに問題解決に走り回ることになるのだ。
優しい人情話を少しコミカルにやわらかく描く作風は西條奈加らしい。