噂の女

著者 :
  • 新潮社
3.41
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本棚登録 : 1460
感想 : 257
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103003526

作品紹介・あらすじ

中古車店に毎晩クレームをつけに通う3人組、麻雀に明け暮れるしがないサラリーマン、パチンコで時間をつぶす失業保険受給中の女、寺への寄進に文句たらたらの檀家たち-。鬱屈した日々を送る彼らの前に現れた謎の女・美幸。愛と悲哀と欲望渦巻く連作長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 「糸井美幸」に翻弄される人々の連作短編集。美幸の悪女への立身出世物語。美幸の悪女さと言うよりも男性の愚かさを描いたブラックユーモアな作品。面白かった。

  • 噂の女こと糸井美幸が、次々と男達を手玉にとり、大金を手に入れていく。普通なら、同性からは嫌われそうな感じなのに、どうしてだか彼女の成功をついつい応援してしまい、うまく事が進むと爽快感すら感じてしまいました。さすが奥田英朗さんだな〜。

  • 女性を性的な部分でしかみれない男の小説。と思いつつ
    読み進めた。
    いやいや。とんでもなかった。
    さすがです。完敗しました。会いたくはないけれど、噂の女には、一切関わりたくないけれど遠巻きにはみてみたいと思った。とてもよき。

  • 中古車販売店の事務員として初登場する”噂の女”、糸井美幸。訪れた会社員雄一22才は、カウンターに座っているのが中学の同級生だった美幸だと気づくが、地味な中学時代とはうって変わって、色香があふれていた。その後、麻雀荘、料理教室、と計10か所に現れる、元同級生としての美幸。元同級生たちの噂によれば短大時代に変わったようなのだが、噂では年上の男性の女になって、その男性たちはまもなく死んでいるというもの。実際にあった事件に触発され書いたと思われるが、ここは何か淫靡な奥田ワールドになっている。美幸がたまらなくイヤな女に描かれているので、実際の事件には奥田氏は許せないものを感じたのかな。



    初出
    「yom yom」(新潮社の小説誌)13,16,18-23号(2009.12-2011.12)
    「小説新潮」2012.5,7月号

    2012.11.30発行 図書館

  •  悪女の様なドロドロ感がなく、描き過ぎないところがよい。糸井美幸を中心に、美幸にまつわる社会(会社、政治、カルチャースクール、檀家、警察等の職場の話が含まれる)が短編小説のような構成でまとめられている。本当のところ、美幸という女性が分からなくなった。曖昧なラストシーン、人の噂が独り歩きする様を感じ少し恐ろしくなった。

  • 「男性に好かれる肉感的な女:美幸」の連作短編集。短編のそれぞれの主人公は単調な日常を送っている。ひょんなことから美幸に出会い美幸に魅了されるというストーリーの短編集だが、どんどん美幸は強かになり、田舎で幅を利かせていくのが面白い。

    美幸は結局捕まるのか、逃げ切るのか、お寺の客殿はどうなったのか、ホステスに転身しようとした保育士さんはどうなったのか、最後まで知りたい話ばかりでモヤモヤは残った。(作者の思惑...?)

    奥田英朗さんのキャラクター描写の素晴らしさが随所で見られ、とくにディーラーにイチャモンをつける先輩、麻雀で組合を作るという先輩、保育士さんの母親などは読んでるこちらもちゃんとハラハラ、イライラさせられた。

  • ・身近にはいなさそうだけど、どこかにはきっといそうで、いやさすがにいないか、と絶妙に思わせる。おもしろかった。
    ・主人公以外のキャラクターも個性的でおもしろい。こちらはより身近にいそう。

  • やっぱり奥田英朗の作品は面白いなー

  • ある地方都市、中古車店に毎晩クレームをつけに通う3人組、麻雀に明け暮れるしがないサラリーマン、パチンコで時間をつぶす失業保険受給中の女など、彼らが出会う肉感的な女・美幸とは。
    連作短編集であり、「噂の女」でつながっていく構成。
    各々の話は中途半端な終わり方だが、徐々に彼女の実態が明らかになってくる。
    後半にいくにつれ、ブラックな話なんだと驚いた。
    ちなみに、岐阜が舞台で、方言が名古屋弁に近くて楽しめた。
    (図書館)

  • 2015/7/29短編も面白いですねぇ。ララピポみたいな品のなさもあるが、短編から短編のつなぎ方、捕まらない最後も良い。続編が読みたいような。★4

  • 地縁や血縁のしがらみの多い地方都市。
    昔は地味だった女・糸井美幸が別人のような生き方をしていく。

    話は彼女にかかわった周囲の人々の噂で進んでいきます。
    精神薬の横流し、
    保険金殺人をにおわせる出来事等、
    実際に起きていたらテレビや週刊誌がこぞって報じそうなものばかり。

    そんな出来事を重くならず、滑稽に描かれ
    だまされる周囲の人間方がアホに感じられるような
    面白い読後感でした。

  • リアリティがある話だなと思った。
    どこかの片田舎にこういう女性、本当にいそう。
    少しずつ年代や見る人の立場が変わりながら書かれているのが面白く、連作短編という形なので読みやすかった。

  • タイトルが内容をよく表している。
    前半は結構面白かったが、後半は短編毎のオチもイマイチで、最後はキャラ設定からズレた印象で、ちょっと残念。

  • 噂の女・糸井美幸の物語。

    ・中古車販売店の女
    ・麻雀荘の女
    ・料理教室の女
    ・マンションの女
    ・パチンコの女
    ・柳ケ瀬の女
    ・和服の女
    ・檀家の女
    ・内偵の女
    ・スカイツリーの女

    地縁、血縁のしがらみの多い地方都市で、妖艶に逞しく生きる女・糸井美幸。

    金持ちや地元の有力者と愛人契約を結び、詐欺や殺人までも厭わない手口でのし上がっていく。

    噂になるものの証拠がない。

    美幸に次々と食われていくバカな人間たちが痛快にさえも感じてしまう作品。


    こんな事件ありましたね。と感じる作品。

    明らかに怪しいが、証拠はなく、明らかに確信犯な美幸の人生は、地方都市特有のしがらみの中で、濃密さを増していく感じがエロスに近いです。

  • さらっと読めてよかった。25歳は若すぎな気もしたけど…。30くらいでも良かったのでは?
    あの人…名前出てこないけど、逮捕された人を思い出した。美人ではないけど、男にすかれそうなってとことか。

  • 表紙がコミカルだったので奥田さんらしいユニークな小説かと思ってたら全然違った。魅力的な悪女にはお金の匂いがして彼女と深い関係になった男の不可解な死があるというストーリー。悪女系ストーリーはよくあって新鮮さがなかったけど、主役じゃない脇役第三者のストーリーが面白い。それがまたラストで「この後どうなったの?教えて~」と思うものばかり。ホステスにスカウトされた保育士はどうなったの?古い体質を壊そうする建設会社の次期社長に色仕掛けで罠に嵌める計画はどうなったの?など。スッキリしない読後感ではあったけど面白かった。

  • 高校生までは地味で目立たなかったが、短大に進んでから急に派手になったと噂される糸井美幸の黒に近い限りなくグレーな話。

    怖いですね~。
    これは完全に黒でしょう。
    糸井美幸がどう考えているかがほぼ分からないので、益々怖さを感じます。

    世の男達を翻弄する糸井美幸、翻弄され命を落とすことになった男達は自業自得と思ってしまうのは、間違いかな?

  • 噂の女、糸井美幸をめぐる連作長編。美幸がどんどんドス黒くなっていって惹きつけられた。美幸の大胆さ、奔放さに応援する女子も。わかる。

  • いそうな女性ですね

  • まあまあ

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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