- Amazon.co.jp ・本 (503ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104596034
作品紹介・あらすじ
仙台で金田首相の凱旋パレードが行われている、ちょうどその時、青柳雅春は、旧友の森田森吾に、何年かぶりで呼び出されていた。昔話をしたいわけでもないようで、森田の様子はどこかおかしい。訝る青柳に、森田は「おまえは、陥れられている。今も、その最中だ」「金田はパレード中に暗殺される」「逃げろ!オズワルドにされるぞ」と、鬼気迫る調子で訴えた。と、遠くで爆音がし、折しも現れた警官は、青柳に向かって拳銃を構えた-。精緻極まる伏線、忘れがたい会話、構築度の高い物語世界-、伊坂幸太郎のエッセンスを濃密にちりばめた、現時点での集大成。
感想・レビュー・書評
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そんなに伊坂幸太郎先生の作品は読んではいないが、この作品もこの筆者の展開らしさを感じられた。
第35代アメリカ大統領 ジョン・F・ケネディが暗殺された。事件直後に逮捕されたリー・ハーヴェイ・オズワルドがその2日後に「暗殺犯」として、射殺される。犯行を否認したまま殺されたオズワルドは、”I’m just a patsy !(俺は はめられたんだ!)”という言葉を残している。
コロナ禍で見た番組で、この話をしていた。
本作を読み終えて、オズワルドは本当ははめられたのだろうか?もし、はめられたことが事実であっても、真犯人が出てくることはない。であれば、本作も同様にはめられたとしても、犯人は出てこないし、主人公が無実を証明することは難しいのだろうと、予想していた。
読者としては、真実と主人公・青柳雅春の気持ちがわかるだけに、マスコミや世間、そして政府機関への苛立ち、怒りを感じる。
現実社会の中では、マスコミの情報だけで判断をしなければならない。作られた情報であると分かっていても、矛盾していると感じる情報であっても、そのソースに頼るしかないため、混乱をしてしまう。
何が真実であるかを見極めるのは、実際には、難しい。だが、一方的な情報を受け入れるにあたり、何を自分が信じ、どのような行動をとるのかということを、判断しなければいけないと強く感じる作品であった。(おそらく著者は、そんなことを伝えたいのではないだろうが…)
主人公に感情移入してしまい、読むのが途中で苦しくなった。
また、自分の周りで起こっていることが、自分を陥れるためだとは普通は思わない。だから、もし、自分が事件に巻き込まれても、何も出来ずに受け入れるだけのような気がする。だからこそ、青柳が反撃するような展開であって欲しかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
お洒落ですね、伊坂さんの小説って。
国民の期待を集め、若くして首相になった金田貞義が
地元の仙台市でパレードを行っている最中に暗殺されます。
ラジコンヘリから爆弾が落とされたのです。
そして事件は、三日目(厳密には二日間)で解決するのですが…。
まず、全体の構成がお洒落です。
第一部・第二部:
部外者からの目線で、事件が語られます。
テレビのワイドショーを見ている感覚になります。
偏った情報の垂れ流し状態です。
そして、ここで登場する人物たちは、後に伏線として蘇ります。
第三部:
二十年後、事件について考察する形で語られます。
事件にかかわった人々が、ことごとくこの世から消える偶然。
第一部や第二部とは打って変わって、冷静に語られ、
何かがおかしいことが示唆されます。
早々に犯人と特定された青柳雅春という人物は無実だった?
巨大な黒幕が糸を引いていたのではないか? 等々。
第四部:
犯人とされた青柳雅春と その周辺の人物の目線で
事件後の三日間に、実際に何が起こったかが語られます。
本作品 全500ペーのち、410ページ余りがこの第四部。
大いに盛り上がった読者の好奇心が満たされます。
第五部:
事件から三か月後、事件の当事者たちの様子が描かれます。
犯人とされた青柳雅春はどうなったのか。
そして、彼を支えた人々についても。
エンディングは、ちょっとキザなくらいのお洒落加減でした。
この物語は、スピード感があってわくわくドキドキ。
軽妙なトークに思わずクスッと笑わされ、
粋な元同僚に拍手を送り、とても楽しく読みました。
でも、でも…です。
実はとても恐ろしい話なのです。
仲間と楽しく過ごした昔を懐かしく思い出す “Golden Slumbers” 。
タイトルになっているビートルズの曲が、切なく心に残りました。-
まことさん
コメントありがとうございます。
まことさんは、本当に伊坂幸太郎さんが大好きなのですね。
自分が褒められているようで…っ...まことさん
コメントありがとうございます。
まことさんは、本当に伊坂幸太郎さんが大好きなのですね。
自分が褒められているようで…って、なんか可愛い☆彡
この物語は、内容を語り出したら
色々深堀りしたくなって、レビューが長くなりそうだったので
全体の雰囲気だけをまとめることにしました。
まことさんに、素敵 と言ってもらえて嬉しいです。
2022/01/18 -
yyさん
えーん、また良いレビューだぁぁ←何故に泣く
そうなんですよね、伊坂さん小説ってお洒落なんですよね。
ゲラゲラ笑うほどではなく、ち...yyさん
えーん、また良いレビューだぁぁ←何故に泣く
そうなんですよね、伊坂さん小説ってお洒落なんですよね。
ゲラゲラ笑うほどではなく、ちょっとニヤリとしてしまう軽いジョークとか、
巧妙な台詞の掛け合いとか、
伏線と回収でワクワクさせるエンターテイメント性であるとか。
そしてその実、恐ろしかったり。
思わず読み直したくなってしまいました♪2023/08/26 -
傍らに珈琲を。さん
(笑)(笑)(笑)
また、泣かせちゃいました?
楽しいコメントをありがとうございます。
伊坂氏の遊び心とセン...傍らに珈琲を。さん
(笑)(笑)(笑)
また、泣かせちゃいました?
楽しいコメントをありがとうございます。
伊坂氏の遊び心とセンスの良さにはハートを掴まれますね。2023/08/26
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500ページもあって長編だったけどすごくよかったです。青柳さん、ガンバレ!と応援したくなりました。
時代や背景がコロコロ変わるのに意外にわかりやすかったです。
映画の方も是非、観てみたいと思いました!!
人間の最大の武器は習慣と信頼...が、印象に残っています。学生時代の仲間に会いたくなりました。-
2020/09/10
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2020/09/10
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最初の方は自分も警察に追われているような気持ちになって、ハラハラした。わけも分からず追いかけ回される恐怖がひしひしと伝わってきてしんどかった。
読み終わった後に、事件から20年後を読んでうわーとなりました。権力って恐ろしい、、。
結局事件の真相も謎に包まれたままで終わったのは、実際のケネディ暗殺事件と同じようにしてるのかな。
ちょっと、終わりに納得が行かない部分もあったけど、それでも面白かった。
後半のテンポよく逃げて行くところは面白かったし、頑張れ!!って応援しながら読んでました。前半はちょっとしんどかったけど、怒涛の伏線回収があったので全て許せる(笑)
ただ、どうして青柳が犯人として選ばれたのか、そこだけは知りたかった。んー、ちょっと惜しい。
まぁ、そこを差し引いても星5かな。読むのは疲れた。 -
スピーディーなストーリー展開で一気に読めました。
首相暗殺の犯人に仕立て上げられた逃亡犯を追った作品なのですが、飽きる事なく最後まで読み進められました。
至る所に散りばめられた伏線回収の爽快感も相まって、ワクワクドキドキが止まりませんでした。
初の伊坂幸太郎作品、評判通り面白い作品でした。 -
誰もがオズワルドになりえるのか…
急に近寄ってくる女の子にはきをつけようワラ
最後の2ページで涙が溢れました
(電車の中で)
本当にたくさんの伏線があってよくできたストーリーです。 -
バッテリーの所が最高
メモのやり取りも最高
青ヤギさんも最高
有休宣言のタイミング最高
「たいへんよくできました」と言う作品でした。
映画もあるんだ! -
読み終えてから「第二部、事件から20年後」をもう一度読み、「ほぉーー」という感じでした。
全体が長いので、途中の事を忘れてたりしてて(笑)。
知り合ったこの人を信じて良いのか、罠なのか。
でも、信頼できるのは、親、学生時代の友達、元恋人、古い知りあい、会社の先輩、そして繋がる人たち。
主人公の逃亡者青柳とそれぞれの人間との何気ない過去エピソードが浮かび上がって面白味が増してきます。
煩わしかった父親との部分は、胸が熱くなりました。
日本の何処かに潜むわからない権力に操られている我々の日常。ふむ…そうなのかもしれない。