湖の女たち

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104628070

感想・レビュー・書評

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  • こ、怖い。
    目に見えない権力や、悪意や性癖、全てどろどろしてるのに、冷たい静まった湖の風景の前に何も言葉が出ない感じ。
    最後、悪がきちんと裁かれてほしいと願いつつ消化不良で読み終え…。
    主人公は佳代か、圭介か、池田か、、
    警察の取り調べって現代でもガチでこんな冤罪ぶっかけるようなことあるのかな。
    いや、怖い本。

  • 琵琶湖沿いの介護施設での100歳の老人の不審死を巡るストーリを軸に、支配する側とされる側(SとM)の精神状態と優生思想に基づく人間の残酷さを絡めながら、それを湖面の美しさと妖しさに反映しつつ抉るように描写した作品。でもやはり作品の良さが私には理解できず、ちっとも面白くなかった。

  • 高齢者の介護施設で起きた殺人事件をきっかけに、刑事と介護士が特異な関係に陥っていく。

    事件の背景には、高齢者や障がい者、性的マイノリティに対して、生産性がないことを理由に差別し排除しようとする現実社会の問題が描かれている。
    その一方で、主人公となる刑事と介護士は破滅願望にとらわれて、暗く湿った欲望のままに沈んでいく。夢かうつつか曖昧な二人の異様な関係は、若い頃に読んだら嫌悪感しかなかっただろうけれど、閉塞感のなかで現実から逃避する投げやりな姿がやけにリアルで、この作品では不可欠なものだとじわじわと滲みてきた。

    政治的な圧力や冤罪事件、戦時中713部隊が満州で行っていた生体実験など、さまざまな暗部にも話は及ぶ。そのため、全体的にやや散漫になってもいるのだが、記者の追う現実の問題と、二人の非現実的な行為とがバランスよく絡み合って重層的な世界を作り出していた。

  • どこに着地するのかわからない居心地の悪さだけれど、どんどん深みにはまってしまう著者ならでは展開。

    この国の膿がすべて物語に反映されているようで、鋭くもあり怖い。
    エンディングをここにするところがいちばんの見どころ。
    私的には、久々の小説らしさを感じた秀作。

  • どうしても幸せになれない
    というか
    あえて不幸を求めてしまう男と女の関係が
    ひりひりと痛く、せつなく
    やるせなかった…
    けれど、問題と
    「薬害事件」「七三一部隊」「障害者殺傷事件」等
    たくさんのヒントをばらまいて
    回収も答え合わせもせずに終わってしまった。
    なぜ?どうして?何が?
    最後まで「?」が残った。

  • 不完全燃焼。豊田佳代意味不明。

  • 旧満州の事件と今回の殺人事件を結びつけるのは無理がありすぎる。
    白衣を着た子供が老健施設をウロウロしていたら、否が応でも目につくのにそこはスルーしている。
    映画になったようだけど、観てみたい気はします。

  • 3.5 他者の存在の否定が、自分の存在の肯定になると言うことがテーマ。細菌部隊、障害者、高齢者殺害などを背景にミステリー仕立てだが、犯人探しは物語のオチにはなっていない。他者に依存しない自己の肯定感が人を傷つけない社会をつくる。他者否定の歴史への怒りの物語。

  • なんとなく不穏な空気に包まれた導入部から、最後まで淡々と進む。琵琶湖が気味悪くなりそう。

  • 初の作家さん。文庫本が発売されていたので、図書館で借りてみました。

    うーん、面白くなりそうなネタなのに、横道が多過ぎてとてもつまらなかったですね。冒頭などは読みやすそうな印象だったのですが、登場人物や時代が入り混じる所などが読みづらさを増して、つまらなかったです。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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