日本辺境論 (新潮新書 336)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103360

感想・レビュー・書評

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  • 日本人の性、日本人らしさの嫌なとこ(私には)が溝さらいされてて、感心させられた。
    生き残る為なら、なんだってやる。
    国民性でもあるわけか・・
    意識改革すれば、どうにかなると思ってたけど、根深い風土というか、土着性に起因するのかもと、呪いをかけそうになったわ(^.^)

  • なんか伊丹十三に似てるなぁ~ 
    有名どころの日本人論を網羅してる
    有名な日本人論をあらためて読みたくなる本

  • ウチダ先生、相変わらず飛ばしてますね。

    空気抵抗がほとんどない流線型の超高速の
    乗り物に乗っているようなスピード感で
    どんどん言葉が出てきて、いちいちストン
    と落ちていく感覚。

    今回は「辺境」というキーワードで、日本人
    に関わる様々な行動や事象のつじつまが
    ことごとく合ってしまう(合わせてしまう?)。

    いちばんストンと落ちたのは、オバマ演説は
    日本人にはできない、というくだり。
    日米の国民性格の違いは、愛国心という言葉
    だけでは絶対説明しきれないもので、どうも
    的確に説明できないよなぁなどとずっと思って
    いたんだけれど、ウチダ先生がこの本の中で
    ものの見事に説明してくれました。

  • 中井久夫が「関与と観察」所収の書評で日本文化の辺境性について語っていた。そこにポンと出会ったのがこの本。ふだんより内田氏のブログで学びの構造や、武道の「機」について読んでいるので新鮮味こそないが、「面白いなー」とサクサク読んでしまった。

    足利義満が中国に対して「日本王」を名乗ったのに対して、「まじめに臣下の礼を取る気がない」というくだりは吹き出した。

  • 【ノート】
    ・「自分達が中心じゃないから」という意識故の戦略、発展史
    ・自分が中心じゃないから、こちから働きかけるのではなく、敵を作らない、という武士「道」の発想が出てき得る
    ・「師匠」に学ぶ、効率がいい。自分がダメでも「師匠なら」と言って回避できる
    ・その代わり「ここがロドスだ、ここで飛べ」という切迫した緊張した状況を回避することにもなってしまった
    ・自分は全然だけど、この「道」は奥深く、師匠ならもっとできる、というような「逃げ」が可能になるからね
    ・先駆性と学び
    ・日本語の特殊性、真名と仮名
    ・外国でのディクレシアは脳の該当箇所が損傷すれば文字からの意味認識ができなくなるが、日本語の場合、損傷した場所によって、真名はダメだが仮名はOK、あるいはその逆があるんだって!あと、ユダヤ人もそうらしい。
    ・マンガが発達したのはこの日本語の特性あればこそ

  • 難しかったです。読むのに体力を使いました。理解しながら読み進め、音読する以上に時間がかかったかもしれません。でも一文一文に重みと驚きと納得感、こんな優れた洞察力を持ちたいなと憧れさえ感じました。
     
    内容は、中国人やアメリカ人と違って、日本人は「辺境人」だから、それを踏まえた生き方をした方が幸せだと言うことが書かれています。そして辺境人たる証拠をたくさん挙げてくれます。どれも否定できず腑に落ちるものばかり、目から鱗が落ちてばかりです。
     
    一方で、結局は辺境人の性が無意識に振舞ってしまうのだから、こんな本を読んで敢えて実感しなくても良いのでは?とも思いました。でも、漠然と考えていた歴史の流れや出来事に、腑に落ちる裏づけを得られることは、とても楽しいことかもしれません。

  • 内田さんの本は初めて読みましたが、平易な文章で読みやすいですね。
    本人も書いている通り、大雑把な論考だとは思いましたが、その分本質を付いている日本人論だったと思います。
    日本人とは何者か?という課題について、著者の考え方が全て正しいとは思いませんが、日本人全員が一度は読んで自分で考えるべき問題なんだろうと思いますね。

  • 構造主義的知見に基づき、地政学を念頭に置いた日本人論を展開する本。

    後の著作に見られる、「師匠と弟子」論の原型が見られたことが興味深い。日本が辺境であるが故に、日本人は師匠なるものにオープンマインドになることができ、学びの効率を極限まで高めてこられた、という主張は後の著作でも一貫している。

  • 非常に読み応えのある作品であった。なんども読み返すことだろう。
    丸山真男やベネディクト、そして山本七平など日本思想を語るうえでかかせない人物から、筆者お得意のハイデガー、ラカンなど哲の色濃い目なものまで、多くを学ぶことができた。また、宗教の章に関しては圧巻である。
    序章で書かれているように、こういった日本人論はどの時代も繰り返され、似たように語り継がれてきたが、だからこそこれからも語り続ける必要があろう。ぜひ一読してもらいたい。

  • 日本人の辺境性を認め、その中で生きていくことを考えるべき。これが何に役に立つか分からないから勉強するのであり、先に学ぶことが分かっていて、それが役に立つかどうかは学ぶ人間には分からないはずだ。英語で書かないと世界的には通じない。日本語で表現できるもの、日本人が肌で分かることを外国語に完全に翻訳するのは不可能だ。人称代名詞の違いで書く内容が変わるのは日本くらい(私、僕、俺では内容が変わる)。表音文字と表意文字を同時に使う言語は特殊。それ故に漫画が発達した。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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