老後の資金がありません

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 200
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047657

感想・レビュー・書評

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  • 新書のようなタイトルですが、こちらは小説。夫の定年とその後の再雇用まであと数年、頼りない長女も結婚と、次男の大学卒業と就職も決定。子供たちがようやく自立を迎え。自由な時間を待ち焦がれる50代後半の主人公夫婦。その老後の蓄えを急襲する悲喜劇が展開する。文章は読みやすく、ありそうな内容にどんどん引き込まれていきます。老後に向けてお金と向き合う参考になるし、夫婦、親子、親戚、友人関係などの人間模様、介護や葬式、年金の話題も興味深い。会社や組織はもう社員を守ってはくれる時代でもないし、人生100年、手に職をつけて独立したいと言っても、自営業になったからと言って決して楽なわけじゃない。どうしたものか考えねばならない、と言ったことをお説教じゃなくて物語の中で気づかせてくれる一冊でした。

  • 老後のためにためておいた資金が、舅の葬式や娘の豪華結婚式のせいで底をつく。

    さらに夫婦揃ってリストラされ、失業保険だけが頼りになる。

    しかも姑は豪華ケア施設に入所しており、月9万円の仕送り、どんどん生活が厳しくなってきて、ついには年金詐欺にも加担する。(報酬は最終的に餞別という形でサツキに戻る)

    娘もDVを受けてるのではと心配もあったが、、、



    結局、皆それぞれ力強く生きているという話。

  • 軽く読めて、ハッピーエンド。私が好きなパターンの小説。
    老後のお金問題は必ず来るはずの事態だけど、今一歩、身近でない感じがしていたが、これを読んで、なるほど、誰にでも起こりうる問題だと認識した。「けど、心配しなくても大丈夫」的な終わり方が良かった。

  • いや、ほんとにない人間からしたらお伽噺やないかぃ!
    とツッコミたくなる。
    でも嫌いじゃないわ、こういうの。

    まぁ将来的にいつか苦しくなるかもしれんけど
    それまでは楽しく生きてきたいなぁ。
    そんな私にはこれくらいのが合ってるのかな。

  • 主人公の篤子は50代の主婦。子どもたちの学費を払い終えた時点で1200万あった預金が、娘のド派手な結婚式で500万、舅の葬儀と墓で400万を使い、さらに贅沢な施設で暮らしている姑に毎月9万円の仕送りで、みるみるうちに減っていく。とどめは夫婦揃ってリストラされてしまった。何だか暗く落ち込みそうな話なのに、不思議とサラッと読めて前向きになれる。自分の生活も見直しながら来たるべき老後にそなえよう。
    それにしても、"小さな贅沢を楽しむ加減がよくわからず、高すぎるコートを思いきって買った後に二の腕がきついことに気がついてひどく後悔したり、その一方で好物の鰻を食べるのを何年も我慢したりしている"これってわかるわかる!

  • 様々な人生模様が描かれ、登場人物の個性も分かりやすく、スラスラと読めます。人生設計がどんなことで狂うのか、苦境に陥っても新たな道が開けたり、生き生きと前向きになれたり。

  • 他人事ではない。目の前のことに必死で、子育てしてきて…。

  • 全く身につまされる。主人公の篤子は、数年後の自分の姿ではないかと思う。
    無駄遣いをしてきたつもりはないけれど、人生後半になって大きな出費が嵩み、今まであれやこれや実は無駄遣いしたのでは?見栄を張ってきたのでは?と後悔が押し寄せ、にわかに老後が不安になる。
    でも、篤子は前向きでウジウジしないところが痛快だ。あてにならない夫にも一瞬怒りを覚えても、優しい。私だったら、こんな夫はゴメンだが。2018.12.19

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    後藤篤子は悩んでいた。娘が派手婚を予定しており、なんと600万円もかかるというのだ。折も折、夫の父が亡くなり、葬式代と姑の生活費の負担が発生、さらには夫婦ともに職を失い、1200万円の老後資金はみるみる減ってゆく。家族の諸事情に振り回されつつもやりくりする篤子の奮闘は報われるのか?



    主人公の篤子とは同年代なので とても身近なことのように感じました。
    娘の結婚式に600万円で両家で折半して親が払うっていうのは我が家では考えられないな。義父の葬式代の全額負担も同じく...義母の生活費9万円の仕送りなんてしたら 我が家はやっていけない。
    子供の負担にならないように ちょっとずつでも貯金しないとなぁ...と切実に思いました。
    今、考えても仕方ないけど やっぱり老後は不安でしかないわ...

  • 娘の披露宴に300万もかかることに頭を悩ます主婦篤子。見栄っ張りの夫は「出してやれよ」と言うが、老後の為に蓄えておいたお金が減ってしまう事が心配だ。その上、舅の葬式代200万も持つことになり、ますます焦る。
    やがてパートもクビになり、夫もリストラされと悩ましいことが続く。
    人生晩年に差し掛かった夫婦の生活を描いている。
    篤子の焦りはもっともだし、共感できるところもいっぱい。それでいて、ちょっと滑稽なくらいの心配がおかしい。こんな人いっぱいいるだろうと思う。
    リアルなようで、でもちゃんと作り話になってて、面白かった。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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