マグダラのマリア: エロスとアガペーの聖女 (中公新書 1781)

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  • 中央公論新社
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感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017819

感想・レビュー・書評

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  • その身から悪魔を追い出して貰ったことからイエスに付き従い、磔刑を見届け、復活の場面にも居合わせた、マグダラのマリア。その後はマルセイユ郊外の洞窟で、瞑想と苦行に余生を捧げた、という伝承が残っている。キリスト教史には改悛のシンボルとして大きな影響を与え、数多くの芸術作品のイマジネーションの源泉となってきた聖女の姿を、様々な視点から描き出す。

  • 原罪を持つエヴァと穢れ無き処女マリアの間の女性、マグダラのマリア。

    多くの絵版と分かりやすい文章で読みやすかった。

    そもそもマグダラのマリアはキリストの復活という重要なモチーフの証言者でありながら聖書では曖昧な存在である。
    4つの主たる聖書の中で存在を否定的に書くものもあれば、好意的に記録しているものもある。
    彼女に好意的ではなかったであろうペテロが教皇の座につく事で、彼女の偶像は娼婦、悪徳からの回心のイメージがついてまわるようになる。

    欲望にその身を委ねながらも、イエスの教えに回心し、天上へ昇る事を許された女使徒。
    そのモチーフは芸術家達の創造性を刺激し、貞淑にして淫ら、美しくかつ敬虔という相反する要素の表現に苦心させた。

    何はともあれ豊富な図版がいい。

  • 10/6/11、ブックオフで購入。

  • 自分が想像していたよりマジメな感じでした。
    歴史とともに変遷する彼女のイメージを絵や聖書解釈を
    通して説明していく。

  • 苦手な新書を読もうキャンペーン!

    主に絵画を通してマグダラのマリアが時代によってどのように認識されてきたか、
    その変貌を辿る、というような本。

    ふつうにおもしろかったですよ。

  • 私事で読みましたが、
    あら、面白い。とっても。
    バロック時代のマグダラ像が好きでたまらない。
    沢山の面を見せてくれる聖女に魅了される本。

  • 現在読んでいる本です。これ凄いね。わかりやすい。もうちょっとボリュームが欲しかったところですが、丁寧で良いです。でも図がちょっとわかりにくい。レイアウトをなんとかしたほうがよい気がせんでもない。

  • 絵画の図版が多く面白かった。

  • これは最高に良かった。
    面白かったし、分かりやすかったし、美術史や宗教史と挟んで、文学論や文学史があるので、飽きなかった。(切っても切れないという理由もあるのだけれど…)
    論理的で文学的。
    私にとっての教科書。

  • キリスト教のことを何も知らないのに、こんな本を手にとってしまった。マグダラのマリアについて掘り下げられても、素人には右も左も分らぬことが多くあった。もうちょっと聖書のことを知っていたら楽しめたのかなぁ。とはいうものの、読了後にはそれなりにマグダラのマリアについて詳しくなれたので、悪くはなかったとも思います。こういう本に対して初心者である私が評価を下すのはフェアじゃないので、とりあえずの☆3つです。

  • ダヴィンチコード以来興味をもったので。ベタなミーハーですが。でも、ダヴィンチコードで言われるマグダラのマリアがキリストの子供を産んだというのはどうも信じられない話な気がした。髑髏をまとった聖女っていうその矛盾したような美しさに私は魅力を感じる。マリアがキリストを愛した気持ちっていうのが、宗教的な神への愛というより普通の人間的な、人を愛する愛情なのではないかと思えて聖女なのに他の聖人よりも親近感を抱いてしまう。それから絵画に描かれる彼女が美しすぎて挿絵をみるだけでも楽しめた。

  • 父親の本棚から拝借。マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの福音書それぞれにマグダラのマリアへの位置づけが違う。キリストをもっとも愛し、キリストにもっとも多く愛された悔悛の聖女。

  • マグダラのマリアの聖性と娼婦性がどのようにして形成されてきたかを、絵画を中心にして明らかにしたもの。読みやすい。

  • 「ダヴィンチ・コード」で話題の「マグダラのマリア」。<BR>
    <BR>
    イエスの妻だったとされて、キリスト社会では話題のようですが、<BR>
    多神教(ということは神の人間性をみとめている)<BR>
    世界の人間としては、何故イエスに愛人がいたら問題なのか<BR>
    イマイチよくわかりません┐(´ー`)┌<BR>
    <BR>
    ってことで、「マグダラのマリア」がどんな人物だったか<BR>知りたくて読んでみたんですが<BR>
    イマイチでした。<BR>
    <BR>
    「マグダラのマリア」がどんな人物だったかは<BR>
    最初の章で各福音書に描かれたマリアを紹介しているだけ。<BR>
    あとは、絵画の題材としての「マグダラのマリア」が<BR>時代を経るにつれて<BR>
    どのように描かれたかの変遷を紹介です。<BR>
    <BR>
    絵画の専門知識も無いのに、<BR>知らない画家の名前を連呼されてもねぇ。。<BR>
    <BR>
    もっと、人物に迫ったり、評価だったり、<BR>キリスト教社会に影響とかだったら、面白かったと思うんだけど。。<BR>
    <BR>
    結局「ダヴィンチ・コード」が何故、問題作なのかは<BR>
    判らずじまい┐(´ー`)┌
    評価をおった

  • 映画「ダヴィンチコード」が流行っているらしく、ネット上どこへ言ってもそんな言葉やダヴィンチの絵などがあるので、この本を本棚から取り出してきた。

    この本は上野の美術館で買った。キリスト教文化になじみのない日本人でもマグダラのマリアは、それでも有名なほうだと思う。ヨーロッパの絵などによく書かれているし。確かこの本を買った日も、何枚かのマグダラのマリアが描かれた絵を見たように思う。

    マグダラのマリアはイエスと結婚していて子どもまで身ごもっていた。そのときの様子を描いたのが「モナリザ」だという説もある。
    絵の中のモナリザは、黒い髪を結わえずに垂らし、黒い服を着ている。これは当時の身分の低い女性なのだそう。(娼婦だったマグダラを連想させる)腹部に手をあてて、さらにおなかがふっくらしていることから、この女性は妊婦であるとも言われていて、イエスの子を身ごもったマグダラだという説、私はありえないことではないと思う。
    ダヴィンチは有能な神学者でもあったわけで、研究の末、マグダラとイエスが結婚していた、と分かったのかもしれないし。


    ということは、この本には書かれていないのですが(笑)。

    マグダラという女性は、私が思っていたよりは、実は鮮明な記録が残っていないよう。
    つまり、聖書や福音書の記述を深読み(ときには別の女性と複合させて)して、できた女性像が、マグダラのマリア。
    時代の流れの中、教義の中、説教の中で、マグダラのマリアは少しずつ存在を変えてきた。


    エロスとアガペー、二面性を持つこの女性は、とっても刺激的で魅力的だ。

  • ふとしたことから新約聖書に興味を持ったときにその存在をはじめて知りました。女信者として後世に娼婦あがりとかいろんな汚名を着せられる運命にあるとは夢にも思わなかったでしょうね・・・。

  • 見方次第だ。

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著者プロフィール

岡田 温司(おかだ・あつし):1954年広島県生まれ。京都大学大学院博士課程修了。京都大学名誉教授。現在、京都精華大学大学院特任教授。専門は西洋美術史・思想史。著書『モランディとその時代』(人文書院)で吉田秀和賞、『フロイトのイタリア』(平凡社)で読売文学賞を受賞。ほかに、『反戦と西洋美術』(ちくま新書)、『西洋美術とレイシズム』(ちくまプリマー新書)、『最後の審判』『マグダラのマリア』『アダムとイヴ』(中公新書)、『デスマスク』 『黙示録』(岩波新書)など著書多数。

「2024年 『人新世と芸術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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