ここだけのお金の使いかた (中公文庫 あ 98-1)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122072916

作品紹介・あらすじ

給料は安いし、貯金も少ない。ムダなお金は、1円だって払えません! 誰しも余裕のない時代だからこそ、何にいくら使うかで人生はきっと変わるはず。ゲーム課金はいくらまで? 百万円の宝くじが当たったら夫に言う? どうすれば働かずに生きていける? 7名の人気作家が「お金」にまつわる悲喜こもごもを描く、短篇小説アンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • お金にまつわる短篇アンソロジー。
    7名の人気作家たちのお話だけあって、それぞれ楽しめる。

    ○百万円分の無駄〜新津きよみ

    もし、自分が宝くじで当てたら誰かに言うだろうか?使い道は?と考えてしまった。
    元同級生のお店には行かないだろうな。


    ○一生遊んで暮らせる方法〜原田ひ香

    こんな相手との生活は耐えられないだろうな…と
    価値観の違い⁇
    投資人生って自分の中で全く想像つかない。


    ○12万円わんこ〜大崎梢

    ペットモデルの実情が少しだけわかった気がした。
    それを取材して得られたものは、覚悟や勇気や度胸で自分のスキルを磨こうと思えたことはよかったなと。



    ○廃課金兵は買い物依存症の夢を見るか?〜永嶋恵美

    何にお金を使うのか、ほんとうに人それぞれだなぁと改めて感じた。
    ゲーム課金は全くしないけど(そもそもゲームをしない)本はついポチッと買ってしまう。本屋へ行くと一冊は買っている。
    洋服は今はすっかり興味もなく減らしていくだけ。
    依存症、、自分では気がつかないのかもしれないと思うと怖いなと思った。



    ○わらしべ長者のつくりかた〜福田和代

    棚からぼたもち。これわたしも好きだわ。
    と思いながら読み進めると拓海の友人である健斗のおじいちゃんがとても良いことを言う。
    わらしべ長者の話から何を提供するか?ってことになり、工作が得意で昔作った万華鏡を思い出して、手近にあった牛乳パックとアルミホイルや色紙で早速作り上げる。それを持って動き回っているうちに隠れたニーズ何ふたつ掘り起こされるという…。
    実質、いくらにもならないけれど楽しい思いと喜んでもらえた、役に立ったと満足できた。
    楽しく夢のある時間だと思えたことで、前向きに仕事についても考えることができた。
    いやぁ、おじいちゃんさりげなく良いことおっしゃるわ。



    ○塾に行かない子どものための五つのクリンプス〜図子慧

    子どものことで親は日々頭を悩ませる。
    たんに塾に行く、行かないだけじゃなくてどうして行かないのか原因がわかれば対処できる。
    しかし、塾ってこんなにもお金かかるんだと今更ながら思う。



    ○二千万円の差額〜松村比呂美

    これは辛い話だなと。
    夫が真面目な性格だったからこそ、なのか…。
    金銭的に老後の心配がないとわかっていても、なくした自信を取り戻すことができなかった…
    仕事がうまくいかずに会社を辞める、ということが耐えれなかったというのがわかったから余計に辛い。


  • 7人の著者によるお金にまつわる短編アンソロジー。7人のうち、原田ひ香さんと大崎梢さん以外は初読みの作家さんだったが、いずれの作品もどんどん読み進められた。短編のため、良いところで終わってしまい、長編で読みたいな…と思わされる作品も複数。改めて「お金」とは、人生や生活に直結するものだと実感した。大事なものであることは確かだが、極端に価値を置きすぎると周囲と調和できなくなったり、家庭崩壊を招いたり、依存したり、幸せがかえって遠ざかってしまう。作中、大型犬を多頭飼いし実は飼育代の元も取ることが難しい報酬しかもらえないタレント犬の飼い主や、報酬は発生しない土いじりの緑化ボランティアをする人が登場人物として出てきたが、いずれもお金ではなく行っていること自体に幸せや癒しを感じており、やはりお金が全てじゃないな…と考えさせられた。これからもお金とは適度な付き合い方をしていきたいものだ。

  • お金にまつわるアンソロジー。
    テーマがお金という身近でシビアなものなので、どれも興味深く読めた。
    原田ひ香さん以外は、初めての作家さん。
    「塾に行かない子どものための五つのクリンプス」が一番面白かった。

  • 【収録作品】新津きよみ「百万円分の無駄」/原田ひ香「一生遊んで暮らせる方法」/大崎梢「12万円わんこ」/永嶋恵美「廃課金兵は買物依存症の夢を見るか?」/福田和代「わらしべ長者のつくりかた」/図子慧「塾に行かない子どものための五つのクリンプス」/松村比呂美「二千万円の差額」

    「お金」にまつわる悲喜こもごもを描いたアンソロジー。
    「百万円分の無駄」宝くじで百万円当たったら。
    「一生遊んで…」FIREを目指し節約に励む夫を見つめる妻。
    「12万円わんこ」大型犬のいる暮らし。
    「廃課金兵は…」ゲームオタクと買物依存症。
    「わらしべ長者の…」働かずに生きていきたいニートの「わらしべ長者」作戦。
    「塾に行かない…」塾に行かないと言い出した小学4年生の息子のことで悩むクルミ。
    「二千万円の差額」夫の死後、強迫神経症で苦しむ妻の一歩。

    粒ぞろいの面白さ。等身大の登場人物たちに共感しきり。

  • 原田ひ香さん以外初読の作家7人の短編。どれもお金にまつわる話だが短編で読みやすく楽しめた。新年のスタートに(遅い)良い本だった。

  • 2022年12月中公文庫刊。新津きよみ百万円分の無駄 、原田ひ香一生遊んで暮らせる方法 、大崎梢12万円わんこ、永嶋恵美廃課金兵は買い物依存症の夢を見るか?、福田和代わらしべ長者のつくりかた、図子慧塾に行かない子どものための五つのクリンプス、松村比呂美二千万円の差額 、の7つのお金にまつわる書き下ろしアンソロジー。テーマがお金だからか、辛辣な話が多く、後味が悪い。その中にあって福田さんのわらしべ長者のつくりかたが唯一の前向きな話だが、対比の部分に無理やり感があり、話としては嘘っぽい味がした。

  • お金にまつわるアンソロジー。
    宝くじで100万円が当たったが、家族には内緒で浪費する。夫や子供たちの態度に、とても打ち明ける気になれなかった主婦の話やケチで信じられないことを言う夫や…
    日々の推し活にお金を注ぎ込む女性。
    仕事が続かずにいる孫の友達にアドバイスを送る祖父などなど…
    ムカッとする話や前向きになれる話もあって、アンソロジーの楽しさがある。

    2024.3.16

  • 「お金」がテーマのアンソロジー。棚ぼた収入、NISA、ゲーム課金、投資、生命保険…一口に「お金」といっても切り口は様々で、その切り口から話をどう展開させるかもまた様々で…改めて、お金がどれだけ我々の暮らしに深く関わっているかを思い知るのだった。
    実力派女性作家集団「アミの会」によるアンソロジーだから、どの作品も見事に面白かった。中でもお気に入りは…
    ・永嶋恵美「廃課金兵は買い物依存症の夢を見るか?」
    まずタイトルが見事。起承転結の鮮やかさも印象的。大人の友情もいいなと思わされた。
    ・図子慧「塾に行かない子どものための五つのクリンプス」
    コバルト時代好きだった図子さん作品をアンソロジーでよく読むが、作風の振り幅の広さに毎度脱帽、そしてクォリティも高い!PTA ママ関係の描写がリアルで身震い。
    ・松村比呂美「二千万円の差額」
    トリに相応しい。泣けました。夫を亡くした悲しみからゆっくり立ち直る過程がよかった。

    いや~、テーマが「お金」だとエピソードが生々しく、一歩間違えれば自分も…みたいな怖さもあったが、そこを巧く料理しながらさりげなく説教臭くなくまとめあげる皆様の腕前に感服です。いいお買い物でした。700円(+税)以上のものが得られたかな!

  • お金の使い方のアンソロジー。
    一言でお金の使い方と言っても色々あって、お気に入りは新津さんと松村さん。

    「百万円分の無駄」
    確かに宝くじ百万円当選なら私も黙ってるかもなぁ。主婦の発想がリアルでした。思い切り使い切るのが爽快でした。

    「二千万円の差額」
    タイトルの意味がとても切なかったです。残された方もその意味が判った時の「お疲れさまでした」がじわりとしました。

  • 面白かった。
    色々考えさせられる。
    大崎梢さんが好きで読んでいるアミの会。未読の作家さんを知ることができ、楽しい。

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著者プロフィール

大崎梢
東京都生まれ。書店勤務を経て、二〇〇六年『配達あかずきん』でデビュー。主な著書に『片耳うさぎ』『夏のくじら』『スノーフレーク』『プリティが多すぎる』『クローバー・レイン』『めぐりんと私。』『バスクル新宿』など。また編著書に『大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー』がある。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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