ウェブ社会の思想 “遍在する私”をどう生きるか (NHKブックス 1084)

  • 日本放送出版協会 (2007年5月30日発売)
3.41
  • (17)
  • (39)
  • (74)
  • (12)
  • (1)
本棚登録 : 429
感想 : 47
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784140910849

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ウェブ社会の問題を網羅的に扱うのはいいが、全体的にもうちょっと詰められるのでは、という感が否めない。cfという無駄書き、「~化」とカタカナ概念の頻発は、大澤真幸などもそうであるが、矢張りどこか自信のない学問である社会学の衒学性癖であり、ショウもない図も社会学の「語りベタ」を象徴しているような気がしてならない。

  • 感想
    ネット社会にまつわる古典。今目の前にあるweb3.0など全く新しいと思われる技術。それらも技術進歩の流れの中にあることを再発見。

  • 同語反復的、トートロジー。

  • ウェブ社会の「思想」と「宿命」
    「人間」―宿命に彩られる生(ユビキタス―個人情報管理型の社会
    バーチャル―越境する電子マネー
    記憶と記録―データ化される「わたし」
    宿命と成長(1)―島宇宙の外を生きられるか)
    「社会」―民主主義の困難を超えて(共同性とマスメディア―「偏向報道」批判の背景
    民主主義―グーグルが描く未来像
    宿命と成長(2)―関係へと開かれる生)

    著者:鈴木謙介(1976-、福岡市、社会学)

  • lifeから入った鈴木謙介だったが、思いのほかよかった。10年前の著作なので、本文でいう最先端は今はもう過ぎたものである。しかし、結構驚くのはこれぐらいの時期に始まり定着し始めたIT関連の技術だったり機器だったりするものが、今のライフスタイルを支えているものになっていること。

    序盤のユビキタスなどの技術的な説明は緒論であって、もっとソフト面である社会や私たち人間の「生き方」が焦点になっている。個人的には現代社会やこれから来る未来の人間たちが陥っていく「決定的宿命」観を形作る環境の考察と、決定的宿命論に関心をもった。そして「避けることができない宿命を自分で選び取ったものに書き換える」という考察。自身の状況と重ね震えた笑。

    とにかく初めて触れたチャーリーの著作。よかったっす。


    17.4.16

  • 技術的には人々が世界中につながることを可能にしたはずのインターネットが、そのようには機能せず、むしろあらかじめ定められた「事実」へと人々の生き方を囲い込んでいくような機能を果たしてしまうことを、ローレンス・レッシグのアーキテクチャ論なども参照しつつ明らかにしています。また終盤では、そうした状況から脱するための展望を語っています。

    前著『カーニヴァル化する社会』(講談社現代新書)より、かなり読みやすいと感じました。とくに、古谷実の『ヒミズ』と『シガテラ』を例に取って、著者の用いる「宿命」という概念を説明しているところは腑に落ちるところが多く、改めて『カーニヴァル化する社会』の方も読み直してみたいと思いました。

  • アイデンティティに関する現代的な必読本の一つに今のところ位置づけている。もう1回は少なくとも読みたい。

  • 専門性の高い聞き慣れない言葉が多く、取っ付きにくいが、自分なりに理解したところでは、「情報化社会(ユビキタス社会)は、膨大な個人情報の蓄積(偏在する私)を基に、自らが何かを判断する前に、なすべき指針を提示してくれるようなシステムを志向しているが、伝えられた情報を、共有すべき出来事として理解し、公共的な判断を下していくような民主主義にとって、これは危機的な状況を生むことになる。」そこで著者は、あるべき民主主義を求めて「工学的民主主義」と「数学的民主主義」を検討し、宿命のように自らの未来が定められていく情報社会のなかで、「どう生きるか」を問いかけ、それはまだ「宿命」ではなく、私たちの選択に開かれている未来のひとつでしかないと希望を捨てない。拍手。じっくり考えてみたい。

  • シガテラと戯言シリーズのネタバレの本。

    もしも、そこそこ知識のある学者がサブカルに焦点をあてて、小難しく社会のありようを述べたら

    って内容のほんです。

  • 今こそ読み返したい本。全く古びていない。
    レヴィナスの引用は、少し思うところがあった。
    戯言シリーズや古谷実、村上春樹などの作品分析もある。そこで興味を持って読み始めるのもいい。ネタバレはあるが、作品に興味を持つことのできる手つきで書かれているので、未読者も気にしなくていいと思われる。

  • 「ウェブ進化論」に真っ向から対抗する立場かと思ったが,それ程でもなかった.
    確かにそうなのかなと思うところも多いが,さすがに思想というのはそう簡単に説明がつくものではないらしい.
    最後は自分で考えろということか.

    2回目
    これも読んだ記憶がまったくない

  • [内容]
    ユビキタスな社会は、個人にあわせて環境を最適化する。たとえばamazonのリコメンド機能は、ユーザーの購買履歴などから、システムが「わたし」に先取りして「おすすめ」の本やCDを判断し、提示してくれる。このとき問題になるのは、購買履歴やポイント履歴など、バーチャルに偏在する「わたしを表現するデータ」が、あらゆる場所で「わたしより先にわたしを代弁してしまう事態」が起きつつある、ということである。可能な選択肢がシステムによって狭められ、しかもそのことに気づかないまま、その生を生きさせられる。筆者は、このような「システムによって自分に与えられた可能性以外の未来を選択できなくなること」を「宿命」と呼ぶ。「宿命」にいろどられた<偏在するわたし>をどう生きるか。「宿命」の外側の未来を選択することは可能なのか。この本で扱われるのはこのような問いである。

    情報化による宿命論の前景化は、民主主義そのものを掘り崩しかねない。環境が個人それぞれに最適化された社会では、人々の関心がタコツボ化し、共同性の構築は困難になる。この困難に際してうまれる、「民主的な社会を維持するため、人々に民主主義を強制するアーキテクチャを設計すべき」という議論は、民主主義をめぐるパラドックス「民主主義は民主的に生まれるか」という問題にぶつかる。
    筆者は、情報社会の民主主義として、二つのパターンを考える。ひとつは、「民主的な意志をもつことを強制するシステム」である「工学的民主主義」と呼ばれるもの。もうひとつは、「各人が民主的な意志を持たず自らの関心にもとづいて利己的に行動したとしても、結果として他の人々に役立ち制度維持に貢献するシステム」であり、「数学的民主主義」と呼ばれるもの。「工学的民主主義」は、人々に対して共通の認識枠組み・共通の現実を生きることを強制しなければ成立しない。一方、「数学的民主主義」では、各人ばらばらの<現実>を生きていても社会が破綻しない設計である。

    たしかに、「数学的民主主義」は、「人々が何を望みどのような決定を下すべきか」を判断するアーキテクチャ作動である。しかし脳科学の知見からいって、人々の意志や「その人が幸福と感じるようにすること」をコントロールしたりあらかじめ決定することはできない。つまり、「人々がどのような社会を生き、なにを望ましいと判断しているか」、という価値自体を形成するのは、アーキテクチャではなく社会(現実)であると筆者は考える。したがって、「数学的民主主義」が生み出す「夢みる繭」は、人が現実に失望したり希望をいだいたりすることで現れる、現実の反照たる「夢のセカイ」にしかすぎない。
    この「数学的民主主義」の議論からわかることは、amazonのような選択肢を本人の判断より先取りして提示するシステムは、個人の振る舞いや志向を自動的に収集して導き出すものにすぎず、何かを命じているわけではない、ということである。

    筆者は、「宿命」とは「わたしたちが私たちに見せている夢」であり、それを生み出す「物事との関わり方」によって書き換えられていく可能性があると主張する。たとえば、オタクの二次創作製作が、販売をつうじて公共性へと至る可能性を有しているように、自分だけの内閉したセカイを作るためにも、セカイの外側を生きる他者との関わりが求められることがある。そのような契機によって、人々は「宿命」を「自分では選べないが、生きることのできる<宿命>」として受け容れることができるだろう、とのことである。

    [総評]
    ハードな思想系・社会理論の文献から漫画やラノベまで、ジャンルレスに参照しながら、考察をすすめている。後半部のラノベや村上春樹の小説の引用は消化不良の感もあるが、全体として読みやすく、読者を飽きさせない。
    しかし、七章の「「夢みる繭」は可能か」から、議論がややこしくなる。
    たしかにシステムが提示する選択肢は個人の振る舞いを収集・分析して導き出したものに過ぎず、それらへの関わり方によって選択肢は「変わる」可能性があるという主張は、仕組みとしてはその通りといえる。しかしそのような「関わり方」を「変える」ことはいかに可能なのか。

    本書では、ユビキタス社会に偏在するバーチャルな<わたし>という宿命的な自己を、いかに引き受け生きることができるか、あるいはいかにその宿命の外部に出るか、という問いを考察するうちに、私的関心に閉じこもった人々の内閉世界(<現実>)がいかに他者に開かれていくか、という問い(社会問題)に答えることでその解を求めるようになっている。

    本書では、以下の問題があらわれている。
    ①システムが判断を先取りし、狭められた選択肢だけが個人に提示されることで、知らないうちに個人が別の可能性から排除されているような、情報社会の問題。
    ②個別化した情報環境によって人々の現実がタコツボ化し、現実にたいして共通枠組みが失われた社会では、従来の政治空間が困難になるという問題。

    筆者は、個人の内閉的なセカイ(<現実>)が、承認欲求が元手となって、セカイの外側にいる他者に出会い、変容していく可能性に賭けている。この承認欲求をテコにした解は、②に対応する。すなわち、他者との出会いや公共空間における契機によって、①の問題、システムが提示する選択肢も変わっていく可能性があるだろうとのことである。

    しかし②の問題は、次の問題と複雑に絡み合っている。
    ③人々が自分の私的関心に満足し、他者や公共性を志向しないことで政治空間が成立しないという現代人の心性の問題。(そしてそのことが①のようなシステムを要求し維持しつづける。)

    承認欲求に基づく公共性への接続という解は、人間の他者志向的な倫理に解決可能性を見出すものである。したがってこの解は「個人の承認欲求が『セカイの外側』に接続する経路はいかに取り結ばれるか」という、さらになる問いをひきつける。

    たしかに、「自らの主張を他者に認めさせたい」と、異なる主張のブログを炎上させることは結局、別の主張を持つ他者との関わりをもつことと同じであり、場合によってはそのような関わりが、「わたし」を別の<現実>へと開いてくれる可能性をもつ。
    しかし、そのような別の他者や<現実>に出会ってたとしても、それらが「わたし」に実存的に重要なものとアピールしてこなければ、「わたし」は元のタコツボ的セカイにとどまり続けるだろう。つまり、別の<現実>や他者が存在したとしても、そのことが「わたし」という実存にどれほど意味をもつのか、という点が問題になる。
    したがって、「わたし」の「認められたい」という承認欲求が「自分とは異なるセカイに生きるあらゆる他者の承認を経て一般的に認められたい」という志向をもつものでない限り、承認欲求に賭けた他者への開かれは困難なのではないだろうか。

  • 面白かった。筆者の主張する宿命という概念をサブカルチャー作品から論じているところがアツかった。最後の、西尾維新作品の分析から最後の結論めいた部分はさわやかな読みごこち。

  • 2011年9月頃読了

  • 前半はすごく読みやすいけど、後半は難しいというか理解しづらい。カーニバル化を読んでから読むとわかりやすいかも。

  • [ 内容 ]
    「ユビキタス」「ウェブ2・0」「ネットビジネス」…華々しい流行語の陰で何が起きているのか。
    蓄積された個人情報をもとに、各人の選ぶべき未来が宿命的に提示される。
    カスタマイズされた情報が氾濫する中で、人は自らの狭い関心に籠もり、他者との連帯も潰えていく。
    共同性なき未来に、民主主義はどのような形で可能なのか。
    情報社会の生のゆくえに鋭く迫り、宿命に彩られた時代の希望を探る、著者渾身の一冊。
    新局面を迎えたといわれるウェブの世界。
    宮台真司、東浩紀らに続くネット世代の気鋭の論客が社会の現実に多角的に迫る。

    [ 目次 ]
    ウェブ社会の「思想」と「宿命」
    1 「人間」―宿命に彩られる生(ユビキタス―個人情報管理型の社会 バーチャル―越境する電子マネー 記憶と記録―データ化される「わたし」 宿命と成長(1)―島宇宙の外を生きられるか)
    2 「社会」―民主主義の困難を超えて(共同性とマスメディア―「偏向報道」批判の背景 民主主義―グーグルが描く未来像 宿命と成長(2)―関係へと開かれる生)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ウェブがもたらす変化について思考・社会・政治などの観点から述べた本。ウェブがもたらす影響ついて体系に知るのにはオススメ。特にウェブが自分のアイデンティティを担保する機能に関しては何度も読みたいと思った。

  • 課題指定本。

    課題が出るまで、こういう情報社会系の本を読んだことが無かったので、わたしにとっては新鮮だったし、純粋に読み物として楽しめました。

    もっと、この著者のほかの本や、ちがう著者の本も読みあたっていきたいなぁ、と思います。

    まだこの本しか知らないので、何もいえない気がしますが、古谷実の『ヒミズ』『シガテラ』とマクベスの宿命論の結びつけがおもしろかったし、わかりやすかったです。

    全体的に読みやすい、わかりやすい。
    時事の取り上げ方的にも、今が旬の本だなぁっていう感じです。

  • 参考文献

  • 雑味が多い印象。一考の価値はあると思うが、そんな難しく考えなくてもいいんじゃない?筆者が背伸びしてる感覚があって窮屈だったね。

全36件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

関西学院大学准教授。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター客員研究員。専攻は理論社会学。ソーシャルメディアやIoT、VRなど、情報化社会の最新の事例研究と、政治哲学を中心とした理論的研究を架橋させながら、独自の社会理論を展開している。
著書に『カーニヴァル化する社会』(講談社、2005年)、『ウェブ社会のゆくえ─〈多孔化〉した現実のなかで』(NHK出版、2013年)、『未来を生きるスキル』(KADOKAWA、2019年)ほか多数。

「2022年 『グローバリゼーションとモビリティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

鈴木謙介の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×