片想い

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163198804

感想・レビュー・書評

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  • 性同一性障害をとりあつかった話。
    例によって殺人事件を中心に、サスペンス展開で話を惹き付けていく。
    さまざまな考えを交差させて描いており、考えさせられる。読み応えがある。
    アメフト部の同窓生を中心に話が展開されて、アメフトに一時はまった私としては、そこも面白い。

  • 力作。相変わらず心にずっとのしかかる。テーマが重いので、ミステリ的意匠でなくてもよかったのでは(失踪にしぼるべき、殺人は不要)?

  • 性同一障害の問題を背景にどんどん物語は進んでいきます。すごく複雑で、深かったです。もう一度読み直したい。

  •  大学アメフト部の同窓会。その帰りに10年ぶりに女子マネージャー・美月が姿を現せる。その姿は男性であった。性同一障害を告白され動揺する主人公・西原。しかし告白はそれだけではなかった。人を殺した。知人につきまとう下劣なストーカーを殺してしまったのだ。さまざまな戸惑いの中、数人のアメフト仲間と美月をかくまうことに・・・。だが美月はかつての仲間達に迷惑がかかることを避けるために人知れず姿を消す。西原は美月を探し始めるが、その中で事件の謎にせまっていく。そしてラストは悲しい結末が・・・。
     再読となる今回。初めて読んだときは性同一障害という難解な話でいまひとつ入れなかったが、複雑に絡み合う人間関係。性同一障害に悩む人たちの生き方。たった1件の殺人事件だが、そこに絡む真実が巧みに描かれ、思わずのめりこむ。
     大学アメフト部のキャラもおもしろく、完成度の高い1品。

  • 7月14日~24日

    大学時代のアメフト部のメンバーとの定例の飲み会の後、哲郎は10年ぶりに会った元マネージャーの美月にある秘密を告白される。そして、その秘密は思いもかけない形でメンバーに影響を与えていく…。導入部分から読み手をぐいぐい引っ張り込み、途中で急に視点が変わるストーリー展開は、日常的な場面から少し現実離れした設定へと読者を取り込んでいく東野圭吾の得意技。そして、なにげない描写に隠された伏線が予期せぬエンディングへと結びついていく。アメリカンフットボールのポジションの役割を簡単にでも把握しておくとさらに楽しめるに違いない。
    学園モノ、刑事モノ、サスペンス、パロディ、本格推理と発表するごとに作風が変化する東野圭吾作品は素材にも工夫が凝らされており、『変身』では「脳移植」、『パラレルワールド・ラブストーリー』では「記憶」、そして本書では「性同一性障害」と常に新しい事柄を題材に取り入れ続けている。

  • 題名から想像して、甘い話しかと思っていたら・・・大間違い!
    性同一障害を持つ人たちをテーマに考えた物語だった
    それほど急展開がない進み方で、主人公他様々な人間の内面を深く描きながら話しが進んでゆく。
    そんな穏やかな展開だったので、読んでいく過程で「えっ・・・最後まで読みきれるかな」と思ったけど、物語が中盤に入ってくると、雪崩のように読み進んだ。
    時に・・・最後の辺りでは、主人公の男の行動が暑苦しく?感じられたりして、
    「もう~いいから、クビつっこむな!そっとしとけ!」
    って気持ちになったりw
    まぁそういった煩いくらいの心配性でおせっかいやきな主人公だから、最後まで見届ける役目として著者は書いたのだろうけど。(^o^;
    ・・・それにしてもいつもながら、考えさせられるテーマ・・・。東野圭吾、凄いねぇ。

  • 半陰陽というのを、
    はじめて知った。
    そういう人もいるのかー…と
    衝撃でした。

    問題が深すぎて、
    消化不良。

  • ジェンダー問題にかなり深く切り込んだ社会性の濃い作品。
    先日教育評論家の尾木先生が「今性別は30種類以上に分別できることが学会で発表されている」って話をしていたのを思い出した。

    女の体と心で男を愛する人
    女の体と心で女を愛する人
    女の体と心で男も女も愛する人

    体と心が一致していてももう3種類もの区分けが出来てしまう。
    人間が人間を愛するとひとくくりにしてくれない社会があるというのに。

    社会問題としてジェンダーを知るきっかけになる作品ではあるけれど、やはりタイトルの通りこれは恋愛物語でもあります。
    ラスト2ページに号泣でした。

  • 実家に東野圭吾のハードカバーがゴロゴロあり、手当たり次第に読んでた。
    これはなんかだんだん訳が分からなくなり(笑)ちょっと気持ち悪いかんじもあった。
    歴然とした区別だと思ってた性別が思いの外あいまいなことにびっくり。
    性同一性障害までは理解に至ったけど、女の姿で生まれて心は男、男性ホルモン打ち出して体ごと男になろうとしたのに心理的に女の面も…
    ややこしい。両刀と思えば簡単なのか?
    戸籍入れ替えとか、複雑になるにつれ面白くなったけどたまに見失い(笑)先が微妙に読めたりもして、ラストは二時間ドラマみたいになってがっかり…かな。

  • 男女の性別について・・・同一性障害が題材で実に考えさせられる部分が多々あり
    良かったと思います。

    ではなぜ☆3つなのかと言うと
    主人公の哲朗と話のきっかけ(と言うかそのもの)の美月があまり好きになれなかった。
    これを云うとネタばれなりますが

    最後のオチで美月は女でも男でもない50%の真ん中にいる。と説明しており
    ただ自分の前では「女」だったよ。
    との事ですが
    あの本読んでいる限りでは美月の男の部分てどこにあった?と言う感じ。
    かなり女女した人物にしか見えなかった。(しかも女に嫌われるタイプの女だと思った)
    だったらまだ理沙子の方が男らしく見えた。

    あと哲朗もなぁ・・・第三者からと言う書き方をしたかったから
    当事者である中尾や記者で追う立場にある早川では書けないのだろうけど
    友人を心配すると言うより野次馬ぽく見えるし話の中でも自分が目が不自由である事で悲劇のヒーローに酔っていたと書いてましたが
    この事件に関わる事で同じように酔っているだけだ。にしか見えなかった。
    だってこの話で一番何も知らなかったのはこの主人公だもの。

    と言う事で☆3つ。

    なので多分、主人公がこういう人物でなければ星は4つだった。
    内容的には考えさせられるしね。

    自分の体と心が合致しないとはどんな感情になるんだろうと・・・
    それで戸籍や今までの生い立ちや自分を捨ててまで「性別」に拘るとは?
    家族や友人や今までの自分を捨てるのに天秤にかけ、それでも性別の方が上に
    なるのだろうか?
    そこまで追いつめられる物なのだろうか?と考えさせられたから。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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