ばくりや

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163809304

感想・レビュー・書評

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  • 乾さんはデビュー以来、いつも何か変わった能力を持った者が登場する話や、風変わりな状況設定での物語をひねり出す。

    今回も、人間の能力を交換するお店「ばくりや」なるものを案出し、その設定下で何パターンもの物語を書きつなぐ。「オール読物」に連載されてきたシリーズ6編に、書き下ろし1編を加えて単行本化。

    札幌と思しき町の郊外、忘れ去られたかのような小さな商店街の一角に建つ洋館「ばくりや」。怪しげなチラシに誘われてやってくるのは、自分の持つ力に悩んでいる人ばかりだ。悩みは人それぞれ、人間の持つ能力には、他人から見れば実にうらやましいものもあれば、それだけは勘弁というものもある。

    「ばくりや」は、そんな悩みを持つ人間に他の能力との交換を持ちかけるのが商売。移植に応じるには、交換にどんな条件の能力でも受け入れるという度量が必要だ。一度交換してしまえば、もう二度と前の能力は持てないという博打のようなもの。
    それでも、、みんな交換を希望する、、、

  • 面白かった!どの話もオチがよく効いていると思う。交換した相手が分からない話は、相手がどうなっただろうとつい想像を膨らませてしまう。能力を交換。私なら何を出すだろう。

  • 他人の能力と交換できるというおとぎ話的な七つの短編集。
    某新聞の書評で評価が高かったので借りましたが
    三つ目の作品の結末がグロテスクで、気分が悪くなってしまい、
    完読できませんでした。ごめんなさい‥。

  • ご不要になったあなたの能力お取り替えします。北の街の路地裏に、その店はあった―。ハンサムでもないのに異常に女にもてる、就職した会社が必ずつぶれる。古い自分を脱ぎ捨てるため、「ばくりや」を訪れた者たちの運命は(「BOOK」データベースより)

    女性に異常に好かれる能力&刃物研ぎの技能・・・逃げて、逃げた先に
    大食いの能力&雨男の能力・・・雨が落ちてくる
    会社をつぶす能力&動物に好かれる能力・・・みんな、あいのせい
    剛腕ピッチャーの能力&アイスをエロく食べられる能力・・・狙いどおりには
    泣き虫の能力&弁舌の能力・・・さよなら、ギューション
    タイミングに関する能力・・・ついてなくもない
    きりがよすぎる能力・・・きりの良いとこりで

    組み合わせが絶妙!
    能力の交換っていうシチュエーションだけでも面白いのだけれど、この組み合わせがそれぞれを面白い話に仕上げています。
    割と話がよめる部分もありますが、それが気にならないくらい楽しめますよ。
    ラスト2話の流れもうまい。
    ブラックなラストがお好みの方にはぜひおススメしたい一冊。
    私は「狙いどおりには」の二人が結構好きですね。
    あの能力はどちらもいりませんけどww。

  • 特技や才能を交換してくれるという怪しげな店「ばくりや」。換わりにどんな特技・才能が手に入るか分からないし、やり直しはきかないというのがコワイですが、実際に困った才能の持ち主となれば縋りたくなるのも当然ですよね。ちょっとオトナ向けですが、なかなか毒気もあって面白かったです。

  • 因果応報な物語。
    いろんな能力や人間性の中、ついてる人はついてるし、
    残念な結果だなあって言う人や、しようがないかもね、という人が。このお店を見つけられる事が1つの能力なんだろうな。

    自分には何か交換出来るような能力があるかな?
    なんて考えてみたり。
    面白く読んだ。

  • 乾ルカ先生と、三省堂書店有楽町店(@yrakch_sanseido)さんに感謝。
    ブラックな大人のおとぎ話だったなと。
    ちょびっと北の大地とご縁があるので、なんとなーく場所がわかってしまったり
    そこはかとなくニヤリ、が多かったお話でした。

  • いらない自分の“能力”を他のものを取り替えてくれる、という「ばくりや」。ただ、代わりに与えられる能力は自分では選べず、返品もきかないという。それでも取り変えたいと思う人々がやってきた顛末は?? 空気に湿った雪の気配を感じる北の街にある「ばくりや」。

    望みもしないのに女にもてて仕方がない、勤めた会社が次々に潰れる、いつでもすぐに泣いてしまう、とても間が悪い、いつでもキリ番に当たってしまう、など、いいのか、悪いのか、わからない能力も含めて、それがイヤでたまらない人たちが、引き寄せられたように「ばくりや」に。

    読者としては、交換した能力がとんでもないものであたふたする、とか、いいと思っていたけど結局はストンと落とされる、なんていう展開を予想してしまうし、また、そもそも、なんでそんな「ばくりや」が存在するのか、という問いかけに対する答えも用意されているんだろうな、とも。

    う~~~ん、設定は面白いと思ったんだけど、なぜ交換したものがそれなのか、という、その能力を前に持っていた人の話も出てきてほしかった。後半ではきっと前半に出てきた人たちのフォローとして、そんな話も出てくるんだろう、と思っていたのにちょっと肩透かし。

    前作の「てふてふ荘へようこそ」が好きだったから今回も期待したんだけど。
    ホント、せっかく面白い設定だったのになぁ・・・。

  • ホラー小説なのかと思った!

    ”あなたの能力交換します!”で気になって(日経新聞の書籍紹介だたかな)
    ハードカバーがあまりにも可愛いのでついつい購入。
    カバー裏側にいる女の子がファッキューをしているようで、
    気になる。
    表紙の女の子が誰なのかも
    気になる。

    物語の構成がとても好きだ。
    毎晩1話ずつ読める気軽さ。つながり。
    毎回のばくりやの紹介の仕方がとても心地よい。

    最初の彼は「女に異常に好かれる能力」をもっているわけだけれど、
    私の能力は、これだ。
    「男に魔法をかけちゃう能力」←

    交換に出したいとはあまり思っていないけれど(まだ楽しめてはいる)、
    トラブルをつくりだして、人生をややこしくしてる能力には間違いない。
    いつか私もばくりやに足を運んでしまうかもww

  • 物語の世界にひたる、という楽しみを堪能させてくれる一冊。
    ピンポイントでその人にその通知が来る、というあたりで「笑うせーるすまん」を思い出した。
    異常に女にもてるとか、勤めた会社が必ず潰れるという「能力」は小説的ではあるが、交換された能力と等価交換ではないあたりが絶妙。
    皮肉な結末や、発想の転換という結末もあったが、やはり「ギューション」がいちばんぐっとくる。「狙いどおりには」の醒めた結末もまた一興であった。
    ラストのまとめ方は、さもありなんと思わせるが、実にしっくりまとまっている。
    乾ルカさんはどんどん面白くなる。

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著者プロフィール

乾ルカ
一九七〇年北海道生まれ。二〇〇六年、「夏光」でオール讀物新人賞を受賞。一〇年『あの日にかえりたい』で直木賞候補、『メグル』で大藪春彦賞候補。映像化された『てふてふ荘へようこそ』ほか、『向かい風で飛べ!』『龍神の子どもたち』など著書多数。8作家による競作プロジェクト「螺旋」では昭和前期を担当し『コイコワレ』を執筆。近著の青春群像劇『おまえなんかに会いたくない』『水底のスピカ』が話題となる。

「2022年 『コイコワレ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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