ばくりや

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163809304

感想・レビュー・書評

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  • 面白い話だった。こういうのは、もっと後味悪くできる設定だと思うが、なかなかいいところで落ちている。幸せな気分になれるかは別だが。

    特殊な能力を、別の誰かの特殊な能力と交換できるお店、『ばくりや』を訪れる人々のお話。

    女に異常に好かれる能力、移動先で必ず荒天になる能力、就職先が倒産してしまう能力、剛速球を投げられる能力、ちょっとしたことでも泣くことができる能力、間の悪い能力、キリのいい能力。様々な能力をもつ登場人物が出てくるが、『逃げて、逃げた先に』が一番好きだ。
    後味がいいのは、『ついてなくもない』だろうか。スッキリするのは『狙いどおりには』。
    吉良は怪力のガチムチに掘られるフラグだろwwと思うのは腐女子脳であろうか…。(すみません)

  •  主人公たちは、自分の持っている特殊な力のことで、かなり悩んでいるところへ「ばくりや」のチラシを見てそのお店を訪ね、能力を他の能力・技能と交換します。
     確かに、悩んでいるところにあのチラシを見たら、藁にもすがる思いになるだろうという気持ちと裏腹に、もっとその能力のことをポジティブに考えたらいいのにとも思いました。悩んでいる側からすると、人の気も知らないでということになるのでしょう。
     「さよなら、ギューション」の編では、異常に泣き虫だった彼がその能力を取り替た後、大切なものを失い涙するシーンが出てきますが、その涙は大切な人を失ったことで泣いているのか、自分のことで泣いているのかとても悩みました。
     「ついてなくもない」と「きりの良いところで」の編では、どうしてそれを「運がいい」と考えることができないのかと思いました。

     考え方を少し変えるといいんじゃない、それに交換後の彼らは本当に幸せかどうか…そう考えるときりがないけど、特殊な力のない凡人からすると、ちょっと贅沢な悩みだと思えました。でも確かに、持って無くてもいいような能力もありましたけどね。

  • 世にも奇妙っぽいおはなしで面白い。1話目は先が読めたからずっとこんな感じだったらいまいちかな、と思ったけどパターンがいろいろで飽きなかった。最終話も結末はベタなんだけど、それを予想させない展開。連作短編で一気に読める。

  • ご不要になったあなたの能力お取り替えします。北の街の路地裏に、その店はあった―。ハンサムでもないのに異常に女にもてる、就職した会社が必ずつぶれる。古い自分を脱ぎ捨てるため、「ばくりや」を訪れた者たちの運命は。

  • 7編の短編集。
    最後のオチが、以外で面白かった。

  • ばくりやというお店に来るお客さんについての
    読みやすくブラックな短編集

  • ばくる=交換する、というどこかの方言
    過去の出来事などから自分が不要と感じた特別な能力を他人のそれと交換し、その後の様子を描いている短編集。

    逃げて、逃げた先に
    雨が落ちてくる
    みんな、あいのせい
    狙いどおりには
    さよなら、ギューション
    ついてなくもない
    きりの良いところで    の全7話。

    ダークな内容もあったが、どれも面白かった。特にさよなら、ギューションは心に残った。
    ついてなくもないは初めてのパターンで面白かったし、最後のきりの良いところでは、そうきたか!と予想もしてなかった展開だけに驚いた。
    すべてが上手くまとまっていて、読みやすかった。

  • 後半の方になるとオチがどんどんシュールになっていくような・・・
    1編1編もっと長かったらいいのになと思いつつ、
    この絶妙な短さが余韻を残していいのかも。

  • いや〜、また面白かったなぁ。ばくりや。何のことかと思ったら、ばくる=交換する という意味の言葉で、特殊な能力を交換するお店の名前なのだ。その能力ゆえに悩みを抱えたいろいろな来店者達のそれまでとその後。いやあ、面白かった。乾さん、ハズレなしだなあ。一気に読めました。

  • 意外とビターな話が多い。
    最後は不意を突かれたなあ。
    思い当たりそうで、思いつかなかった。
    やられたなー、と良い気分。
    「さよなら、ギューション」が一番好き。

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著者プロフィール

乾ルカ
一九七〇年北海道生まれ。二〇〇六年、「夏光」でオール讀物新人賞を受賞。一〇年『あの日にかえりたい』で直木賞候補、『メグル』で大藪春彦賞候補。映像化された『てふてふ荘へようこそ』ほか、『向かい風で飛べ!』『龍神の子どもたち』など著書多数。8作家による競作プロジェクト「螺旋」では昭和前期を担当し『コイコワレ』を執筆。近著の青春群像劇『おまえなんかに会いたくない』『水底のスピカ』が話題となる。

「2022年 『コイコワレ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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