- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163809304
感想・レビュー・書評
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2012年読了
能力は、だまし絵みたいなものです。
見方を変えれば、老婆が若い女にもなります。 -
インパクトのある装丁で、ずっと頭の片隅に残っていた本を図書館で見かけたので借りてきました。
不思議な洋館の扉には「ばくりや」と書かれた木札がかかっている。
店のチラシには、『あなたの経験や技能などの「能力」を、あなたにはない誰かの「能力」と交換いたします』とある。
首をかしげたくなるようなチラシながら、それを手にした主人公たちはみな、各自の能力に悩まされ続けてきて、そのチラシに一縷の希望を見出し「ばくりや」へと足をは運ぶ。
「女に異常に好かれる」「大食い」「すぐに泣き出してしまう」などなど、その能力はさまざま。
能力に限らずですが、突出した何かと折り合いをつけるのは結構大変ですよね。
交換した能力の方がいいものばかり!というわけでは全然ないのに、やっぱり「生まれながら持っていてどうにもならないもの」よりも「自分の意思で交換して手に入れたもの」の方がいいものだ、と思う人間の心理がおもしろいですよね。
一番好きだったのは、「さよなら、ギュレーション」
なかなか泣かせてくれます。誰に感情移入しても切ない。
どの話も基本的に軽めで手軽に読めるのがいいですよね。
それからオウムの登場には王道感があって、やっぱりここではオウムだよね!とすごくしっくり。
愛し合う男女が魔法をかけられたか何かで昼と夜にそれぞれ動物になって、同じ時間に人間として会うことが叶わない・・・みたいな物語があったけど、なんだったかな。
それはともかくとして、楽しく読めた1冊でした。 -
「ばくりや」という本が目に入り、もしかして…と思ったら、やっぱり「交換屋」ということだった。一道民として、お店の場所などを想像しながら読みました。笑
こういう妖しい雰囲気のお話は好きです。
一番は「さよなら、ギューション」。最後に石倉が号泣したのは、能力を失ったからではなく、嘉男を失ったからだと思いたいし、そうであれば救われる気がする。
他の話は特に響かなかったけど、「ついてなくもない」から「きりの良いところで」の流れは面白かった。 -
設定面白いし、読みやすいんだけど、
無理矢理バッドエンドにしているような、そこに作者の意地悪さが出てるような。 -
2014.11.3 読了
この作家さん 3冊目!
やはり不思議な話でした!
けど、面白かった。
『あなたの経験や技能などの「能力」を、
あなたにはない誰かの「能力」と交換いたします。まずはご来店ください』
このチラシ(文面)に惹かれた
特殊能力(本人にとっては消したい能力)を
もつ人が 『ばくりや』に訪れる。
交換には移植手術のように
適合しなければ拒絶反応が出る。
しかも、交換なので 今まで持ってなかった
代わりの能力を得ることになる、
けど、その能力がいらないものだったとしても
もう 再交換は不可能。
それでもよければ 申し込む。。。という
システム。
たいがい オチがブラックだったりするけど、
中に 泣ける話もあったり、
違うパターンとかもあったりで、
面白かったです!!
最後の本物のオチは
かなり気になる感じで終わっちまう。。。
この作家さん
おもしろいわ~~~!! -
【収録作品】逃げて、逃げた先に/雨が落ちてくる/みんな、あいのせい/狙いどおりには/さよなら、ギューション/ついてなくもない/きりの良いところで
*「ばくる」は、「交換する」という意味の北海道弁らしい。追いつめられた人は、今より悪くなることはないと思っているけれど、さて。物は考えようとも言うし。 -
2014.03.27読了。そのお店の名前は「ばくりや」…北海道の方言で”ばくる=交換する”という意味らしい。「ご不要になったあなたの能力お取り替えします」というチラシを受けとった7つの物語の主人公が各々の”不要”になった能力を交換しにやってきます。どの物語も人間の心理を描かれているので、少し怖かったり、(苦しいという意味の)切なかったりです。『さよなら、ギューション』はホロリとしました。『ついてなくもない』では良かった~とホッとしました。『きりの良いところで』…おぉ~!そうきたのね~!ゾクっとしました。
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本人にとって疎ましく感じる体質や能力を、適合する他人の能力と取り替える店「ばくりや」。
交換対象となる技能がなんなのか、移植前には知らされないし、世間一般の天秤では割に合わない交換にもなり得るが…
「女に異常に好かれる」「包丁研ぎ」「ひどい雨男」「大食い」「就職先が必ず潰れる」「動物に熱烈に好かれる」「剛速球を投げられる」「おしゃぶり」「泣き虫」「弁が立つ」「間が悪い」「きりが良い」…。
私ならどの能力を交換したくなるかなぁ。 -
この著者の作品読了2作目。これは…大好きな感じかも!他の作品もぜひ読んでみたい。
本人がとってもうとましく思える技能というか能力を、他の人の同様の能力と取り替える、という「ばくりや」を訪れた人たちのお話を紡ぐ短編集。短編集にありがちな重複した情景描写がちょっといやんだったけど、最後まで引き込まれて一気読み。ラストストーリーの、星新一ばりのブラックな終わり方も、なにげにわたし好みだった^^;