そして、バトンは渡された

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907956

感想・レビュー・書評

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  • 映画は見ていないが(すいません…)、冒頭を読んだだけでも主人公の森宮優子は永野芽郁さんしかいない!!とおもった。
    それくらい、森宮優子のイメージは永野芽郁さんにピッタリだった。

    森宮優子は確かに4回も名字が変わったし、血の繋がらない親の間をリレーしたけれど、「困った。全然不幸ではないのだ。」(4ページ)
    いや、この境遇で困る人もいる。
    いるだろうけど、森宮優子の場合は全然困ってない。だから、「困ってるでしょう」というまわりの押しつけに彼女は心底困っているのだ。
    でも困っているのに困ってないと言う人もいるから、困っているかどうかを見分けるのは本当に難しい…
    (でも森宮優子は本当に困ってはいないのだけれど)

    瀬尾さんの物語には、世間の常識とされているものからふんわりと0.5ミリくらいズレている人たちがよく出てくる。
    世間のなかで生きられないほどのズレではないけれど、でもそのふんわりしたズレがちょっと息苦しかったり、余計にパワーを使うことが起きたりだ。
    でも瀬尾さんの物語の中の、ふんわりしたズレを抱えている人たちは決して不幸ではない。決して、不幸ではない。
    だから瀬尾さんの小説は、何度も読みたくなるのだ。

    このお話の肝はラストだ。
    ネタバレになるので書けないけれど、このラストはズルい(笑)
    そんなラストを少しだけたのしみに、この本を手にとっていただけたらとおもう。

  • この本は瀬尾まいこさんが賞を獲る前に読んでいたので、受賞を知った時は感激と驚きでうれしく思いました。
    息子も読んだので、感想を言い合っていました。
    展開が良く、つい夢中になってしまい、
    夕飯の支度が面倒になってしまい、
    困るのですが読みたい、が勝ちそうに
    なり大変です。
    飽きることなどなく、楽しく読み進められる良冊だと思います。


    名字が何度も変わってしまう・・・
    そのことに、彼女は抵抗を感じなかったのでしょうか。
    親の離婚、再婚に振り回されても、
    幸せな境遇にいられたなんて、彼女は
    とってもラッキーだったのかな。
    それとも、彼女は素直な性格の子で、
    周囲の人に愛されたのかな?と思った。

    そしてバトンは渡された--良い題名だなと思います。

  • 読了後の多幸感がすんごぃい!


    梨花さんのセリフで
    明日が2つになる

    って言葉があったんですけど
    あったかぁー。。。

    形は違えど、
    たとえ血は繋がっていなくとも
    大事にしてくれる人がいる。
    なにより家族って素晴らしいな、とも。

    読む前に
    タイトルから想像するに
    勝手に不幸ストーリーなんだろうかと
    思っていたら
    開始から
    「困った全く不幸ではない。」

    と。

    気になってめくるページが
    止まらなかった。
    現場からは以上です笑

  • 温かいものに包まれたような、優しい気持ちになる小説でした。会話をしながら飲食しているシーンが心地良く「何気ない毎日の会話や日常の積み重ねが、とても愛おしくて、かけがえのない時間なんだ」と思い出させてくれた。変化は否応にして訪れるから、周りの人も自分も大切にして生きなくては。

    母親が2回、父親が3回変わった、優子が主人公の物語。どの親も惜しみない愛情を注ぐので、安心して読めた。作中に出てくる食べ物が、どれも美味しそうで、食欲をそそるシーンが沢山。

  • ぱらぱらと何気なく読み始めた瞬間から読みやすくて面白い。すぐ引き込まれて時間さえあれば簡単に一気に読んでしまいそうな1冊でした。
    どういうこと?と思いながら読み進めているうちにとてもあたたかい気持ちで読み終え、余韻も素敵でした。
    あと30ページというところで映画も観ました。
    映画はある意味センセーショナルな作りで図らずも私も泣いてしまったのですが、やはり原作が好きです。

  • 3人の父親2人の母親に育まれて育った優子の独白の形での優しくてほんわかした話。そんな境遇にも拘わらず曲がったり捻れたりすることなく成長したけど大事な思春期の父親は一番らしくない今の若い父親で、好きな人が出来ていざ結婚となった途端に一番反対されてしまう。そんな らしくない彼の独白が最後の締めになっている。
    嫌な人 悪い人 意地悪な人 虐める人など出て来なくて、読み手も幸せ気分になれる小説でした♪

  • 不穏な終わり方をするのではないかとヒヤヒヤしながら読み進めましたが、何事もなく安心しました。「バトンは渡された」というのはどういうことなのか、私なりの結論としては、優子の親を受け継いだ人たちは精一杯の愛情をもって接し、優子の成長に貢献した。つまりバトンは渡されずに落ちたり転がったりすること無く(いいかげんな親に引き取られることがなく)渡されていったということなのではないかという解釈をしました。

  • 読み終わった後、心がほこほこしました☺️それぞれの愛情の形、そして森宮さんの不器用ながらも父親になっていく姿が素敵でした。あったかい気持ちになれる一冊でした

  • 「そして、バトンは渡された」
    瀬尾まいこ(著)

    2018 2/25 第一刷発行 (株)文藝春秋
    2019 4/10 第十四刷

    2019 12/22読了

    澱みのないスッキリした文章が魅力の瀬尾まいこ。

    この重苦しい題材をここまで爽やかに表現できるのは彼女だけかもしれない。

    きちんと「愛」と「憎」
    「幸」と「苦」を
    ふるいにかけて「良」だけを選び取ることは
    本来なら非常に難しい事。

    幸福な出来事があるわけではなく
    幸福であることを選ぶ事の大切さ…

    真っ直ぐな心で善意を受け止める事の大切さ。

    本書を読むと
    この世は愛で満ち溢れていると信じられるような気がします。

    2019年 本屋大賞受賞作。

  • 妊娠中の今でさえ大号泣だったのだから、実際に子供を育てている方々には特にお勧めします。

    「親になってから明日が二つになった。
    自分の明日と、自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日がやってくる。
    親になるって、未来が2倍以上になること。」

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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