新しい星

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163914688

感想・レビュー・書評

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  • 学生時代仲の良かった男女4人が主人公。それぞれが30代、40代と年を重ねていく中で様々な悩みや困難にぶつかりながらも懸命に生きていく姿が描かれている。
    この4人の関係性が非常に心地良いなと。学生時代のようなベタベタな関係性ではもちろんないわけだけど、何かあれば集まり、話を聞き、助け合い、こいつのために何かできることはないかと真剣に考える。仕事上の身分も能力の高低も関係ない、ただ"友達"だからというそれだけで、フラットにつながることのできる存在。
    そんな友達の重要性を改めて噛みしめることのできる一冊でした。
    私も既に30代、もう40の声も聞こえてくる中で、個人的な悩みや不安は尽きない。私にも同じような学生時代の友達がいるが、おそらくこいつらにも私やこの本の登場人物同様に悩みや不安はそれぞれにあるのだろう。久々に会って悩みの一つや二つ聞きたいし、聞いてほしいなと少しセンチメンタルな気持ちになりました。

  • 大学時代、いっしょに過ごした仲間たち4人のその後。
    30代になった彼ら、彼女らが経験したこと。

    娘の死と離婚。
    仕事で挫折し、引きこもり。
    自身の癌、闘病と死。
    妻子との別居から離婚。

    人生において30代というのは、いろいろなことを経験し、吸収していく年でもあるが、すべてが順調で思い通りにいくわけではない。

    何をもって普通というのか…
    それぞれが、空回りしたり、挫折したりの繰り返し。
    でもずっと不運が続いていくわけではない。
    誰かがそばにいる。
    ひとりではない。
    それを気づかせてくれる温かな再生への物語だ。

  • 生きている間に伝えておきたいことはあるけど、また今度、とか、いつでも言えるからいいや、とか、ついつい甘えてきついことまで言ってしまう。いなくなってからでは遅いんだよって、読後の自分に言い聞かせています。

    悲しくてたまらないけれど、一緒に生きた証は心から消えないと思わせてくれました。なんでも言い合える仲間や家族に憧れます。そして、支えになるような人になりたい。
    2021,12/19-20

  • 心で繋がっている友達っていいな、と改めて感じることができる。
    学生の頃に出来た友達とも、時の流れで関係性は変化していったりすることが多い。
    そんな中大切に想い合える友達がいて、心の繋がりが続くって素敵だな。
    悩みは違えど、自分自身含め、自分の周りに普通にいるどの人にも何らかの悩みや苦しさがあって、日々の生活の中に過ごす感じがとても身近に感じる。
    問題は違えど抱える何かで重なる部分もあり、なんだかズッシリとした読後感。

  •  感想を書くということがすごく難しく感じている。ただ綺麗な作品というだけでなく、ありのままのことを一切の誇張なしに真摯に描いている。そんな印象。

     『わからない。そんか他愛もない質問の答え、その人しか発せられない眩い答えを、もう永遠に得られないのが亡くすということだ。』

     ものすごく共感できる。私も身近な人を亡くしているが、その人と話せなくなることが一番残酷で、何よりもその死が現実のものであると突きつけられると実感させられる。

     この物語には4人の登場人物がいて、それぞれ悩みを抱えて生きている。

     生まれたばかりの娘を亡くして、夫とも離婚した青子。乳癌を宣告された茅乃。職場でのパワハラが原因で引きこもりになった玄也。里帰り出産した奥さんとコロナで行き来できなくなり、離婚した卓馬。

     生きていれば誰しも何かしらの問題は抱えていると思う。それをどう対処していくかでその人の人生は大きく変わると思う。

     弱いけど、しっかりと前を向いて歩いていける4人は素敵だ。

     しっかりと前を向いて歩いていこう。

  • 「友情っていいな」この一言が、この作品を読み終えて最初に感じたワードでした。
    4人の同級生の友情の物語です。
    何でも言い合える友達がいる、それだけで気持ちも楽になるし、生きる糧にもなれる。
    ストーリー性も良くて、読みやすかったです。
    涙もポロリと、是非読んで友情の素晴らしさを感じてみてください。

  • 友達って良いなと純粋に思いました
    今、離れてしまった友達もいますが
    これからの出会いを含めて人との繋がりを
    大事にしたいと思いました

  • それなりに面白かった。これも普段好んで読まないタイプの小説。死んだら新しい星に行くということか。大学時代の合気道部の男2女2の4人が、それぞれ大きな問題を抱えて、卒後も友情を保ちながら生きていくという話。勤め先をいじめ原因で辞めて自宅引きこもった玄也、新生児を亡くし色々で離婚された青子、乳がんの闘病と再発死去茅乃、コロナ別居が引き金で離婚した卓馬。短い短編が重なっていく系。色々と私個人の経験と重なるところもあり、普通の人(普通の人ってのもナニだが)の人って、こういうことは考えないわな、とか、まあ色々感じるところもあり、よく取材されてるなと感じた。
    タコが飼いたくなった。


  • 幼い娘を失った青子
    乳癌を患った茅乃
    妻子と別居して暮らす卓馬
    上司のパワハラで会社に行けなくなった玄也

    大学時代に合気道部で同じ時を過ごした四人が
    10年の歳月を経て再び集い、生活の中で起きる
    苦悩や挫折、葛藤を乗り越えようと支え合う
    姿を描いた物語。

    言葉で説明できないわだかまりや、
    消化できない悲しみ、他者からは些細だと
    思われるような躓きで立ち止まり動けなく
    なった時、なんとか折り合いを付けようと
    もがく時、こんな気のおけない友達がいたら
    どんなに心強いだろうと羨ましくなりました。

    暗くて深い沼から抜け出し、新しい星で
    歩くのを見守ってくれる温かい物語。

  • とても良かった。
    気の合う仲間はたとえ会わない期間が長かったとしても
    その期間を感じさせない居心地の良さがある。
    すてきな4人。
    街行く人もそれぞれがたくさんのことを背負って
    みんなもがきながら生きてるんだろうなぁ。

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著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。2010年「花に眩む」で「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞しデビュー。16年『やがて海へと届く』で野間文芸新人賞候補、17年『くちなし』で直木賞候補、19年『森があふれる』で織田作之助賞候補に。著書に『あのひとは蜘蛛を潰せない』『骨を彩る』『川のほとりで羽化するぼくら』『新しい星』『かんむり』など。

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