機械仕掛けの太陽

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 203
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163916088

感想・レビュー・書評

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  • ウイルスとは、生き物ではなく、
    プログラミングされた機械仕掛けの物体。
    この2年間、あんなに不安になって必死に追っていた情報なのに、医師の目からみたコロナウイルスの特異さやおそろしさは、まるで知らない事実であるかのようでした。
    情報を漁っては一喜一憂していたあの頃、医師の方々がどれだけの予見と覚悟をもって対応してくださっていたのかがわかりました。
    知念さんがこの作品を書いたのも、コロナ禍で起きた騒動やデマ、失策、人々の感情の移り変わりをきちんと記録として残し、またワクチン接種や予防策を怠らないよう多くの人に伝えたいという並々ならぬ熱意によるものだと強く感じました。

  • ものすごく良かった。
    コロナで医療従事者がいかに疲弊しながらも頑張ってきたのかが伝わってきた。

    コロナで世界中が急速に変わり今まで当たり前だったことができなくなる。そんな中、医療従事者のように命を救おうとそれこそ自分のプライベートを捨ててまで懸命に働いている人もいれば、どさくさに紛れてお金を儲けようとして、ワクチンは撃たない方がいい、ワクチンは国が儲けようとして打つことを推奨しているという陰謀論を唱え、協力している医療従事者は殺すという考えの人もいる。人間って何だろう、同じ事態に直面してこうも極端に変わるのかと酷く衝撃を受けた。

    コロナに関する情報が交錯する中、間違った情報に振り回されず、情報の発信元を確認し、正しい情報のみを信じることの大切を学んだ。情報社会の恐ろしさを感じる。
    だからこそ、コロナの時はどの情報を信じるかで自分の命が危うくなるということが強く印象に残った。

  • 読むと自分が何をしていたんだろうと思います。
    フィクション、ノンフィクションなんて関係ない。
    読んで感じた事が事実だと思います。
    自分には何も出来ないただ感じた思いを大切にします。

  • 機械仕掛けの太陽
    著作者:知念実希人
    発行者:文藝春秋
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    facecollabo home Booklog
    https://facecollabo.jimdofree.com/
    感動の人間ドラマ。戦場と化した医療現場の2年半のリアル。

  • 「機械仕掛けの太陽」とは、コロナウイルスのことだったのかと、まずそのタイトルの付け方に関心してしまった。
    小説というより、ノンフィクションの作品を読んでいる感じ。
    医療従事者の目線から描かれている治療の最前線は、やはり壮絶。
    コロナが発生した3年前位の部分は、すでに昔のことのように思えて、不思議な感覚になった。
    もっと時が過ぎて読み直したら、また違った読み方が出来そうだと思った。

  • 「神様のカルテ」シリーズでおなじみの夏川草介さんの「レッドゾーン」に続き、本作も現役医師によるコロナ禍の医療現場を描いた作品です。

    知念実希人さんの作品は数多く読んで来ましたが、本書はミステリ要素やコミカルさもなく、ひたすらリアリティがあり切迫感が伝わって来ました。
    読んでいてかなり辛くなります。

    コロナ禍による人々の不安、緊急事態宣言に政府の対応の遅れ、ワクチンデマ、医療崩壊など、この2年間以上日々のニュースで触れて来たキーワードばかりだと思いますが、医師の目線で描かれているコロナ禍の惨状は想像を絶するものでした。

    コロナを軽視していたワケではありませんが、幸い身近で感染した人が少なく重症化した人もいなかったのと、慣れにより恐怖心が薄れてしまっていました。

    私自身、このコロナ禍で妊娠・出産をしましたが、コロナに感染することもなく万全な状態で無事に出産出来たのは本当に奇跡のようなことだったんだな…と改めて思いました。

    withコロナと言われるように、今後もコロナとの闘いは続いていくと思いますし、感染が収まって来ると何となく油断してしまいがちですが、冬に向けてまた感染爆発を起こさないよう、日々の手洗い、マスク、三密回避をしっかり行おうと気が引き締まる思いでした。

  • 中国で新しいウィルス性の病気が流行り始めた、という時期から始まる小説なのだが、かなり実情に沿った内容となっており、こういう現場があったかも…というノンフィクションのような話の展開だった。だから、創作物や推理、キャラクターに期待する人には向いていない。でも、医療従事者、特にコロナ病棟などの最前線で働いていた人たちから見たあの2年半位がどの様なものだったのか理解するのにとても見識が増えた気がする。そして、流石に知念実希人だけあって、面白いのだ。すごいな。
    コロナ関連政治を医療目線から批評してるのが結構興味深かったです。菅さんはワクチン外交はお金は使っただろうけどありがたいな、と思ってたけど、河野太郎の評価は抜けてたな~。

  • <間>
    世界中の誰もが良く知っている”この件”の経緯と顛末を一体誰がこういう小説にして発表するのだろうと随分前から僕は考えていた。小説なのだから事実(いやもはや史実か!?)と異なっている部分がどれだけあってもかまわないのに,ほとんど現実に起こった事だけを基に書き現している。いやそれともこの物語はいわゆる「ドキュメンタリー作品」なのであろうか。だとするともしかすると”著者”は存在しなくなるのか。”書き手”になるのか? と僕は思っているのだが。

    本の題名はちょっと考えても”この件”についての物語なのだと云う事は分からない。そして現在飛ぶ鳥を落とす勢いの医師兼作家知念実希人の作品なのであって,それはそれは沢山の人が読むのだろう。そして思うに既にテレビやネットのニュースで聴いて見て知っている事柄がこうやって小説として本になってあらためて納得しながら読める、ということは存外に楽しいのかもしれない。随所に感動的な場面設定もあるし。

    でも僕には実はちょっとシレっとするところもある。ズバリ「知ってるよそんな事」って心境だ。まあでも「なんだ正確にはそうだったのか(特に医学的専門用語はそんな感じ)」と思う事も多いが、そうすると小説なのだから一体にどこまで真実なのか、という事がやたら気になるのであった。

    今作、やはり題材の選定は大きなミスがかそれとも凄みのある大正解かのどちらかだろうと思う。今作2023年春の”本屋大賞”候補ににも挙がりそうな予感はするが,もし大賞を獲るようなことがあれば、書店員さん達もやはり読みやすく分かり易い作品がやはり好きなんだな、という実態が分かってそれはそれで悪くはないと思う。あれ?つい本題と逸れた発言感想になっているが、まあいつものことなのでこれで良しとガマンください。すまぬ。

    しかし登場人物の設定として主人公格の女性医師を”シングルマザー”の設定にしたのは大変に的を射てて面白さ倍増の為の大切な要因になっている。そうです、このドキュメンタリー作品は明確に女性目線の物語なのです。めちゃ面白いですぞ。

    なんだかんだと云いながら、とても気に入った知念的言い回し があった。本文80ページにあるが,そのまま引くのもなんだから僕なりの解釈を加えてここに作文して置きます。すまぬ。『相手は生物ですらなく意思を持たない ,ただひたすら自分をコピーして増やす事だけを使命とする有機機械。一切の慈愛も無ければ交渉も不可能。そういう敵と人類は戦っているのだから。』

    【りょうけん的 読書感想文あとがき】今回の読書で作者 知念実希人と安倍晋三氏の関係について興味を持った僕はネットで少し調べてみた。そうするうちにTwitterの記事のなかから知念実希人氏本人のアカウントを見つけて,すかさずフォローした。そしたらなんと随分と前から僕の方が彼にフォローされていたのだった。僥倖なり。やれ嬉し! Twitterでの知念氏のHNが「@MIKITO_777」だったので今まで気づかなかったのだ。

  • 2020年から始まった新型コロナウイルスに対する
    医療担当者の血の滲むような戦いを3名を中心に
    時間を追ってほぼノンフィクションで追った作品で
    知念先生の小説の中で最高の出来と思っています。

  • 多くの人に読んでいただきたい。
    新型コロナウイルスの脅威、それと戦う人たちの苦悩や信念に心打たれる内容。教本として読むのもありですね。
    何年経っても薄れてはいけない出来事として、語り継いでほしい。

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著者プロフィール

1978年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医師。2011年、第4回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞し、12年、同作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューする。代表作に、「天久鷹央」シリーズがある。その他著書に、『ブラッドライン』『優しい死神の飼い方』『機械仕掛けの太陽』『祈りのカルテ』「放課後ミステリクラブ」シリーズ等がある。

知念実希人の作品

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