機械仕掛けの太陽

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163916088

感想・レビュー・書評

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  • 図書館でなんとなく手にした本。読み始めてコロナか〜思い出したくないから読むの辞めようかと思ったのですが、医療現場の緻密な描写にひきこまれました。医療従事者の想いに涙無しでは読めません。医療従事者の皆様に改めて感謝出来ました。読んで良かったです。

  • 常に死と隣り合わせのレッドゾーンに身を置いたコロナ治療。
    医療従事者には感謝の言葉しか思いつきません。

  • 「機械仕掛けの太陽」ってコロナウイルスのことだったんですね〜

    時系列にあわせて、志村けんさん、安倍元総理、岸田総理など実在の人物の出来事にも触れることでフィクションでありながら、限りなく現実に近いリアルがそこにあるように感じました。

    感染者が減って気が緩む世間と、ひっ迫する医療現場とのギャップはかなりの衝撃を受けました。私はまだ陽性になったことはありませんが、たしかにワクチンを打つ前から楽観視していたところがあったように思います。

    また、情報の出処はきちんと確認すること。顔も名前も分からないSNSや自称専門家のTVコメンテーターの情報などを安易に鵜呑みにしないことを教訓として学びました。

    最後に、最前線で尽力された医療従事者の方々へ心から感謝の気持ちを伝えたい!

  • 前代未聞の驚異の新型コロナウイルスとの壮絶な戦いを小説にした見事な作品。やはり現役医師としての知念さんしか書けない。読んでいてこの作品は後世に残る偉大な作品だと思います。コロナ病棟での医師と看護師の苦しみと悲しみがひしひしと感じました。思わずがんばれと応援してしまいました。早く終息を願いつつ老若男女全ての人に読んでほしい感動作です。

  • COVID-19と医療現場の戦いは身近に感じる。コロナ病棟を担当している関係者の方たちには心から労いたい。2023年6月、公共交通機関でもマスクをしていない人が増えてきた。特効薬が公認されるまでは予断を許さないと思うのである。
    この作品はドキュメントだと思う。記録として残して後世にわかりやすく、何が起こったかを伝えていく記録とも言える。
    最も怖いのはウイルスではなく、人かもしれない。集団心理、煽動、人は周りで見聞きした事を盲信するものだ。

    肺は数億の肺胞(肺胞壁に包まれている)とそれを囲んでいる血管壁でできている。肺胞と血管壁の間を間質という。通常の肺炎だと細菌によるものが多く、肺胞自体が炎症し治療は比較的しやすい。間質性肺炎になると間質に炎症が起き、肺胞壁や血管壁が硬くなり呼吸しにくくなる。ウイルスによるケースで、硬くなった肺胞壁を治療するには時間がかかる。これがCOVID-19と読んだことがある。従って治癒したと思っても後遺症が残る可能性がある。
    COVID-19の特効薬の早期販売が待たれる。
    油断大敵だと改めて認識させられる作品だと感じた。

    ところで細菌とウイルスの違いは、細菌は細胞でウイルスは遺伝情報のみらしい。ウイルスは細胞に結合するので、脂肪細胞にくっ付いて体外に出してくれれば、ダイエットしなくて済むのに・・・。


  • 2019年秋から始まった、COVIDとヒトの
    壮絶な戦いをドキュメンタリーのように
    切々と綴った物語。

    タイムマシンで時間を遡ったような感覚に
    襲われ、当時の記憶が生々しく蘇ります。

    COVIDの最前線、まさに命がけで奮闘する
    医療従事者の苦悩や葛藤。
    周りを取り巻く状況は悪化の一途を辿り、
    心も体も疲弊して今にも崩れ落ちそうに
    なりながらも、今できることに全力を
    尽くして立ち向かう姿に胸が詰まります。

    COVIDの前面で戦ってくださった様々な
    方々に感謝と尊敬の念を強く深く感じた
    物語でした。

  • 非医療者全員に読んでほしいというわけではないが、少なくとも自分の知人で非医療者の人には是非とも読んでもらいたいと思った。
    コロナ禍における医療従事者の心情なんて、一般人にはわかってもらえないだろうと落胆していたが、他の医療従事者もやはりそうだったのかと思った。
    共感してほしいとは言わないが、こういう気持ちの人間もいるんだということを知ってもらいたい。

  • 2019年秋ごろから始まったコロナウィルスとの戦いを、医療従事者側から見た物語。

    医師でもある著者が書いているからか、政治家の名前も芸能人の名前も社会で起きた出来事の一つ一つを見てきているからか、ものすごくリアルで、ドキュメンタリーみたいに読んだ。

    シングルマザーで喘息持ちの4歳の息子と、長い間の喫煙者であった母と暮らす36歳の呼吸器内科医の椎名梓

    硲(はざま)瑠璃子は看護師になりキャリアも積み、商社に勤める彼とは同棲していて結婚する話も出ている。

    診療所の医師長峰邦昭は72歳、長らく地域医療を支え、息子も医師となる。

    中国で発見され、豪華客船で到着し、あれよあれよという間に市中に広がった。どうやって感染するのか、何を怖がればいいのか、とにかく誰とも接触しない方がいいと言われ、どんどん通勤電車から人がいなくなっていった。

    たまたま最近、今日マチ子さんの「Distaceわたしたちの#stayhome日記」を読んであの頃のことをつらつら思い出してた。あの頃わたしたちは、ひたすらにコミュニケーションを絶つという防衛対策しかできなかった。

    その中で私は仕事のために通勤し、直接のコミュニケーションを取るしかやりようがなくて、怖くて怖くてイヤだったけど、そのうち感覚が麻痺してた。罹患しなかったのは奇跡だったんじゃないかと思う。

    この物語の中に出てくる医者や看護師が、使命感を持って、命を削りながら仕事してくれてたおかげで、今のようにマスクを外せるところまで来た。医療従事者の方達の戦いの軌跡を、目の当たりにしたようだった。

    読んでいる間、込み上げてきて何度も泣きながら読んだ。医療従事者への感謝を抱きつつも、最前線で働く看護師の家族には近づきたくないという心無い言葉。ワクチンは危ないと中途半端な情報で命を危険に晒す人。反ワクチン派団体の医療従事者への攻撃。クラスターを出してしまった病院への犯罪者扱いの報道。正しい情報がどれだかわからないうちに、テレビの情報を鵜呑みにする烏合の衆の怖さ。

    コロナが命を奪うウィルスである事は間違いなく、今も消えたわけではない。これからも何度か波は押し寄せるかもしれない。

    “とりあえず、いまはつかの間の勝利を喜ぼう”

  • 医療従事者の方々には本当に感謝です。私も自分で出来ることはしていこう。

  • 現役の臨床医でもある知念さんが、医療現場を舞台にパンデミックがもたらした社会の混乱を描いた1冊。
    もちろん設定等若干のフィクション要素はあると思うが、約3年のパンデミックにより一変した「日常」がまるでノンフィクション番組を観ているように蘇る。

    2020年当初の人びとの当惑、医療現場の大混乱等は変わり映えのしない制限の多い月日の中で、私自身もう過去のものになっていたことに気づく。

    マスクが店頭から消え、ウィルスの正体や治療法もまだ不明確なまま、全身防護着の医療者の皆さんが日夜身の危険を抱えながら奮闘してくださったあの2020年春。

    医療者の方々が受けた差別や偏見もおそらく私たちは一部しか想像できていなかったのだな。

    研究者や医療者の皆さんのご尽力の賜物で時間の経過とともに、ウィルスの正体や治療法、ワクチンも確実なものとなり、現在に至る。

    一方で一部の研究者や「医療関係者」界隈の見立てや陰謀論等も社会に混乱をもたらしている。
    長く続く制限ある日常のなかで、人間社会の両義性を見た気がする。人々を救おうと力を尽くす人々がいる一方で、SNSの罵詈雑言が横行する。
    作品にもあったが、パンデミックはインフォデミックでもあるなと実感。

    感染症を拡大させないため、或いは感染症以外の疾患の患者を救うために、社会が、人々がそれぞれに心がけるべき事柄は大前提ながら、100人いればそれぞれの視点で100通りのコロナ禍物語があったのだろうなとも思う。我が家も御多分に漏れず。
    社会全体の全員を一気に満足させる単純で簡単な解決法など夢物語だな。

    収入が激減したり、学ぶ機会が失われたり、人との繋がりを絶たれたり、社会と自分自身の隔たりによる孤立も見過ごしてはならない。自ら命を諦める人々が増えないよう、抑制のままでは「社会」が成り立たない。

    制限はあるものの、誰かが誰かと繋がれることは大事にしたい。
    4回目オミクロン対応ワクチンもインフルエンザワクチンも終えたところ。
    パンデミックで失ったもの、逆に手にできたこと。それぞれ受け止めたい2022年秋。

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著者プロフィール

1978年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医師。2011年、第4回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞し、12年、同作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューする。代表作に、「天久鷹央」シリーズがある。その他著書に、『ブラッドライン』『優しい死神の飼い方』『機械仕掛けの太陽』『祈りのカルテ』「放課後ミステリクラブ」シリーズ等がある。

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