新装版 隠し剣孤影抄 (文春文庫) (文春文庫 ふ 1-38)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167192389

感想・レビュー・書評

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  • 義父からもらったシリーズ。
    江戸ものと言えば、すぐに名前が挙がる作者だと思うのだけど、確かまだ読んだことなかったの。
    おもしろかったです。

  • 久しぶりに藤沢周平の世界に浸る。本書は海坂藩を舞台に展開する8つの短篇物語集。そのいずれもの主人公が表題にあるように各様の「隠し剣」を持っている。かといって、これはいわゆる剣豪小説などではない。それぞれの主人公が持つ「隠し剣」は、ここぞという生涯ただ一度の時にしか使われることがない。そして、各々の物語はその「生涯ただ一度の時」に向って収斂してゆくのだ。そうした時間の凝縮性のゆえに、本書はことさらにドラマティックなのだろう。また、各話ともに女性が登場するが、これがまたいずれも極めて魅力的だ。藤沢文学の白眉。

  • 友人に勧められて初めて藤沢周平を読んでみました。今までおもしろいと聞いてはいたのですが、著作が多いためどの作品から読めばいいかわからず、今やっと読めました。
    この本は剣客小説の短編集で、時代小説といってもかなり読みやすいです。
    それにしても、江戸時代は不自由なことが多い。現代は自由で良かったと心から思います。ただ不自由さの中で信念を貫くことの美学に、自由な現代人は心ひかれるのかもしれません。

  • 庄内・海坂藩士の剣豪たちの陰翳に富んだ活躍を描いた8つの短編集でありながら、一貫性を持たせ、全体として一つの流れがあります。いずれも秘剣がテーマであり、やや現実離れしている観は否めませんが、主人公たちが何らかの悩みを持った複雑な背景がある人情物語はいつもながらほろっとします。欲望で身を滅ぼしていく人達の姿を描くのも著者は秀逸ですね。著者にしては少しお色気が勝った表現が多いように思いましたが、おしとやかな女性はいつもながら魅力的です。「隠し剣鬼ノ爪」が映画化されていますが、やはり高島礼子が演じた夫人役が印象に残りました。「きえ」(松たか子)の人生は映画と随分違っていましたが、映画の脚色は感動的であったものの、小説には別の爽やかさがありました。

  • 必殺技って、ロマンがありますね。

    本作は、隠し剣弧影抄(こえいしょう)と隠し剣秋風抄(しゅうふうしょう)の2冊にわたる剣客時代劇短編集です。題名どおり各編の主人公は秘伝の必殺剣を持つ剣客達で、物語はその無双の剣を振るう一瞬のために組み立てられていきます。

    ただ、この短編集に登場する剣客は、よくある剣客もののような剣豪であったり、人格者であったりといった、所謂"ヒーロー"ではなく、家の存続や仕事の悩みなどを抱える下級武士、言わばサラリーマン剣士なのです。

    恋愛よりも友情よりも家名を存続させることが尊いとされる武士の価値観の中で、俗に迷い、制度に縛られ、仕事に悩む。
    しかしそれ故に覚悟を決めた一振りの刃が、より一層の輝きと切れ味を増して、運命を、そして物語を切り開いていくのだと思います。

  • ★★★★★  様々な必殺剣を持った人たちの短編集。あの有名な「隠し剣 鬼の爪」もこれに含まれています!必死剣鳥刺し 女人剣さざ波が個人的にはお気に入り! 悲しい終わり方もあるけど、なぜか爽やかでした。
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    秘剣、外に語らず―剣客小説に新境地を開いた名品集“隠し剣”シリーズ八篇。凶々しいばかりに研ぎ澄まされた剣技を秘める主人公たちは、また人としての弱さもあわせ持つ。剣鬼と化し破牢した夫のため捨て身の行動に出る人妻、これに翻弄される男を描く「隠し剣鬼ノ爪」。他に「暗殺剣虎ノ眼」などを収む。

  • 全八篇共良かった、映画の原作となった題材もあり読み終え
    た。もう一冊、関連本が有るので注文して読む予定。

  • いずれも北国、海坂藩内という設定の8つの短編。読んでいて小気味よい。

  • 読んだきっかけ:藤沢周平です。映画「隠し剣 鬼の爪」「必死剣 鳥刺し」の原作を収録。ブックオフで100円。

    かかった時間:8/23-8/29(7日くらい)

    内容:「隠し剣 秋風抄」に継ぐ、「秘剣」をテーマにした短編8話。お気に入りは、「女人剣 さざ波」です。

    前巻の「孤立剣」に通じる、女性がキーとなるお話。こういうのが好きなんだろうな~。

  • 秘剣をテーマにした8篇の短編集。時代劇的な剣客小説。それを使うに至る背景がそれぞれの剣技に合っていて、面白くてどんどん読み進めてしまう。解説で「剣士である以前に藩士である」とあったが、藩士としての日常の暮らしぶりが丁寧に描かれているのが読みやすい理由なのではと思った。「必死剣鳥刺し」はとても切ない。「臆病剣松風」と「隠し剣鬼の爪」が特に良かった。

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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