- Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167723019
感想・レビュー・書評
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『論語』は言わずと知れた、かの孔子が中心となって編纂された思想書ということ程度の知識であったが、おそらく自分以外の大多数の方々もまたほぼ同程度、かつ実際の『論語』は読んだことが無いのだろうと推察する。
まず「過ぎたるは及ばざるが如し」という著名な文句について、一般的に間違いやすい解釈の違いから入る。
本書は書かれている内容は、その手引きの書であり、『論語』自体は決して融通の利かない、堅苦しいイメージの思想書ではなく、孔子自体が非常に人間臭く、弟子たちを取り巻いて人間模様・ドラマが垣間見え、三国志を彷彿される。
原書が漢文であるが故に、訳者によってその意味異なるところが多々あるようであるも、本書では吉川幸次郎の注釈本『論語』(朝日新聞社)を推している。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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一般の読者に向けて『論語』の危険な魅力を紹介している本です。
「現代人の論語」というタイトルではありますが、谷沢永一や山本七平らによる、『論語』をビジネス・パーソンのための処世術に貶めるような解釈を批判してきた著者だけに、孔子を近代人であるかのようにみなす解釈は厳しくしりぞけられています。著者がめざしているのは、2000年以上前に書かれた『論語』という書物のなかに、現代を批判する知恵をさがし求める試みです。
長年私塾で『論語』についての講義をおこなっている著者だけあって、こなれた語り口で『論語』の魅力を伝えています。 -
2018/02/01 18:34:30
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論語読みの論語知らずとは、通読していない人の多さを指している。
本棚に論語が置かれることがあるか、いかに読んでる人が少ないかを著者は指摘する。
そして私も既読の井上靖の孔子を痛烈に批判。
誤訳だらけだというのである。
私も井上靖の孔子は読んだけど、論語というか、孔子の人間像に焦点をあてた話だったような・・・
本書でも孔子の人間像が十分伺い知ることができるのである。 -
論語を読み物としておもしろいものだと教えてくれる著作。
「子曰く、政を為すに徳を以てすれば、譬えば北辰のその所に居て衆星のこれにむかうが如し」 -
論語は堅苦しい道徳の書と思われているがそれは後世の経学儒教の解釈であって孔子の時代の原儒教はそうではない、という主題。わかりやすい説明ですごく納得できた。呉さんさすがだ。孔子や弟子たちの人柄も良くわかった。知的な子貢が好き。論語で気に入った句は、
「郷原は徳の賊なり」
「中行を得てこれに与せずんば、必ずや狂狷か」
「駟も舌に及ばず」
「直を以て怨みに報い、徳を以て徳に報ゆ」
でもなぜ書名が「現代人の~」なんだろ、内容と合っていない。 -
血の通った論語。「論語」の平坦な言葉の後ろに人間くさい孔子の姿が垣間見えて面白かった。また読み返したい。
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論語を語る能力は、私には無いが、ここで描かれている孔子像は、等身大で、説得力がある。経学儒教の中の孔子像より、かえって偉大さが、感じられる。古典と聞くだけで敬遠するむきには、一読の価値あり。