まひるの月を追いかけて (文春文庫 お 42-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • / ISBN・EAN: 9784167729011

感想・レビュー・書評

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  • 奈良という舞台が全て。
    主人公とともに不思議な旅をしている感じがとてもよかった。

    「奈良というところは、死ととても近い」といった主旨のフレーズが出てくるのですが、そう!その作者の意図はすごく成功していると思います。

    色んな悲劇も、奈良が舞台であるがゆえに、どこか人間の自然な営みの一つにまで緩和されている気がしました。

    物語の収束での種明かしはやや蛇足に思えましたが、それまでの雰囲気の良さが印象的な作品でした。

  •  本をひたすらに読み続けておる。
     これは逃避ですね、というのはわかっているのですが、ぽちぽち感想を。

     この本は恩田陸先生の本。
     突然、異母兄弟の恋人だ、という女性から「異母兄弟が行方不明になった」と聞かされた女の人が、その異母兄弟の居場所をつき止めるために、奈良へと向かう話。

     最初から、ほとんど面識のなかった異母兄弟の恋人と異母兄弟を探しに行くこと自体が「なぜ?」の出発点だったのだけれど。
     その「なぜ?」が、実は異母兄弟の恋人だ、という女性が別人だったことがわかって、「この人はなぜ異母兄弟の恋人の名前を名乗ったの?」となり、今度は実は、行方不明ではなくて自分で姿をくらましていて、そしたら今度は「なぜ、こんなことを仕組んだの?」に変わっていく。
     主人公の女の人は、次から次に襲ってくる疑問に振り回されるけれど、結局はその旅を途中で止めることもなく、歩き続けるハメになる。

     恩田先生の話ではよくあることだと思うのですが、物語が二転三転して、結局のところ疑問を盛大に積み重ねられて、「で、いったい全体どういうことなの!?」って発狂したくなる。相変わらずです(笑)。

     でもこういう感じ、悪くないです。
     ただ、途中でやめよう……とかいう場面には、まーったくそぐわないので、読むなら一気に読める時間に読んでしまうことをオススメします。

  • 奈良本ということで読む。

    ③内容:異母兄が奈良で消息を絶ったとのことで、兄の彼女、優佳利と二人奈良へ旅立つ静。旅先で次々に静の想像を越えた事実がわかってくる。それは本当なのか嘘なのか。

    ・対象: YA以上
    ・特色&ジャンル: ロードミステリー
    ・時代 現代2001年2月9日のひと月後に失踪
    ・舞台 異母兄が失踪した奈良を歩く
    ・主人公:飯村静 30代のバツイチ女性、会社員
         飯村和穂 公立教師

     君原優佳利 
     渡部研吾(わたべけんご) 
         四歳年上の異母兄 ライター&カメラマン 
     藤島妙子 優佳利と研吾の同級生 ヘビースモーカー

    ④キーワード
      旅 兄妹 奈良観光 万葉集

    ⑤コメント
    ・著者情報

    ・挿話:インド民話『月とウサギ』
        ジェイコブズ『猿の手(モンキーズポウ)』
        別役実『愛のサーカス』などの数々
        『黄金の林檎』http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%84%E9%87%91%E3%81%AE%E6%9E%97%E6%AA%8E

    一日目~次第に雨
    P51京都駅
    P63橿原神宮前駅(近鉄京都線ー近鉄橿原線) 駅前のホテル

    P67橿原神宮
    日本最古の正史ともされる『日本書紀』において、日本建国の地と記された橿原。
    http://www.kashiharajingu.or.jp/
    http://www.naranet.co.jp/kashiharajingu/

    P68畝傍山うねびやま
    大和三山のひとつ お椀を伏せたような形 人工的にみえる 大和三山は飛鳥のどこからでも見える

    P91 この街を歩いていると土の匂いを感じる
       山が近い
       墨絵のように連なるなだらかな山々を見ていると、得体のしれない不安がわいてくる
       
    P91藤原京
    飛鳥京の西北部、奈良県橿原市にあった飛鳥時代の都城。日本史上で最初の条坊制を布いた本格的な唐風都城でもある。平城京に遷都されるまでの日本の首都とされた。

    ~P92 694年に持統天皇がここに都を定めて、710年に平城京に遷都するまで。せいぜい15年。でもここがいわゆる最初の都だった。ここで初めて、碁盤の目のような整然とした都市が誕生して、大宝律令ができて、いわゆる国の都というものの基礎ができたわけ。~」

    P104藤原宮大極殿跡(だいこくでん)
    ミカドが執務したり祭礼したりするところ
    http://www.bell.jp/pancho/asuka-sansaku/fujiwara-kyuuseki.htm

    P115迷路のように続く白壁。蔵めいた造りの家が続くさまは、さっきまで見通しのいい田園地帯を歩いていたとは思えない。
    元は浄土真宗の門徒を集めた町よ。
    橿原市今井町
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%8A%E4%BA%95%E7%94%BA

    商家を改造して現代風にリフォームした喫茶店に入る
    http://www.imai-furui.com/
    大川珈琲屋
    http://tabelog.com/nara/A2903/A290302/29007530/


    二日目~曇りで強い風が吹いている
    P139 飛鳥駅

    P142欽明天皇陵
    http://www.kunaicho.go.jp/ryobo/guide/029/index.html

    猿石
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8C%BF%E7%9F%B3
    http://www.asukanet.gr.jp/ASUKA2/ASUKAISI/saruisi.html

    P147高松塚古墳
    http://www.asukabito.or.jp/html/promenade02.html

    P148亀石
    http://www.kasugano.com/kankou/asuka/index2.html
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%80%E7%9F%B3
    「亀石が逆方向を向いたら、この辺り一帯が泥の海に沈むという言い伝えがあるんだって」

    P170 聖徳太子誕生地=橘寺
    http://bell.jp/pancho/travel/taisi-siseki/temple/tatibana_dera.htm

    P191石舞台
    http://www.asuka-park.go.jp/ishibutai/
    「石舞台なんのかて洒落た名前が付いているけど、やっぱり墓よね。棺桶の蓋だわ」
    「実際、棺桶の蓋なんですよね、蘇我馬子の。」

    P194岡寺
    岡寺は奈良県明日香村の東、岡山の中腹
    http://www.okadera3307.com/syakunage.html

    P197酒船石(さかふねいし)
    http://www.kasugano.com/kankou/asuka/index5.html

    P198「こういうところで生活してたら、性格変わるかな」

    P201首塚=蘇我入鹿首塚
    http://asukamura.com/?page_id=2455

    P203甘樫丘(あまかしのおか)
    http://www.asukabito.or.jp/sansaku/2008/01/post-21.html

    P215天理駅前ビジネスホテル
    焼き肉屋

    P247山辺の道=日本最古の道
    http://www.eonet.ne.jp/~kotonara/yamanobenomiti.htm
    http://guide.travel.co.jp/article/2453/

    P250石上神社(いそのかみじんじゃ)
    http://www.isonokami.jp/

    三日目~のんびり歩いて7次官
    P264長岳寺
    弘法大師が開いた寺9世紀
    http://www.chogakuji.or.jp/

    P265大神神社と鳥居
    http://oomiwa.or.jp/
    ご身体は三輪山
    酒の神様

    P269桜井駅

    近鉄奈良駅近くのホテル

    四日目
    P291奈良公園
    http://nara-park.com/
    興福寺 阿修羅像

    P296新薬師寺
    「せっかく来たんだから、十二神将見ていけよ」
    「そもそも、十二神将って何?」
    「薬師如来の眷属(けんぞく)だよ」
    「眷属?」
    「平たく言うと、お付きの者ってところかな」

    P304百豪寺(びゃくごうじ)
    http://www.byakugouji.jp/

    P317春日大社 うどん
    P321二月堂
    P325東大寺大仏
    P326正倉院
    土塀の先に古い日本家屋が見えた。入口は狭いが、中に刈りこまれた庭木が見える。~そこには思いがけず雄大な風景が広がっていた。~見事に手入れがされている日本庭園を歩く。

    P335市民病院

    五日目
    P364法隆寺駅
    P364「斑鳩ってなあに?」
    「鳥の名前だよ。本当は『いかる』というらしい。ムクドリみたいな鳥」

    P365藤の木古墳
    http://www4.kcn.ne.jp/~ikaru-i/spot2/huzinokikohunn.html

    P法隆寺 夢殿
    http://www.horyuji.or.jp/

    P373中宮寺
    http://www.chuguji.jp/
    尼寺

    P391「奈良くらい付きが似合うところはないな」

    P412橘寺
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%98%E5%AF%BA 注)ここにのっているサイトは規制で飛べない


    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BE%E3%81%B2%E3%82%8B%E3%81%AE%E6%9C%88%E3%82%92%E8%BF%BD%E3%81%84%E3%81%8B%E3%81%91%E3%81%A6

    奈良本
    谷崎潤一郎『吉野葛』(短編です)
    永井路子『茜さす』
    立原正秋『花のいのち』
    三浦信行『我が身の中の奈良を求めて』
    ★西村京太郎
    明日香・幻想の殺人
    十津川村 天誅殺人事件
    日本海殺人ルート


    ★内田康夫
    天河伝説殺人事件
    平家伝説殺人事件
    教室の亡霊
    神苦楽島(新作)

    「奈良のたからもの―まほろばの美ガイド」2007
    『百寺巡礼 第1巻 奈良』五木寛之
    室生寺・長谷寺・薬師寺・唐招提寺・秋篠寺・法隆寺・中宮寺・飛鳥寺・当麻寺・東大寺の10ヶ所
    『ぶつぞう入門』柴門ふみ
    『大和路・信濃路』堀辰雄 青空文庫
    『死者の書』青空文庫

    http://small-life.com/


    『ならびたり』http://nara-furukoto.shop-pro.jp/
    「ことのまあかり」『奈良公園帖』http://kotonomaakari.furukoto.org/



    京都本
    「夜は短し歩けよ乙女」
    京都が舞台の小説をたくさん書かれている森見登美彦さんの代表作です。
    『太陽の塔』『四畳半神話大系』など、ほかの作品も舞台は京都ですので、読んでみることをおすすめします。

    「鴨川ホルモー」
    京都が舞台のファンタジーな青春小説です。
    映画版や続編の『ホルモー六景』もあります。

    「エトランゼのすべて」
    京都大学を舞台にした青春小説です。
    森田季節さんはライトノベルもたくさん書かれているそうです。

    「燃えよ剣」
    新選組副長土方歳三の生涯を描く歴史小説です。
    新撰組といえば京都ですね。

    「京都嵯峨野殺人事件」

    珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)(岡崎琢磨)
    宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ!京都の小路の一角に、ひっそりと店を構える珈琲店「タレーラン」。恋人と喧嘩した主人公は、偶然に導かれて入ったこの店で、運命の出会いを果たす。長年追い求めた理想の珈琲と、魅惑的な女性バリスタ・切間美星だ。美星の聡明な頭脳は、店に持ち込まれる日常の謎を、鮮やかに解き明かしていく。だが美星には、秘められた過去があり―。

    陰陽師(おんみょうじ) (文春文庫)(夢枕獏)
    死霊、生霊、鬼などが人々の身近で跋扈した平安時代。そんな時代の京を舞台に、妖しのものを相手に陰陽師安倍清明が親友の源博雅と挑むこの世ならぬ難事件にいどむ。

    高瀬舟 (集英社文庫)(森鴎外)
    高瀬舟は京都の高瀬川を上下する小舟である。徳川時代に京都の罪人が流刑を申し渡されると、罪人は、高瀬舟にのせられて、大阪へ回された。これを護送するのは、京都町奉行の配下にいる同心で、この同心は、罪人の親類のうちで、おもだった一人を大阪まで同船させる事を許す慣例であった。

    金閣寺 (新潮文庫)(三島由紀夫)
    日本海に突き出た成生岬の貧しい寺に生まれた溝口(「私」)は、僧侶である父から、金閣ほど美しいものはこの世にないと聞かされ育った。父から繰り返し聞く金閣寺の話は、常に完璧な美としての金閣であり、溝口は金閣を夢想しながら地上最高の美として思い描いていた・・・

    細雪 (中公文庫)(谷崎潤一郎)
    大阪船場に古いのれんを誇る蒔岡家の四人姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子が織りなす人間模様のなかに、昭和十年代の関西の上流社会の生活のありさまを四季折々に描き込んだ絢爛たる小説絵巻。三女の雪子は姉妹のうちで一番の美人なのだが、縁談がまとまらず、三十をすぎていまだに独身でいる。幸子夫婦は心配して奔走するが、無口な雪子はどの男にも賛成せず、月日がたってゆく―この主人公たちが花見だけは京都と決めていて、毎年春になると連れ立って行くのが恒例の行事になっている。

    「九月は謎×謎修学旅行で暗号解読」霧舎巧
    ミステリマニアが巡礼するための京都市内地図つき

    「遙都」(ようと) 柴田よしき
    『百寺巡礼 第3巻 京都』五木寛之

  • すらすら読めて気持ち良いですが、オチにすぐ気付いてしまい、ちょっぴり残念でした。

  • 再読。なのに途中までどんな作品だったか忘れていた。読んでいるうちに徐々にラストを思い出し、「ああ、あのラストがやってくるのかぁ・・・」と思いながら結末に辿り着いた。主役になりたくない静に、きっとこれから主役が回ってくる新しい物語の始まり。前向きで明るいラストとは言えない。新しい旅が楽しいだけの旅であるはずがないのだから。それでも旅立たなくてはならないのが人生なのだ。脇役でいたい私は静に共感。

  • 何度も裏切られた。さすが恩田陸。
    曇天の明日香村が思い出される。そして「汗」。他人との二人旅を強いられた主人公が、歩かされている間にじわじわとかく、物理的な汗。そして先が見えない旅にじわじわ焦る、精神的な汗。曇天がとてもマッチする内容だと思う。
    「まひるの月」って結局どういうことだったのだろうか。じゃあその時太陽は?そんな風に考えてみても面白いかもしれない。もう一度ちゃんと読みたい。

  • 奈良の情景描写が印象的で、旅行に行きたくなるような思いに駆られた。また、話と話の間にストーリーと関連がある童話をはさむ構成はよかった。
    しかし、全体的なストーリー性に少し物足りなさを感じた

  • 言葉にならない気持ちの表現がうまいなあーと感動しました。あー..このもやもやわかる、でもこれうまく言葉にできなかった!って描写ばっかり。そして、話の展開や運び方に、どんどんペースが引き込まれます。「連続ドラマ的」って言葉がぴったりな一冊でした。

  •  宗教、神話、歴史、古墳、寺社仏閣などの歴史的情景をふんだんに描き、かつ童話を挟む事でシンボル性を高めている。
     伏線はあったのかもしれないが、後出し的にポンポン話が二転三転したような印象が残った。
     物語や仕掛けを楽しむというよりは、象徴や対比といった比喩描写を楽しむ。(海外)文学のような精神世界、紀行文のような道をたどる、そういった部分が強い作品。

  • 頭の中で原坊が「♪な~がれる雲~を追い~かけて~」を
    歌ってイマス。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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