できそこないの男たち (光文社新書 371)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334034740

感想・レビュー・書評

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  • エッセイをまとめたもののようだけれども、
    1冊の新書として、すべてつながるようになっていて、
    読み物として、しっかりしている。

    女から男ができる、というのは、出産という意味においてのみならず、
    そもそも生物学的にも、発生過程においても、
    という深い深い説明がなされていて、大いに納得。

  • 生物の基本仕様であるオスとメスの発生に迫る。学術的なのに内容のはずなのに、人間ドラマやエッセイ風の体験談を織り交ぜてまるで小説のように文章をつなげてくれる。単純に知的好奇心が刺激されるし、文章はいいし、もしかしたら人に話せそうな内容だし、すごくいい本だと思う。

  • 生物の歴史においてはオスはメスの使いっ走り、生物のデフォルトである女性を無理やり作り変えたものが男であるという論も、それほど新しさを感じさせない。あとは、男による余剰、権力の生産、云々という経済人類学みたいなことになる。最後の加速感も切れが悪い。

  • ミソジニー的な人と話す時に使えそうなネタがけっこうありました。
     
    あと、エピローグに生殖行為の快感が、ジェットコースターが落下するときの感覚に似ていると書いてあったのですが、私も昔からそれ思っていたんですよ。
    「私の場合」かと思っていたんですけど、もしかして、この感覚が似ているのは一般的なことだったんですかね・・・。
    私は遊園地に行くと特にバイキング(船がずっと揺れるやつ)に乗りまくっていたんですけど、こういう感覚を皆知っているのだとしたら、猿のように乗りまくるのはちょっと恥ずかしいかもしれないと思いました・・・。

  • アダムはイヴから生まれる。

    本来人間(生物)は女性がスタンダードであり、女性としての成長途中に一作用追加することで男性を後から追加的に作製。
    女性として必要な器官の成長を止め、或いは流用し、男性を創る。そんなちょっと無理くり(?)且つ後付的に女性の身体を流用して作り出された男性の寿命が女性に比し短いのは必定らしい。しかも、男性ホルモンは人間の免疫作用を低減させる効果もあるとのこと。

    生物としては男は弱いんです、いたわってもらえると幸いです。。。

  • 生物の基本仕様は女である。男は遺伝子の多様性を得るために作られた補助生物である(男を作ることで遺伝子の多様性を生み出した種が生き残った)たとえば蜂などは女王バチを初めとして働きバチもすべて雌である。雄バチは女王が交代するもしくは分家するときに一緒に行動し、女王バチが一生かかって生む卵を受精させたら役割がおわるのである。
    本書はあらゆる種の基本仕様は雌であることを前提に男とはなにかを綴っている。
    先ずはお得意の分子生物学の進歩の仮定をドキュメントタッチで綴る。精子の発見、Y染色体の発見、男が男になるために発動する遺伝子の発見。
    次に女仕様の発生の過程が男発動遺伝子によっていかに男として体を作り替えていくかを説明。
    男が女の付属物であることの象徴として蜂では無くアリマキの生態を紹介してくれる(第七章アリマキ的人生)
    さらに基本仕様を作り替えているためにいかに男が生物学的に弱い事を癌の発生率を例に取って教えてくれる(第八章弱きもの、汝の名は男なり)
    さらに第九章ではY染色体が男系のみで受け継がれる事から男系が人類史の中でどう世界に広がっていったか(そしていろんなルートのうちの何本かは日本に集結しているらしい)
    面白いのは、アジア16地域の男性からY染色体を集めての分析の中で8%の男性が約1000年前に男性由来と思われるY染色体を持っていたという話し。どこかに固まって住んでいるのでなく各地、各民族に散らばっているという。確定はできないがその男性は時期からみてジンギス・ハーンではないかと言うのである。
    また、最後の章では斯くのごとく弱い男が世界を支配しているように見えるのは何故かについて考察している。

    そんなに目新しい話は書いていないが、さすがにストリーテラー福岡先生、最後まで飽きずに読ませていいただきました。

  • 胃の中は、からだの中ではない。言われてみれば
    ああと思った見解を改めて読んだ。「生物と無生物のあいだ」で初めて読んだ(?)この考えは目からウロコが落ちる思いだ。
    口から肛門までは竹輪の穴のようにからだを貫く穴であって、食物は消化されからだの一部となることで初めてからだの中に入る。
    面白い…

    男は女の出来損ないかぁ、確かに(汗)

  • 2014.12読了
    相変わらず引き込まれる文章書く人だ。

    サイエンス的にどこまで信じていいのか今ひとつ確証が持てないが。

  • できそこないの男たち - bookworm's digest
    http://tacbook.hatenablog.com/entry/2014/12/12/101042

  • 実にわかりやすく、眈々と衝撃を伝えてくれる。男とは、女が種を維持、反映させるために生み出したものであり、そもそも、その役割が終わればアリマキのように死んでも何ら問題はない。お父さん似というが、それは、どこかのあばあちゃん似ということに過ぎない。そう思うと、不倫を文化と言った男はあながち非難されるべくもないのではなかろうか。男は種まくために存在し、それは女が栄えるために他ならない。

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著者プロフィール

福岡伸一 (ふくおか・しんいち)
生物学者。1959年東京生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部博士研究員、京都大学助教授などを経て、青山学院大学教授。2013年4月よりロックフェラー大学客員教授としてNYに赴任。サントリー学芸賞を受賞し、ベストセラーとなった『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)、『動的平衡』(木楽舎)ほか、「生命とは何か」をわかりやすく解説した著書多数。ほかに『できそこないの男たち』(光文社新書)、『生命と食』(岩波ブックレット)、『フェルメール 光の王国』(木楽舎)、『せいめいのはなし』(新潮社)、『ルリボシカミキリの青 福岡ハカセができるまで』(文藝春秋)、『福岡ハカセの本棚』(メディアファクトリー)、『生命の逆襲』(朝日新聞出版)など。

「2019年 『フェルメール 隠された次元』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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